PNF
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PNF(Proprioceptive Neuromuscular Facilitation)日本語訳・・固有受容性感覚器 神経ー筋 促通法は1940年代にアメリカで誕生したリハビリテーションなどで用いられる促通手技の一つの方法である。
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[編集] 歴史
1940年代にアメリカの神経生理学者であった、ハーマン・カバットが理論構築し、1950年代に理学療法士のマーガレット・ノット、ドロシー・ボスらによってその具体的方法、及び手技が確立された。促通方法(以下ファシリテーションテクニック)は1950年代のアメリカの作業療法士マーガレット・S・ルードの考案した、現在ルード・アプローチと呼ばれるもので徒手、ブラシ、氷さらにはゴムバンドや振動、臭いといったものまで様々である。 さらにはスイスのバート・ラガツはPNFを水中で行い、その技術を水中PNFとして発展させている。 これらのファシリテーションテクニックを習得するのに時間がかかり、また、それを実践できる人材もそこまで豊富に存在しない為、日本スポーツPNF協会は1996年2月を持って解散している。
しかし、医療分野では、1997年に日本初の国際PNF協会認定コース受講者が中心となり、日本PNF研究会が発足し、2000年に日本PNF協会(JPNFA)に改称し、日本における固有感覚受容性神経筋促通手技(PNF)の進歩・発展とPNFの正しい普及を図ることを目的とし活動している。会員数280名(2005年現在)である。
[編集] リハビリ以外への応用
人間の本来の動作である、対角、ねじれを伴った螺旋の動作、反射等、柔軟性の向上を引き出せるファシリテーションテクニックを持つため、パフォーマンスの向上、傷害の予防、及び回復に効果を示すという観点からスポーツ・・例を挙げると野球等のプレーヤー、例:野茂英雄も採用していた事がある。
[編集] 理論の拡張
シンプルに構成されているその理論の性質から後世の人物達がこの理論を基に新たな理論を作り出すという土台にもなっている。 FNC理論もその一つであるし、小山裕史が1994年に発表した初動負荷理論も理論構築の際に参考にしたと言われている。
[編集] 生理学的見地
何故、諸々のファシリテーションテクニックによって、筋繊維内部に配置されている筋紡錘及び腱紡錘と呼ばれる感覚受容器(筋の張力や長さを計る器官)に訴えかけ(インパルス)神経細胞の興奮などを利用し、運動回路における神経、筋出力等の促通と抑制を図る事が出来る。しかし、神経筋回路にフィードバックがなされ、その結果柔軟性の向上や筋力向上が見られるのかは、現段階の生理学的見地では未だに疑問を持てる領域を孕んでいる。つまり現在知られているファシリテーションテクニックの結果として得られる促通は神経生理学的な経験則の蓄積が主な根拠とされている。詳しいメカニズムは不明だが、それでも数々のファシリテーションテクニックによって効果を挙げているのは紛れもない事実である。