金縛り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
金縛り(かなしばり)とはレム睡眠中に於いて、人が上に乗っているように感じ、体が締め付けられるような感覚を覚える現象をいう。医学的には睡眠麻痺と呼ばれる。夢よりも意識が明瞭であり、人が自分の部屋に入っているのを見たり、耳元で囁かれたり、体を触られているように感じることもあり、これは現実のことで、現れたのは幽霊ではないかと、多大な恐怖を覚える人も多いが、夢を見ているのと同じことであり、いわゆる心霊現象ではない。
この後、体外離脱体験(OBE)と呼ばれる、そのまま体からふわふわと抜けていく感覚を体験することもできる。 また、体外離脱は明晰夢を見ることが可能とされるレム睡眠時には起こってはいなく、覚醒時に起こっている。
目次 |
[編集] 金縛りの前兆
金縛りは、いきなり起こるわけではなく、必ず前兆がある。およそ1~3Hzの"ジーン、ジーン"とした、独特の不快な前駆症状の数秒後~数分後に一瞬にして全身の随意運動が不可能となる。症状は数秒で収まるものから、30分以上に及ぶものもある。また、金縛りが解けてもすぐに前駆症状が現れ、再発することも多く、睡眠の妨げになる事も多い。
[編集] 金縛りの種類
金縛りには、大きく分けて、閉眼型と、開眼型の二種類が存在する。ほぼ全てが前者のもので、実際には閉眼しているにもかかわらず、金縛りがかかる直前の室内の風景や、普段の室内の記憶が鮮明な夢となって映し出される。しかし、本人が閉眼型だと認知していない場合がほとんどである。閉眼型の特徴として、霊などの幻覚が見えたりし、恐怖感を強く感じる場合が多いことが挙げられる。ちなみに、幽体離脱はこれに分類され、思春期の女性、普段から鏡を良く見て、容姿をまめに気にする者に多い。もちろん、心霊現象とは全く関係が無い。閉眼型の金縛りを自分の意思で解除する事は、ほぼ不可能である。 しかし、まれに開眼した状態での金縛りも存在する。開眼型の金縛りの特徴として、全身の随意運動を奪われるものの、嗅覚、聴覚、視覚(ただし眼球運動は不可能、もしくは不随意)が鮮明であり、金縛り状態のままテレビの視聴や車窓からの風景を鮮明に見ることも可能である。閉眼型と異なり、恐怖感は無い。
[編集] 金縛りの理由
睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があるが、金縛りが起こるのはこのレム睡眠の時である。レム睡眠の時に夢を見るのだが、夢を見ている時には脳は活発に活動しているが、体は活動を休止している。レム睡眠は呼吸を休止させてしまうことがあり、強い息苦しさを感じたり、胸部に圧迫感を感じることがある。他にも、他動的に四肢を動かされる感覚などを感じる場合もある。金縛りは、普段余り運動しない者が突然運動を行った場合などに起こりやすくなる。特に有酸素運動は金縛りを誘発しやすい。過酷な有酸素運動をしているスポーツ選手の中には、毎日のように金縛りに掛かる者も多い。また、旅行の移動中や宿泊地での金縛りも多い。これは、移動によって身体が疲弊しているのに対し、環境の変化などにより脳が興奮していることが影響している。その他、ストレスや肉体疲労が金縛りを引き起こすこと、体質的に金縛りに掛かりやすい(特に寝入りの悪い人)など様々な理由がある。現在は金縛りの研究も進んでおり、閉眼型の金縛りは人工的に作り出す事も可能である。
[編集] 金縛りが恐怖を誘発する原因
金縛りを初めて経験する者、経験が少ない者は、経験した事の無い前駆症状や、全身が動かなくなる独特の感覚から、金縛り現象を底知れぬ恐怖に感じる。特に、閉眼型の金縛りに掛かっている時には、僅かに思い浮かんだ事が過剰に増幅されるという特性がある。つまり、金縛り中に一旦恐怖を感じると、その恐怖感は増幅され、時には命を奪われるような恐怖を感じることもある。その恐怖のあまり、霊のことなどを僅かでも考えてしまうと、目の前に霊の幻覚が現れ、触られたり、まれに非常に強い痛みや苦しみを感じてしまう場合もある。霊体験として語られている金縛りの恐怖感は、ただの夢である。 しかし、この特性を逆に利用し、たとえば、意図した人物との性的な事などを考えると、その人物が実際に現れ、覚醒時には味わえないような驚くほどの強い快楽を得る事も可能であり、金縛りを楽しみにしている者も少数ではあるが存在する。ただし、実際に行ってみるとわかるが、金縛りの経験が少ない者は、容易に恐怖が上回ってしまい難しい。金縛り経験が豊富な者向けの高度な遊びといえよう。 対して、開眼型の金縛りでは、幻覚が出る事が無く、基本的に恐怖感は感じないものの、独特の違和感や、随意運動ができないことから不快感を感じる例が多い。
[編集] 関連項目
- 幽体離脱
- 入眠時幻覚
カテゴリ: 出典を必要とする記事 | 睡眠 | 心理学 | 夢