集合的無意識
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集合的無意識 (しゅうごうてきむいしき、ドイツ語:Kollektives Unbewusstes) は、カール・グスタフ・ユングが提唱した分析心理学における中心概念であり、人間の無意識の深層に存在する、個人の経験を越えた先天的な構造領域である。個人的無意識の対語としてあり、ユングはジークムント・フロイトの精神分析の理論では説明の付かない深層心理の力動を説明するため、この無意識領域を提唱した。
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[編集] 概説
言語連想試験の研究によってコンプレックスの概念を見出したユングは、個人のコンプレックスより更に深い無意識の領域に、個人を越えた、集団や民族、人類の心に普遍的に存在すると考えられる先天的な元型の作用力動を見出した。
元型の作用と、その結果として個人の夢や空想に現れるある種の典型的なイメージは、様々な時代や民族の神話にも共通して存在し、この為、元型や、元型が存在すると仮定される領域は、民族や人類に共通する古態的(アルカイク)な無意識と考えられ、この故に、ユングはこの無意識領域を「集合的無意識」と名づけた。
人間の行動や思考・判断は、自我と外的世界との相互作用で決まって来る面があるが、他方、集合的無意識に存在するとされる諸元型の力動作用にも影響される面がある。
[編集] 自我と自己元型
ユングは、集合的無意識に様々な元型の存在を認めたが、それらは最終的に、自己(Selbst)の元型に帰着すると考えた。ゼルプスト(自己)の元型は、心(魂)全体の中心にあると考えられ、外的世界との交渉の主体である自我は、自己元型との心的エネルギーを介しての力動的な運動で、変容し、成長し、理想概念としての「完全な人間」を目指すとされた。
[編集] 諸元型と個性化
このように、自我が自己との相互作用で成長し、球的完全性へと向かう過程を、ユング心理学では、「個性化の過程」あるいは「自己実現の過程」とも呼んだ。個性化の過程において、自己元型は、「影」の元型や、「アニマ・アニムス」の元型、あるいは、「太母」や「老賢者」の元型として力動的に作用する。