FON
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FON(フォン)とは、無線LANを利用してインターネットアクセスを会員相互で世界中で共有するシステム及びそれを提供する企業。
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[編集] 概要
企業としての FON は 2005年11月にスペインで設立されたベンチャー企業である。創業者はマーティン・バーサフスキー(Martin Varsavsky)。日本では2006年12月4日よりサービスを開始している。
事業内容は無線LANアクセスポイントを共有するシステムの提供とその専用ルータの販売を行っている。 このシステムに参加する方法は 3種類あり、それぞれ Linus、Bill、Alien に区分される(ただし日本では現在 Bill、Alien のサービスは行っていない。Alienについては2007年夏開始予定)。またFONの利用者はFoneroと呼ばれる。日本は、世界で3番目にFONユーザーが多い。
- Linus
- 登録したユーザは全てのアクセスポイントを無料で使用できる。ただし自分の持つ無線ルータを常にアクセスポイントとして無料で提供し続けなければならないという条件がある。
- Bill
- Linusとは逆にアクセスポイント開設すると、アクセスポイント使用料の50%が報酬として FON社から支払われるが、自らがアクセスポイントを利用する際には使用料金を払わなければならない。
- Alien
- 他の2つと違い、自らアクセスポイントを開設する必要はないが、有料で開設されているアクセスポイントを使用することが出来る方式である。
アクセスポイントを開設するには同社より提供されているソフトウェアを自分の持つ無線LANのルータにインストールするか、専用のルータを購入することにより実現される。ソフトウェアに関してはオープンソースで提供されている。
なおサービスの Linus と Bill の名前の由来はLinuxの開発者リーナス・トーバルズ (Linus Torvalds) とマイクロソフトの創始者ビル・ゲイツ(Bill Gates)から来ている。
[編集] 会社の沿革
- 2005年11月 - スペインで設立。
- 2006年2月 - Google、Skypeなどが合計で1,800万ユーロ(約25億7,000万円)を出資し話題になる。
- 2006年8月 - 日本法人「フォン・ジャパン」設立。
- 2006年12月 - 日本での運用を本格的に開始、専用ルータ「ラ・フォネラ」を販売開始する。
- 2007年3月 - Googleに加え、伊藤忠商事やエキサイトなど日本企業より新たに1,000万ユーロの出資を受ける。
[編集] MacOSでの不具合と対策
FON社のサイトはMacOSの標準ブラウザであるSafariには非対応である。
また 使用している無線LAN がMacOS XとAirMacの場合、専用ルーターであるラフォネラはパブリック用の無線LANセッティングを簡単に行えるがプライベート用(My Place)の無線LANと AirMac はつながらない。対策としては
- システム環境設定、ネットワークで内蔵EthernetのIPv4の設定を手入力にしIPアドレスを169.254.255.0にする。
- LANケーブルで直接ラフォネラとMacを繋ぐ。
- ブラウザ(Firefoxなど)でhttp://169.254.255.1と入力しラフォネラにアクセス。UserID,Pass Wordともにadmin.
- メニュー欄より「Private WiFi」を選択して「Private WirelessSettings」の ページが表示されたら「Authentication」の設定を、初期状態の"WPA/WPA2-Mixed"から"WPA2"に変更し、 "Submit"ボタンを押して更新する。
- システム環境設定ーネットワークの設定を元に戻す。(多くの場合、DHCPサーバを参照)
- 以上でAirMacからラフォネラのMy Placeに接続できる。Wepパスワードはフォネラ本体に書いてある。
[編集] 使用可能なエリア(スポット)
FONのアクセスポイントは、公衆無線LANネットワークのアクセスポイントとは異なり、大半は個人によって設置されたものである。そのため都心部の駅や商業地域を中心に展開されている公衆無線LANとは逆に、住宅街を中心にスポットが形成されている。
このため公衆無線LANの代わりになるものではなく、公衆無線LANがカバーしていない住宅街を補完するものといえる。なお電波が届けば近所の住人が開設しているアクセスポイントを自宅から利用することも可能であるが、日本においては自身もアクセスポイントを開設しなければならない Linus のサービスのみのため、ISPとの契約を免れる目的で使用することはできない。
その一方で、自分がアクセスポイントを一ヶ所開設すれば複数のFONアクセスポイントを利用できるので、会社のネットワークなど私用で使えない場所で無線APを利用できる。さらにはニンテンドーDSやPSP、mylo、W-ZERO3などのWi-Fi機器の可能性を伸ばす使い方が考えられる。
[編集] 法的問題
日本のISPの利用規約には事業者に無断で通信回線やインターネット接続アカウントを他人に提供してはならないと言う契約約款が存在するものが多い。このためFONに登録するには自身が契約している ISP が FON を利用することに承諾していることを確認する必要がある。また業として他人に無線アクセス回線を提供する場合、利用者は電気通信事業法の適用を受ける。そのため、法改正がされない限り、Billの提供は出来ないとしている。
さらに、自身が契約している回線を利用して他のFON利用者が違法行為(不正アクセスや詐欺等)を行った場合、使用されたIPアドレスなどの情報をもとに警察などの捜査機関がISPに対して利用者の照会を行うため、他人の違法行為によって一度は自身が捜査対象となる可能性があることに留意する必要がある。
また、専用ルータ「ラ・フォネラ」は低価格(市場価格¥1,980)で販売されており、発見・撤去された場合の金銭的損失が小さいため、ネットワーク管理者に許可を得ずに設置されるアクセスポイントが増える懸念がある。沿道に電波の届く可能性がある低層階にオフィスを構える企業、不特定多数の客が訪問する役所や店舗、ネットワーク対応ゲームの主な利用者層が通う学校などのネットワーク管理者は、承認していない機器がネットワークに接続されないようにセキュリティ対策を施す必要があるといえる。
- FON の利用の禁止を明示しているプロバイダ
[編集] 外部リンク
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