閏年
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閏年(うるうどし、じゅんねん)は、暦と太陽または月の運行(季節の移り変わり)とのずれの補正(閏)が行われる年である。閏年でない年を平年と呼ぶ。
通常、平年より日または月が1つ多く、その追加された日・月を、閏日・閏月、総称して閏と呼ぶ。閏の挿入規則を置閏法と呼ぶ。
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[編集] 太陽暦
通常の太陽暦では、閏日を設けて1年を366日とする年が閏年である。
[編集] 閏年の原因
地球は365日で公転していると言われるが、実際は端数があり、正確には365.2422日である。したがって4回公転(4年)するとおよそ1日分の公転時間が余分になるため、閏日を設けて調整しなければならない。このことは紀元前から知られており、太陽暦を利用していたローマではユリウス暦に閏年が採用されていた。
しかし、地球の公転周期がきちんと365.25日ならユリウス暦で問題は無いが、前記のようなわずかな不足があるため、少しずつ誤差が生ずる。16世紀後半のヨーロッパでは、ユリウス暦の使用を長期間続けたために実際の暦と10日余りも日数がずれてしまった。そこでローマ教皇グレゴリウス13世は同世代を代表する学者たちを招集して委員会をつくり、暦の研究を行わせた。こうして改訂された暦がグレゴリオ暦であり、以後諸国で採用されて現在に至っている。
[編集] ユリウス暦・グレゴリオ暦の閏年配置
グレゴリオ暦では、閏年には、2月の日数を1日増加させ、29日とする。2月である理由は、古代ローマではFebruarius(後の2月)が年末だったからである(月を数字で表す習慣は後代のものであることに注意)。
ユリウス暦では4年に1回、西暦年が4で割り切れる年を閏年としていた。
グレゴリオ暦では、次の規則に従って、400年に97回の閏年が設けられる。
- 西暦年が、4で割り切れる年は閏年とする。
- 西暦年が、4で割り切れる年のうち、100で割り切れる年は平年とする。
- 西暦年が、100で割り切れる年のうち、400で割り切れる年は閏年とする。
西暦2000年は3番目のルールに当てはまる400年に一度の閏年であった。しかし2番目までのルールをもって2000年を平年と誤解するものがいたため、これが2000年問題の一因となった。次の4で割り切れる平年は西暦2100年である。つまり4年に1度必ずあるというわけではない。
現在の地球の公転周期(太陽年)約365.2422日から計算すると、グレゴリオ暦の規則に
- 西暦年が、400で割り切れる年のうち、4000で割り切れる年は平年とする。
- 西暦年が、400で割り切れる年のうち、10000で割り切れる年は平年とする。
という規則を加えれば、ほぼ公転周期と整合する。グレゴリオ暦においてもこの4000年ルールを採用しているとする文献もある。地球の公転周期や自転周期自体が変動するものであるため(月による潮汐摩擦のため、地球の自転速度は少しずつ遅れていることがわかっている)、4000年ルールによる補正が適切であるかどうかは現状でははっきりしないとも言われる。
現在のグレゴリオ暦では、閏日は、2月28日の翌日に挿入される2月29日である。ただし西洋の古い伝統では、2月23日の翌日に閏日を挿入する。→閏日#欧米で2月24日が閏日であることの由来
[編集] 関連事項
近代オリンピックの夏季オリンピックは4年に1度、4で割り切れる年に開かれ、1900年の第2回パリオリンピックを除き閏年に開催されている。冬季オリンピックも1992年のアルベールヴィルオリンピックまでは夏期と同じ年に開かれていて、それまでは全て閏年である。
アメリカ合衆国大統領選挙も同様で、最初の1789年の選挙と1900年の選挙を除き、閏年に行われている。
閏年の西暦年は必ず4で割り切れるので、閏年の干支は子、辰、申のいずれかである。
日本において閏年の算定は、グレゴリオ暦(西暦)ではなく神武天皇即位紀元(皇紀)によって行なうことが、法令(明治31年勅令第90号(閏年ニ関スル件))により定められている。
- 明治三十一年勅令第九十号(閏年ニ関スル件・明治三十一年五月十一日勅令第九十号)
- 神武天皇即位紀元年数ノ四ヲ以テ整除シ得ヘキ年ヲ閏年トス但シ紀元年数ヨリ六百六十ヲ減シテ百ヲ以テ整除シ得ヘキモノノ中更ニ四ヲ以テ商ヲ整除シ得サル年ハ平年トス
[編集] 閏週
太陽暦の置閏法には、約4年に1度の閏年に1日の閏日を挿入する以外の方法もありうる。
たとえば、約29年に1度の閏年に1週間の閏週を挿入するという置閏法も可能であり、そのような暦が提案されたこともある。
[編集] 太陰太陽暦
太陰太陽暦では、約3年に1度、閏月を挿入して1年を13か月にする年が閏年となる。
[編集] 太陰暦
太陰暦では、暦と月齢とのずれを補正するために閏年が設けられる。
ヒジュラ暦では、30年に11回閏年があり、年末に余分な1日が入れられる。
[編集] 閏秒
閏年は地球の自転と公転のズレを補正する物だが、近年は原子時計により決められる協定世界時と地球の自転との差を補正するための閏秒が導入されている。
ただし通常、閏年と言ったばあい閏日または閏月を含む年を意味し、閏秒を含むだけの年は閏年とは言わない。