HP 9000
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HP 9000は、ヒューレット・パッカード(HP)社の一連のコンピュータシステムの総称である。
最初のシステムは1982年に登場した シリーズ 520 である。 それより以前の機種である HP 9836 は後に HP 9000 シリーズ 236 として編入された。 HP 9000 の全ての機種は HP-UXオペレーティングシステムを動作させることができる。 多くの機種はLinuxオペレーティングシステムも動作させることができる。 いくつかの機種ではNEXTSTEPオペレーティングシステムが動作できる。
当初、HP 9000 シリーズ 500 系列では、FOCUSアーキテクチャをベースとしていた。 後に HP 9836 が編入され、HPはモトローラのM68kアーキテクチャを シリーズ200, 300, 400 で使用した。 HPは独自のRISC設計であるPA-RISCに移行し、シリーズ 700, 800, 400 で使用している。 現在のモデルはPA-RISCか、後継のIA-64アーキテクチャである。
HPは1989年にアポロコンピュータ社を買収後にシリーズ 400をリリースしたが、これは Apollo 400 としても知られている。 これらの機種はHP-UX以外にアポロのDomain/OSも動作した。
2001年、HPは HP 9000 サーバの機種名のつけ方を変更した。 Aクラスは rp2400s に、Lクラスは rp5400s に、Nクラスは rp7400s に変更された。 "p" というプレフィックスは PA-RISCアーキテクチャを意味している。 "x" は IA-64 を使った Integrity サーバを示す。 なお、Integrity サーバはこの項目では扱っていない。
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[編集] シリーズと機種
以下はHPが HP 9000 ラインとして製造したシリーズと機種を示している。
[編集] 旧シリーズのサーバ
- 800 シリーズ — 807, 817, 822, 825, 827, 832, 835, 837, 842, 845, 847, 850,855, 857, 867, 877, 887, 897
- 1200 FT シリーズ — 1210, 1245, 1245 PLUS
- Dクラス — D200, D210, D220, D230, D250, D260, D270, D280, D300, D310, D320, D330, D350, D360, D370, D380, D390
- Eクラス — E25, E35, E45, E55
- Fクラス — F10, F20, F30
- Gクラス — G30, G40, G50, G60, G70
- Hクラス — H20, H30, H40, H50, H60, H70
- Iクラス — I30, I40, I50, I60, I70
- Kクラス — K100, K200, K210, K220, K250, K260, K370, K380, K400, K410, K420, K450, K460, K570, K580
- Rクラス — R380, R390
- Tクラス — T500, T520, T600
- Vクラス — V2200, V2250, V2500, V2600
[編集] Nクラス
Nクラスは 10Uサイズのサーバで、最大8プロセッサ、PCIバス17スロット(うち15スロットがユーザ用)である。 ふたつのMercedバスを持っていて、それぞれに4プロセッサぶんのスロットがある。 NUMAマシンではなく、全メモリに対して等しくアクセスすることができる。 しかし、I/Oは等しくなく、Ike IOMMUがバス毎にありCPUは特定のI/Oスロットに近いという構造を持っている。
NクラスはItanium化可能として販売された。 もちろんItaniumは搭載できるとしても、Nクラスがリリースされた当時 Itaniumはまだリリースされておらず、その後にItaniumをNクラスに搭載するアップグレードが発表されたこともない。 Nクラスは、Mercedバスを使うためにDEWと呼ばれる特殊なアダプターをPA-RISCプロセッサに使っていた。
N4000は、プロセッサがアップグレードされ、それによって機種名も N4000-36, N4000-44, N4000-55 とプロセッサのスピードを表す数字がついていた。2001年に rp7410 へと改名された。
[編集] Lクラス
Lクラスは 7Uサイズのサーバで、最大4プロセッサ(機種によって最大は異なる)である。 PCIバス12スロットのうち10スロットがユーザ使用可能である。 2001年に rp5400 と改名された。
L1000 と L2000 は A400 と A500 によく似ており、Astro/Elroyの組み合わせに基づいている。 当初 360MHz PA8500を搭載していたが、後に 440MHz PA8500 と 550MHz PA8600 にアップグレードされた。
L1500 と L3000 は N4000 とよく似ていて DEW/Ike/Elroy の組み合わせとなっている。
[編集] Aクラス
A180 と A180C は 32ビット 1プロセッサの 2Uサーバであり、PA7300LCプロセッサにASICのLasiとDinoを搭載している。
A400 と A500 サーバは 64ビット 2プロセッサの 2Uサーバであり、PA8500 あるいはその後継プロセッサを搭載し、Astro IOMMU と Elroy PCIアダプタを使用している。 A400-36 は 360MHzのPA8500を搭載し、A400-44 と A500-44 は 440MHzである。 A500-55 は 550MHzのPA8600を搭載し、A500-75 は 750MHzのPA8700を搭載している。
2001年、Aクラスは rp2400と改名された。
[編集] 新シリーズのサーバ
- rp2400's — rp2400, rp2405, rp2430, rp2470
- rp3400's — rp3410-2, rp3440-4
- rp4400's — rp4440-8
- rp5400's — rp5400, rp5405, rp5430, rp5450, rp5470
- rp7400's — rp7400, rp7405, rp7410, rp7420-16
- rp8400's — rp8400, rp8410, rp8420-32
- Superdomes — SD-32, SD-64, SD-128
[編集] ワークステーション
- シリーズ 100 —
- シリーズ 200 — 236
- シリーズ 300 — 310, 318, 319, 320, 322, 330, 332, 340, 345, 350, 360, 362, 370, 375, 380, 382, 385
- シリーズ 400 (Apollo 400) — 400dl, 400s, 400t, 425dl, 425e, 425s, 425t, 433dl,433s, 433t
- シリーズ 500 — 520
- シリーズ 600 — 635SV, 645SV
[編集] シリーズ 700
シリーズ 700 は "Snakes"ワークステーション(705, 710, 720, 730, 750)から始まった。 これらは PA7000プロセッサを搭載し、NCR 53c700 SCSIコントローラを備えていた。
後継機種(715/33, 715/50, 715/75, 725/50, 725/75, 735/99, 735/125, 755/99, 755/125)はPA7100プロセッサを搭載していた。 スラッシュ(/)の後の数字はプロセッサのクロック周波数を示している。
さらに後継として 712/60, 712/80, 712/100, 715/64, 715/80, 715/100, 715/100 XC, 725/100が登場した。 これらは PA7100LC プロセッサと Lasi ASIC を搭載してGSCバスで接続されていた。 Lasi ASICは、NCR 53c710 SCSIインターフェイスとインテルのApricot 10Mビットイーサネットインターフェイス、CD品質のサウンド、PS/2キーボードおよびマウス、シリアルとパラレルポートをまとめたものである。 712シリーズ以外は、Wax ASIC を使ってEISAアダプタを接続しており、二つ目のシリアルポートとHILバスをサポートしている。
[編集] 工業用ワークステーション
742, 743, 744, 745i, 747i, 748,
[編集] B, C, J クラス
C100, C110, J200, J210, J210XC は PA7200プロセッサを搭載し、UTurn IOMMUを経由して Runwayバスを接続している。 C100 と C110 はシングルプロセッサで、J200 と J210 はデュアルプロセッサである。 UTurn IOMMUはふたつのGSCバスを持っている。 これらのマシンはLasiとWax ASICを使っている。
B132L, B160L, B180L, C132L, C160L, C180L は PA7300LCプロセッサを搭載している(PA7100LCの進化版)。 これらのマシンは Dino GSC to PCIアダプタを使っている。 DinoはPCIアダプタとしてだけでなく、Waxの代わりにふたつめのシリアルポートも提供している。 これらのマシンはオプションでWax EISAアダプタを搭載する。
C160, C180, C180-XP, J280, J282 は PA8000プロセッサを搭載した最初の64ビット化可能なワークステーションである。 ただし、通常は32ビットモードで動作していた。 これらは、従来と同様のRunway/GSCアーキテクチャをベースとしている。
C200, C240, J2240 は PA8200プロセッサを搭載し、C360 は PA8500 プロセッサを搭載している。
B1000, B2000, C3000, J5000, J7000 は PA8500プロセッサを搭載しているが、従来とは構造が異なっている。 U2/Uturn IOMMUとGSCバスは消え去り、Astro IOMMUが搭載された。 これによりいくつかのElroy PCIアダプタを接続する。
B2600, C3600, J5600 は PA8600プロセッサを搭載している。 J6000はラックマウント可能なワークステーションで、タワー型として設置することもできる。
C3650, C3700, C3750, J6700, J6750 は PA8700プロセッサを搭載している。
C8000 はデュアルコアのMakoプロセッサを搭載している。 MckinleyやMadisonと同じIA-64プロセッサであり、zx1チップセットを使用している。 Elroy PCIアダプタは、Mercury PCI-Xアダプタで置き換えられ、Quicksilver AGP 8xアダプタを搭載している。