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分析心理学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

分析心理学(ぶんせきしんりがく、独語:Analytische Psychologie,英語:Analytical Psychology)は、スイスの精神医学者・心理療法家であったカール・グスタフ・ユングが創始した深層心理学理論で、心理療法理論でもある。ユング心理学とも通称する。

コンプレックス(感情複合)の現象を研究したユングは、言語連想試験等を通じて深層心理の解明を志向し、当時、精神分析を提唱していたウィーンのジークムント・フロイトより大きな影響を受けた。しかし、ユングは「集合的無意識」の存在を提唱してフロイトと訣別し、元型の概念において、神話学、民俗学文化人類学等の研究に通底する深層心理理論を構成した。

目次

[編集] ユング心理学の基本概念

[編集] 連想試験とコンプレックス概念

言語連想試験

初期のユングの研究のなかで、もっとも代表的で、深層心理学の研究者としてのユングを世を周知させたのは、1904年に公刊された「連想試験」に関する論文であった。

刺激として提示される特定の刺激語に対し、応答としての「連想語」を調べるというのは、ユングに独自な発想ではないが、ユングは、刺激語を提示した後、被験者が応答する時間、とりわけ「応答時間の遅延」に注目した。

コンプレックスの概念

応答の時間遅延が生じたり、スムーズな連想ないしは再生が見られない刺激語を詳細に調べて行くうちに、ユングは、刺激語が、被験者自身にとっても意識されていない、何かの感情的意味を持っていることを見出した。綿密な研究の後、ユングは、被験者の心には、意識されていない感情観念の複合体が存在し、この複合体に抵触する刺激語が提示されたとき、応答の時間遅延が生じることを確認した。

ユングは、このような、無意識にある観念と感情の複合体を「コンプレックス(Komplex)」と名づけた。分析心理学は、別名、コンプレックス心理学(独語:Komplexe Psychologie)とも呼ぶが、それは、コンプレックス概念が、ユングの分析心理学の基本となるからである。

[編集] 集合的無意識と神話

元型の発見

ユングは個人のコンプレックスが単一ではなく多数存在し、コンプレックス相互の関係を研究する過程で、更に深層に、自我のありようとは独立した性格を持つ、いわば「普遍的コンプレックス」とも呼べる作用体を見出した。

それは、男性であれば、自我を魅惑してやまない「理想の女性」の原像であり、また困難に出逢ったとき、智慧を開示してくれる「賢者」の原像でもあった。ユングは、このような「原像」が、個人の空想のなかで、イメージとして出現することを見出したが、個人の無意識に存在するこのような原像が、また、民族神話や、人類の諸神話にも共通して現れることを見出した。

集合的無意識と古態型

それらの原像は、「乙女」の理想像であり、「年老いた賢者」の像であり、あるいは無限の愛で自我を抱きしめる「大いなる母」の像でもあった。

これらの像は、フロイトの学説にある「抑圧」等が起こる無意識層よりも更に深い位置にあり、民族や人類に共通する原像であった。ユングは、このような像は、個人の体験に基づいて構成されたのではなく、人類の極めて長い時間の経験の蓄積の結果、構成されたもので、遺伝的に心に継承されると考え、これらの像を、「古態型(Arche-Typ,元型)」と名づけた。

神話的元型が存在すると考えられる無意識の層はきわめて深く、また民族等に共通するため、このような層を、ユングは「集合的無意識(Kollektives Unbewusst)」と定義した。フロイトの力動理論は、無意識の表層、「個人的無意識」で成立する。

[編集] 意識の階層理論と元型

意識の階層

こうして、ユング心理学では、個人の「(Psyche)」は、自我がその中心としてある意識と、無意識にまず二分され、後者は更に、個人的無意識と集合的無意識に分けられた。

元型(Archetyp)

集合的無意識に由来する元型は、こころの先天的な型として機能する。元型的な状況をあらわすものに神話がある。

  • 自己(Selbst) : 自己は、こころ全体の中心であり、個人の精神発達において、こころ全体の均衡を図る力動点として仮定される。ゼルプスト(自己)は、「の刻印」として理解される。象徴には超越的な全体性をあらわすマンダラがある。
  • 自我(Ego) : 自我は、意識の中心であり、個人の意志主体である。意識のなかに存在する元型とされる。
  • 元型(Archetypen) : 自我と自己の二つの元型のあいだで、精神の発達や変容過程のときどきにおいて、無意識の作用は、様々な元型として意識と自我に作用する。
    • ペルソナ(Persona) : 仮面の意。その人が社会に対して演じている役割の型。
    • (Schatten): 影は、自我元型を肯定的にか、否定的にか、補完する作用である。私ではない他者として投影された形で現れることがある。
    • アニマ(Anima) : 男性の内なる未発達の女性性は元型の作用として自我に働く。アニムスの対語。
    • アニムス(Animus) : 女性の内なる未発達の男性性。
    • 老賢者(Alte Weise) : 自己の主要な一面としての父権的な選択的精神原理(ロゴス)として、老賢者の元型が作用する。太母の対語。
    • 太母(Magna Mater) : 自己の主要な一面としての母権的な受容的生命原理(エロス)として、太母の元型が作用する。
    • 永遠の少年(Puer Aeternus) : けして大人になることのない若者。母から自立しない反面、純粋であり創造性をもつ。類語は永遠の少女。
    • 童子(Miracle Child) : 未成熟ではあるが援助を受け成長していく可能性を秘めた子ども。
    • 英雄(Hero) : しばしば龍に戦いを挑む戦士としてあらわされる。無意識を克服する自我。
    • トリックスター(Trickster) : 道化。悪戯をしかけて既存の規範を超えることで、笑いと創造性をもたらす。

[編集] 心的エネルギーの方向性と性格類型

自我は、その関心を、周囲の環境である「外的世界」に向ける場合と、こころの世界である「内的世界」に向ける場合がある。主として、行為の動機を外的世界から引き出す人と、内的世界から引き出す人では、心的エネルギーの方向ひいては自我のありように差異が存在し、ここから二つの性格類型が分かれるとされた。

  • 外向型
  • 内向型

心的エネルギーの方向性とは別に、「心の機能」類型というものが考えられ、それは、合理的(判断)機能と非合理的(要素的)機能の二つにカテゴライズされる。前者はさらに「思考」(区別原理)と「感情」(関係原理)に、後者はさらに「感覚」(現実性)と「直観」(可能性)に分かたれるため、合計四種類に分かれる。個人は、その精神活動において、いずれか一つの心的機能を、主要機能として使うため、四種類の心的機能による性格類型が考えられる。更に、内向・外向の心的類型と組み合わさり、計八種類の心的類型・性格類型が成立する。

  • 合理的機能
    • 思考型 (外向/内向)
    • 感情型 (外向/内向)
  • 非合理的機能
    • 感覚型 (外向/内向)
    • 直観型 (外向/内向)

さらに主要機能を補完するものとしての補助機能があり、主要機能とは必ず別のカテゴリに属する。たとえば主要機能が非合理的な「感覚」である場合、補助機能は合理的な「思考」か「感情」の何れかとなる。主要機能でも補助機能でもない機能は、本人のものとは自覚されず他者に投影される傾向をもつ劣等機能となる。尚、たとえば優越(主要および補助)機能が外向であれば、劣等機能は内向となる。また建設的な優越機能に対し、劣等機能はしばしば破壊的な傾向をもつ。

[編集] 因果性と共時性

ユング心理学においては、外的世界の物質の運動を主として規定する「因果性」と共に、因果性とは独立して、「意味」や「イメージ」の「類似性・類比性」によって、外的世界の事物や事象、個人の精神内部の事象等が互いに同時的な相関性を持つ「共時性(シンクロニシティ)」が存在するとされる。

布置(Constellation)

個人の精神が困難な状態に直面したり、発達の過程において重要な局面に出逢ったとき、個人の心の内的世界における問題のありようと、ちょうど対応するように、外的世界の事物や事象が、ある特定の配置を持って現れてくることを、布置(コンステラツィオーン,独語:Konstellation)という。

布置は、共時性の一つの現れであると考えられる。

[編集] 魂の意味と分析心理学の成立

[編集] 精神医としてのユングと精神医学

カール・グスタフ・ユングは、フロイト(1856-1939)をはじめとする精神分析学心理療法家たちとは異なり、当時いまだ発展途上にあった精神医学の研究者であった。精神医学の課題は、人間の精神つまり心(魂)に起こる、変調あるいは病を研究し、身体医学において成功したように、病よりの治療法を確立ことが大きな目標としてあった。

しかし、精神の病とは一体何なのか。古代ギリシアにおいては、てんかんは神のもたらす神聖な病だと考えられていたが、近代ヨーロッパはそのような見方を否定した。とはいえ、それでは「てんかん」とは何で、どのような原因で起こるのか、理解していた訳ではない。広義に「狂気」とは何なのかが、定かでなかったと言える。

現象的あるいは症状的に精神の障害を記述し、分類を試みたのはクルト・シュナイダー(1887-1967)であり、シュナイダーの方法は、今日でもアメリカ精神医学会(APA)が定める DSM において症状記述として継承されている。

シュナイダーより半世紀前に、精神の障害・異常あるいは病の系統分類で画期をもたらしたのは、ドイツの精神医学者であるエミール・クレペリン(1856-1926)であり、彼は19世紀末、「早発性痴呆 (dementia praecox,1893年)」の名で精神分裂病(統合失調症)を定義し、躁鬱病神経症とは根本的に何かが異なることを明らかにした。

スイスのオイゲン・ブロイラー(1857-1939)は、クレペリンの疾病概念をほぼ継承しつつ、精神が有機的な要素の連合として機能しており、この連合が何かの理由で乖離・分裂するとき、早発性痴呆の症状が生じるとし、早発性痴呆は必ずしも、「早発性」ではないことも考慮した上で、これを「精神分裂病群 (Schizophrenien)」と名づけた(1911年)。

ブロイラーは分裂病が、単一の精神疾患ではなく、機制の異なる複数の疾患の総称(症候群)である可能性を主張しており、複数形で表現した。後に、単数形で Schizophrenie と書かれるようになる。現代の知見においても、統合失調症(精神分裂病)は単一の精神疾患ではなく、複数の疾患か、更にそれらが輻輳したものであるとの考えが有力である。

[編集] 精神分裂病における意味の発見

スイスチューリッヒ大学で、助手としてブロイラーより教えを受けたユングは、医師としての経験を経た後、フランスのピエール・ジャネ(1859-1947)より心の力動的把握を学んだ。精神医として精神分裂病の患者の言動を詳細に観察研究していたユングは、当時、「狂気」の故の無意味な反応と見なされていた分裂病の患者の理解不能な言動が、決して「無意味」ではなく、その患者が過去に体験した重要な事件を象徴しており、「意味」があることを発見した。

ブロイラーの説では、精神の要素の有機的統合が乖離分解して、快復困難となっているのが分裂病である。しかし、乖離してもなお「意味」がその言動に残っているということは、精神分裂病患者の言動が、まったく無意味ではなく、何らかの方法を通じて了解可能であることを示唆する。精神の乖離は、心のどこか深い領域で、なお有機的な意味連関を維持していることになる。

ユングはオイゲン・ブロイラーの弟子であり、元々精神医学者である。後に内因性精神病と呼ばれるようになる重篤な精神疾患(精神分裂病等)の患者は、当時、大学付属の病院等で治療されており、市井の精神療法家は、神経症等の軽度な神経疾患を扱っていた。
フロイト及び精神分析学派の研究者は多くユダヤ系であった為、大学病院で勤務することができなかった。そのため、フロイトは精神分裂病の患者を本格的に診察した経験を持っていなかった。ユングの心理学を、無意識の理論として、精神分析の一派と見なす者がいるが、詳細に見ると、ブロイラーの理論を継承していることが分かる。

[編集] 無意識の研究とフロイトとの交流

「連想試験」の研究を通じて、フロイトとは独立に無意識の力動構造を見出したユングは、無意識の動力学構造を利用して、精神分裂病の治療が可能ではないかとの展望を抱いた。しかし、無意識の心理現象については未知の部分が多すぎ、ユングが学んだ正統的なドイツ精神医学には、無意識の研究は存在していなかった。

しかし在野の心理療法家と呼ばれていた人たちのなかには、無意識の心理現象に詳しい者が多く、ジャネもまた、心理療法家として無意識の力動理論を唱えていたのである。当時においては、ウィーンジークムント・フロイトが、無意識心理学と心理療法理論において名声をあげつつあり、ユングはフロイトから多くのものを学ぶことができると考え、他方、連想実験の研究ですでに無意識の研究家としての地位を得ていたユングと親交を結ぶことは、フロイトにとっても非常に意味と価値あることであった。

また、当時のドイツ・スイスの精神医学界において、ジークムント・フロイトを評価し、精神分析を肯定的・積極的に承認したのはオイゲン・ブロイラーであったことも重要である。ユングチューリッヒ大学精神科の講師であり、ブロイラーの後継者候補として有力な立場にあった。精神分析へのユングの接近は、ブロイラーの承認を得たもので、更に、ブロイラーはそのようなユングに期待したとも言うべきである。

こうしてユングはフロイトより精神分析を学び、フロイトの持っていた無意識についての豊富な知見を学ぶと共に、無意識の構造やその力動について、徹底的な議論を交わした。後にユングは『自伝』に記しているが、フロイトの無意識理解には限界があった。それはフロイトの弟子たち、追随者、共同研究者たちにも同様に言えた。ユングの主題であった、精神分裂病の力動を、フロイトの理論では解読できなかったし、治療法の指針もまた提示できなかったからである。

[編集] 目標喪失と新しい理論の構成

ユングは研究者として目標を失い、自分の研究の「意味」は何なのか疑問を抱く。ユングにとって、これは彼の精神の破局だとも言え、1913年、ユングはフロイト及びその学派と訣別すると共に、チューリッヒ大学講師の職も辞する。ある意味、ユングは精神分裂病に陥ったとも言える。

しかしユングはなおも不屈の意志で研究を続け、一見無関係に思えていたことが、実は深い関係があることや、様々な無意識の働きを見出す。例えば、研究の進展に行き詰まり、心を彷徨わせていたユングは、紙の上に落書きを描いていて、何故かそれが「」に似た形へと向かっていることを見出す。後に「マンダラの研究」として纏められた「心の全体性」の象徴としての「円=マンダラ」は、このようにしてユングに自覚されたものである。

1920年、フロイトとの訣別の7年後、ユングは、45歳で『心理学的類型 Pscychologishe Typen』を公刊し、彼自身の独自の深層心理学理論を発表する。

[編集] 分析心理学の成立

ユングは、フロイトの抑圧理論を仮定した無意識の構造は、より巨大で底知れぬ無意識の全体からすれば、表層の構造であり、更に深い心の部分に、意味と感情が有機的な連関構造を築いている膨大な領域があるとした。このような膨大な有機的統合に、何らかの亀裂・乖離が生じた場合、人間の心は精神分裂病を発病するのであると考えた。フロイトの抑圧理論の扱う層での乖離は「神経症」を齎すのであり、精神分裂病の機制はより深く、魂にとって本質的な層での障害である。

フロイトの抑圧理論は無意識の表層領域での力動で生じ、このような領域をユングは、「個人的無意識」と名づけた。フロイトの理論では、「無意識」は意味のない記憶イメージ感情が単に、秩序もなく堆積しているだけの場所である。

しかし、このような「無意識」が、膨大なその深層領域で「意味ある構造」を持ち、この構造を通じて、古代神話伝承、また当時、レヴィ=ブリュール(1857-1939)などの研究で明らかとなって来ていた、未開人や、様々な文化圏の人々の心理が理解可能となることをユングは知った。精神分裂病患者の荒唐無稽と思われていた妄想でさえ、パターン的に意味理解の道が開けた。ユングは、この膨大な深層領域を「集合的無意識」と名づけた。

カール・グスタフ・ユングの分析心理学は、このようにして成立した。それは無意識全体における動力学理論であった。

[編集] ユング心理学の影響

ユング心理学の「集合的無意識」と「元型」の概念は、神話学や民俗学、宗教学や文化人類学の研究者に大きな影響を与えた。

チューリッヒのユング研究所が主催したエラノス会議には、心理学宗教学、神話学、民俗学等の多様な研究者が出席し、会議において発表された論文は、学際的な研究成果として意味を持った。神話学者カール・ケレーニー、宗教学者ミルチャ・エリアーデ等は、ユング心理学より多くを学んだ。

その一方、ユングが生前、錬金術超常現象の研究なども志向し、「共時性」を、占星術テレパシー予知等を説明する原理としても考察したため、超常現象研究者やオカルト的宗教が、その主張を依拠させる科学理論として、ユング心理学を利用するというような事態も生じた。

このような逸脱または過剰解釈は、元々ユング心理学内部に含まれていた文学的・宗教的要素によると考えられる。フロイトの精神分析が、ポパーの規準による「反証可能性」の見地から、科学ではないと批判されたのとは別の意味で、ユング心理学の内在させる非科学性が批判されている。

[編集] ユング心理学年表

  • 1875年7月16日 カール・グスタフ・ユング、スイス・トゥールガウ州ケスヴィルに生誕。
  • 1900年 チューリッヒ大学付属精神病院助手となる。
  • 1902年 パリで、ピエール・ジャネの講義を聴講する。
  • 1904年 「連想試験」に関する論文を公刊。各国より招待を受け、講演を行う。
  • 1905年 チューリッヒ大学精神科講師に就任。
  • 1907年 ジークムント・フロイトと対面する。この後、フロイトより精神分析を学び、また深層心理学についての意見を交わす。
  • 1911年 国際精神分析協会会長に就任する。
  • 1913年 フロイト及び精神分析学派と訣別する。またチューリッヒ大学講師の職を辞する。
  • 1920年 『心理学的類型』を公刊する。
  • 1921年 北アフリカ旅行。
  • 1924年-25年 北米でプエブロ・インディアンの元で暮らす。
  • 1926年 アフリカ・ケニヤのエルゴン山に学術調査旅行に赴く。
  • 1930年 リヒャルト・ヴィルヘルムと共著で『黄金の華の秘密』を公刊。
  • 1933年 スイス・アスコーナで、エラノス会議開催される。以降、毎年一回開催。
  • 1939年 フロイト、亡命先ロンドンで、末期癌により安楽死(83歳)。
  • 1942年 カール・ケレーニーと共著で『神話学入門』を公刊。
  • 1948年 チューリッヒ・C・G・ユング研究所設立。
  • 1961年6月6日 カール・ユング逝去(85歳)。
  • 1988年 エラノス会議終了。

[編集] 関連項目

[編集] 参考文献

  • ヨランデ・ヤコービ 『ユング心理学』 日本教文社 1973年
  • アニエラ・ヤッフェ編 『ユング自伝』 みすず書房
  • カール・グスタフ・ユング 『タイプ論』 みすず書房 1987年
  • カール・グスタフ・ユング 『分析心理学』 みすず書房 1976年
  • カール・グスタフ・ユング 『人間のタイプ』 (ユング著作集1) 日本教文社 1970年
  • カール・グスタフ・ユング 『現代人のたましい』 (ユング著作集2) 日本教文社 1970年
  • カール・グスタフ・ユング 『こころの構造』 (ユング著作集3) 日本教文社 1970年
  • カール・グスタフ・ユング 『人間心理と宗教』 (ユング著作集4) 日本教文社 1970年
  • カール・グスタフ・ユング 『人間心理と教育』 (ユング著作集5) 日本教文社 1970年
  • Carl Gustav Jung 『 AION 』 Second Edition, Princeton University Press, 1968年
  • C・G・ユング/M・L・フォン・フランツ 『アイオーン』 (ユング・コレクション) 人文書院 1990年
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