NEXTSTEP
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開発者: | NeXT |
OSの系統: | UNIX |
ソースコード: | クローズドソース |
最新リリース: | 3.3 / 1995年 |
カーネル種別: | ハイブリッドカーネル |
ライセンス: | プロプライエタリ |
開発状況: | 終了(OPENSTEPに引継ぎ) |
NEXTSTEP(ねくすとすてっぷ)は、NeXTコンピュータ社独自のオブジェクト指向マルチタスクオペレーティングシステムである。同社独自のコンピュータシリーズ上で動作するよう開発された。
NeXTSTEP 1.0 は、1986年からのプレビューを経て1989年9月18日にリリースされた。 そして最終リリースとなった 3.3 は1995年にリリースされている。 最終リリース時点では、モトローラ68000ファミリ(NeXT社のマシン)だけでなく、インテルのx86(IBM互換機)、サンのSPARC、HPのPA-RISCでも動作した。 3.2 のリリース時点でNeXT社はサン・マイクロシステムズと共同でOPENSTEPの開発に着手した。 こちらはNEXTSTEPの上位フレームワーク層のみを色々なOS(NEXTSTEP、Microsoft Windows NT、Sun Solaris)上で動作できるようにしたもので、NEXTSTEP 3.2をベースにしている。
名前の大文字、小文字の組み合わせはいろいろなバリエーションがある。時間軸で並べると、最初に NextStep、次に NeXTstep、そして NeXTSTEP、最後に NEXTSTEP となった。 関係者が一般に使うのは NeXTstepである。 OPENSTEPリリース時、NeXT社は従来のNEXTSTEPをOPENSTEP 4.0 for Machという名前に改称しリリースした。
NeXTSTEP にはいくつかの構成要素がある。
- Machカーネルに基づいたUNIX風オペレーティングシステム。ただし、カリフォルニア大学バークレー校のBSD Unixのソースコードも取り入れている。
- ディスプレイ・ポストスクリプトとウィンドウ・エンジン
- Objective-C言語とランタイム環境
- オブジェクト指向アプリケーション層、いくつかのキットを含む。
- オブジェクト指向層のための開発ツール
NeXTSTEPの名声は、最後の3要素によるものである。 ツールキットは極めて強力で、マシン上のあらゆるソフトウェア構築に使われた。 特徴的なObjective-C言語はNeXTSTEPでのアプリケーション開発を他のシステムよりずっと容易にしている。 このため、このシステムは15年以上経った現在でもコンピュータ開発の模範と言われることが多い。
NeXTSTEPのユーザーインターフェイスは洗練されていて整合性が高く、OPENSTEPやMac OS Xでも採用されたDockというアイデアがあり、Shelfという仕組みもあった。NEXTSTEPのファイルマネージャであるWorkspace Managerは多数のファイルを管理するのに便利であり、特有のカラム表示のコンセプトはMac OS XのFinderをへてiTunes、iPodのインターフェースに引き継がれている。
NeXTSTEPは他にも今では一般的な数々のGUIコンセプトを生み出した(あるいは非常に初期に導入した)。 三次元的なウィジェット、システム全体で共通なドラッグ・アンド・ドロップ、システム全体のパイプサービス、リアルタイムスクロールとウィンドウドラッグ、プロパティダイアログ("inspectors")、ウィンドウを変化させて何かを知らせる(たとえば、ファイルセーブ状況など)といったことである。 他にもいろいろな面で初めてのものが導入されている。印刷用カラー標準への対応、アルファチャンネル(白黒時代からアルファ値を持っていた)、洗練されたサウンドと音楽処理(モトローラの56000DSPを使用)、グラフィックの基本要素、国際化、全てのアプリケーションで同一の文字表示(組版)などである。
追加のキットが製品として出ている。 それには、Portable Distributed Objects(PDO)というリモート実行(呼び出し)ができるものや、WebObjectsの元となったEnterprise Objects Framework(EOF)というオブジェクト指向データベースシステムがあった。 これらのキットはカスタムアプリケーションプログラマには面白いものであり、NeXTSTEPは金融系プログラミングの世界では長く使われた。
1997年、アップルコンピュータ社はNeXT社を獲得し、OPENSTEPオペレーティングシステムをMac OS Xのベースとして使用した。 Mac OS XがOPENSTEPから受け継いだものはCocoa開発環境に見ることができる。そこではObjective-Cのライブラリクラスは"NS"というプレフィックスが付いている。
Mac OS XのAquaとFinderはQuartzやHFS+といったNEXTSTEPにはない機能を生かすためにCarbon APIで新規に開発されたものだが、NEXTSTEP独自のユーザーインターフェースの特徴の多くを引き継いでいる。
OPENSTEPのクローンの実装もGNUstepとして存在している。(GPLライセンス)
世界初のWebブラウザであるWorldWideWebはNeXTSTEPプラットフォーム上で開発された。 最近のブラウザでも見られるいくつかの機能とキーボード・ショートカットはNeXTSTEPが持っていた機能に由来している部分がある。 それを他のブラウザではブラウザ自身の機能として再実装しているのである。 HTML 1.0 と 2.0 における基本的なレイアウトオプションはNeXTのTextクラスで可能だった機能に由来している。 DOOMというゲームも主にNeXTマシン上で開発された。 ほかにも、Macromedia FreeHand、Mathematicaの"Notebook"インターフェイス、Lotus ImprovなどがNeXTマシン発祥である。