防御
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
防御（ぼうぎょ defense、元の用字は防禦）とは現代戦術論において、敵の攻撃を破砕することによって、反撃を実行するまでの時間的猶予を得るために行われる戦闘行動である。
目次 |
[編集] 概説
防御は攻撃行動が適切ではない場合に、準備した上で敵の攻撃を阻止することである。その目的とは反撃のための時間的猶予の獲得、緊要地形（戦術上重要な地域）の保持、他方面の友軍の作戦を支援するための敵戦力の誘導・拘束、敵戦力の戦闘力の減殺、特定地域の敵戦力の進入阻止などが挙げられる。敵に主導権を明け渡す代わりに、自軍は位置的な優位を持つことに特徴が見られ、一般的に攻撃よりも強力な戦闘行動であると考えられている。ただし防御行動は現状維持などの消極的な目的のみを達成するものである。実際には防御行動はをとる場合でも敵の進攻を阻止するためには攻撃の要素も含まれるため、相対的な概念である。
[編集] 分類
[編集] 陣地防御
陣地防御（火力防御）とは受動的な戦闘方式をとる防御行動である。陣地を建設し、火力を充足させ、部隊を適所に配備することにより、敵の攻撃に対して大規模な損害を与える防御である。（陣地防御を参照）
[編集] 機動防御
機動防御とは機動的に戦力を運用する防御行動である。戦力を機動的に運用し、適時に攻撃を加えることで敵の攻撃を破砕する防御である。
[編集] 逆襲
逆襲(counter attack)とは防御戦闘において、敵部隊の撃破、奪取された地形の奪回を目的に実行される攻撃をいう。旧日本陸軍では反撃と呼んだ。
[編集] 関連項目
[編集] 生物の場合
生物に於いて、敵の攻撃から身を守るための反応や行動を防御という。たとえば体を丸くして、姿勢を低くする防御姿勢は多くの動物に共通してみられるもので、腹部など弱い部分を隠すものである。逆に、腹を上にして、足を上に向けるのは攻撃可能部位を外に向ける意図がある。植物においても、有毒であったり棘をまとったりと言った防御の姿が見られる。特に植物では化学物質を利用した防御があることが知られ、化学防御という。中には傷つけられると害虫の天敵を呼ぶなどと言った、複雑なものも知られるようになっている。
