飛行機雲
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飛行機雲(ひこうきぐも)は飛行機の航跡に生成される細長い線状の雲。高空を飛ぶジェット機などのエンジンからの排気中の水分、あるいは翼近傍の低圧部が原因となって発生する。英語では、"contrail"(コントレイル)。

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[編集] 生成過程

飛行機雲は次の2つの原因によって生ずる:
発生原因がいずれであれ、軍用機(特に戦闘機)で長い飛行機雲を引くということは、レーダー技術が発達したとはいえ敵から容易に視認されるので、場合によっては致命的となる。このため、いかに飛行機雲を少なくするかについては発生原因とともに研究が続けられている。
飛行機雲を消す手法として、アメリカ空軍のB-2では塩化フッ化スルホン酸を排気に混ぜ、飛行機雲の発生を抑える機能が備わっている。
[編集] エンジン排気によるもの
エンジンの排気により、空気中の水分が増加し飽和水蒸気量にまで達する場合がある。結果それが凝縮し水滴、氷になり雲となる。航空機の燃料はレシプロエンジンの場合はガソリン、ジェットエンジンの場合はケロシン(灯油に近い)が使われる。いずれも主な成分は炭化水素であり、炭素は燃えて二酸化炭素になり、水素は水となる。水の量は燃料の量とほぼ同じでありそれが熱せられて水蒸気として放出される。もともと存在する水分と合わせてこれが水滴になり、さらに高高度の低温の下で氷結して飛行機雲となる。
エンジンが4基ある飛行機からは4本の雲が出るが、片側2本ずつがまとまって合計2本しか出ていないように見えることがある。航空機の機種を知る手がかりにしようとする場合は注意が必要である。
[編集] 翼まわりの低圧部によるもの

揚力が生じている飛行機の翼周辺では気圧が低くなっている部分がある。気圧の低下は温度の低下をももたらし、それが飛行機雲を発生させることがある。
翼端付近では翼下面と上面の気圧差から翼端渦と呼ばれる渦が生じており、中心付近の低圧部で雲が生じやすい。ドッグトゥース(dog tooth, 犬の歯 - 翼の切り欠き部)やLEX(Leading Edge eXtention, 胴体と接するあたりの翼前縁部が延長されたもの)といったところに生ずる渦によっても生成されることがある。
ただし、いずれも大きな揚力が必要な引き起こしや旋回といった高G機動時に生じやすく(大きな揚力が生じているときにはより低圧になっているため)、水平飛行時にはふつうこの種の雲は見られない。しかしながら、高揚力装置の一種であるフラップを完全に展張し揚力を大きく増す着陸時には、高G機動ではないものの、フラップ端や翼端に渦による雲が生ずることがある(#外部リンク参照)。
翼周辺に生ずるものよりも排気ガスによる雲の方が永く安定して残る傾向にある。
[編集] 気象への影響の観測(2001年9月11日)
アメリカのような航空交通の需要が大きな地域では、飛行機雲が気象にも影響しているとの仮説が以前からあった。すなわち日中は太陽光を、夜は地表からの熱放射を遮るというものである。この仮説を検証する機会が2001年9月11日に訪れた。同時多発テロ後、3日間に渡りアメリカ全土における飛行が禁止されたことで、飛行機雲が無い状態では昼夜の温度差が約1 C°増加したとの観測結果が得られた。
[編集] 消滅飛行機雲
空中に雲を描く飛行機雲とは逆に、飛行機が通った航跡として、雲中に雲のない部分が筋状に残ることがあり、これは消滅飛行機雲と呼ばれる。
[編集] 関連項目

- 航空ショーなどでアクロバット機が作るスモークは油を使って生成しており、本来の飛行機雲ではない。
- Prandtl-Glauert Singularity - 高速飛行時に飛行機の周囲に生じる楕円状の雲について