Microsoft Visual Basic
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Microsoft Visual Basic(マイクロソフト ヴィジュアル ベーシック、VB)はBASIC言語を基に作られたマイクロソフトのスタンドアロン開発用プログラミング言語であり、RADに対応した統合開発環境の名称。Version 6.0まで開発された。
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[編集] 概要
マイクロソフトのQuick BASICを拡張したもので、Microsoft Windows (Windows) 用のアプリケーション開発、および Web用のアプリケーション開発を行うことができる。Visual Basicを略してVB(ブイビー)と呼ぶことも多い。当初からWindows向けに開発されたため、同社製品との親和性は非常に高い。Version 1ではWindows版の後にMS-DOS版が発売されており、キャラクタベースにもかかわらずコントロールを配置してGUIを構築することができた。ただしキャラクタベースであるため、グラフィックスの描画はフォームを使用した場合、不可能である。
一般にプログラミング初心者用といわれ、フォーム上にあらかじめ用意された各種のGUIパーツ(コントロール)を配置して、それらのプロパティが変更されたり、マウスでクリックされたりするなどイベントが発生した場合の処理を記述(コーディング)してゆくことで、プログラムを作成することができる。グラフィックの描画などGUIを実現するときに付随する定型的な画面管理はパーツの内部で行なわれ、ユーザがコーディングする必要がないため複雑なGUIを利用したプログラムを簡単に作成することができる。
言語仕様は純粋なBASIC言語に比べかなり拡張されており、構造化プログラミングやオブジェクト指向に近い概念が取り入れられているが、オブジェクト指向言語の一般的な特徴であるカプセル化、継承、多態性の3要素のうち、継承にあたる機能はない。
初心者用というものの、Visual Basic本体は高度な機能を持っており、かなりの機能を持つソリューション開発も出来る。ただし、実行速度はC/C++で記述したネイティブプログラムに比べ10倍から20倍遅いと言われている。また、敷居の低い開発言語であるため、非難や侮蔑の対象となることがある。しかし簡易性からハイレベルのプログラマにも根強いファンも多い。
作成したアプリケーションを実行するには別途マイクロソフト製のランタイムライブラリのインストールが必要となるが、これは作成したアプリケーションのパッケージに同梱して配布することがマイクロソフトにより認められている。
DirectXでは7.0からVisualBasic上での開発環境が与えられた。
[編集] VBA (Visual Basic for Applications)
Microsoft Office製品などのアプリケーションにはVisual Basic for Applicationsが搭載されているが、上で述べたものとの大きな違いは、搭載アプリケーション内でしか実行できない点にある。
搭載アプリケーションの代表格であるMicrosoft Office製品は、各アプリケーションをオブジェクトとして操作できるようになっており、Excelを例にとると、ファイル全体をさすBookクラス、スプレッドシートのセルをあらわすRangeクラス等が、VBAから操作できる。
[編集] VB Ver.6
VB6自体の言語構造が古かったために、以下のような不都合が指摘されてきた。
- アプリケーションのバージョンの違いからトラブルが起きやすい。(DLL地獄)
- マルチスレッド機能が無い
- 他の言語との情報共有が乏しい
- アプリケーションのインストールが面倒である
- エラー処理機能が弱い
- インターネットに対応したアプリケーションの開発が面倒
これらの事から改良の手が加えられ、VB.NETが誕生した。 しかし言語仕様の大幅な改訂のために、VB6とVB.NETとの互換性はほとんど無くなっている。
[編集] VB.NET
2002年には、このVisual Basicを基に強いオブジェクト指向の概念を取り入れた新しい言語Visual Basic.NETが開発された。VB.NETはVB6の後継言語とされ、Microsoft社の「.NET Framework」という新しい技術基盤に対応している。
VB.NETは新たにサーバー用のプログラム、Web用のプログラムが開発出来るなどのネットワーク開発機能が追加された。VB6の後継といっても、豊富なデバッグ機能が追加されたり、中間コード形式になるといった言語設計思想そのものが変わるなど、様々な点で大幅な機能の追加および削除が行われた。