Pocket PC
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Pocket PC (ポケットピーシー)は、マイクロソフトが組み込み機器向けOSであるWindows CEをベースに開発した、PDA向けプラットフォームである。あるいは、それを搭載したPDAのことを指す。正確にはOSの名称ではないのだが、OS名として呼ばれることも多い。なお現在の最新版は「Windows Mobile」と呼ばれることが多い。狭義には通話機能を持たないものを指すが、広義には2005年に発売されたウィルコムのW-ZERO3のようなスマートフォンをも含めることもある。PPCあるいはP/PCと略す。
前身は1998年にPalm PCという名称で発表されたが、Palmに酷似しすぎているのですぐにPalm-size PCという名前に変更された。2000年に発表されたバージョンからPocket PCと改称された。日本では2002年から2003年ごろにかけて、相次いで各社が参入し多くの機種が投入されたが、現在ではノートパソコンの小型軽量化や携帯電話の多機能化により、PDA市場そのものが縮小傾向にある。そのため、現在でも通話機能を持たない純粋なPDAとしてのPocket PCの新機種を開発し投入しているのは、ヒューレット・パッカード、デルなど数少ない。
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[編集] バージョン
- Palm-size PC 1.1
- 1998年12月3日発表。白黒ディスプレイ。PsPC 1.1。
- Palm-size PC 1.2
- WindowsCE 2.11ベース
- 1999年2月22日発表。カラーディスプレイに対応。PsPC 1.2。
- Pocket PC
- Windows CE3.0ベース
- 2000年7月13日発表。正式名称は「Microsoft Windows Powered Pocket PC」。略称は「PPC」、または「PPC2000」。
- マルチタスク対応のWindows CE 3.0がベースとなったほか、「Pocket Internet Explorer」や「ファイルエクスプローラ」を搭載。
- Pocket PC 2002
- Windows CE3.0ベース
- 2001年10月5日発表。正式名称は「Microsoft Pocket PC 2002 Software」。略称は「PPC2002」。
- Windows XPに準じたインターフェイスを採用したほか、Windows Media Playerが標準で搭載される。また、これ以降はARM系CPUのみ対応となった。
- Pocket PC 2003
- WindowsCE .NET 4.2ベース
- 2003年6月30日発表。正式名称は「Microsoft Windows Mobile 2003 Software for Pocket PC」。略称は「PPC2003」。
- 入力方式が新しくなったほか、無線LANやBluetoothの機能が強化された。新たに画像ビューワ「Pictures」等が標準搭載。このバージョンから「Windows Mobile」という正式名称が使われるようになったが、Pocket PC、Pocket PC 2002の後継バージョンということで「Pocket PC 2003」という呼称の方が一般的であった。
- Pocket PC 2003 Second Edition
- WindowsCE .NET 4.21ベース
- 2004年7月6日発表。正式名称は「Microsoft Windows Mobile 2003 Second Edition Software for Pocket PC」。略称は「PPC2003SE」。
- VGAの高解像度ディスプレイ、画面の縦向き・横向きの切り替えのほか、内蔵キーボードにも対応。
- Windows Mobile 5.0
- WindowsCE 5.0ベース
- 2005年8月23日発表。正式名称は「Microsoft Windows Mobile 5.0 for Pocket PC」。略称は「WM5.0」。
- 全体的なインターフェイスや各ソフトウェアがバージョンアップされたほか、Office互換アプリの名称が「Word Mobile」、「Excel Mobile」、「Internet Explorer Mobile」と改称され、新たに「PowerPoint Mobile」が標準搭載された。
- Windows Mobile 6.0
- Windows CE 5.0ベース
- 2007年2月12日発表。正式名称は「Microsoft Windows Mobile 6.0 Classic」。従来の「Pocket PC」は「Classic」に、「Pocket PC Phone Edition」は「Professional」に改称された。
[編集] 特徴
- オペレーティングシステム(OS)は、Microsoft Windows CEである。
- CPUは、ARMベースのものを採用している。
- PPC2002より前のデバイスではARM系以外にSuperHやMIPS系のものも多数あった。
- 現在のハイエンド端末で主に用いられているものとして、インテルのPXA270アプリケーションプロセッサ(624MHz)などが挙げられる。
- 主記憶装置は、SDRAMとフラッシュROMを採用している。ハードディスクドライブ(HDD)は内蔵しない。
- プログラムの実行には、通常のパーソナルコンピュータと同様にSDRAMが用いられる。
- ファイルや設定等のデータの保存は、HDDを持たないためSDRAMを主に使用するが、そのために電池切れを起こすと全て初期化されてしまう。ただし、ほとんどの機種には外部記憶装置としてメモリーカード(主にSDメモリーカードやコンパクトフラッシュ)のスロットが備えられているため、そちらにファイルや設定をバックアップすることが可能である。また、2003年以降の機種にはフラッシュROMの一部をユーザーがファイルの保存等に利用できるようになっているものも存在する。(Pocket PCにおけるフラッシュROMの主な役割はOSのデータ記録領域であり、それらの領域はユーザーが書き換えられないようになっている)
- 画面は3~4型のタッチパネル式液晶ディスプレイである。
- キーボード、マウスはない。
- PDA型の、狭義のPocket PCにはキーボードにはないが、逆にスマートフォン型の機種ではあるものの方が多い。なお、外付けのキーボードはある。
- 前面の下部には(最低でも)4つのボタンがある。
- 中央には、上下左右のメニュー移動と決定を入力するカーソルボタンが1つ(PPC2000以前は無い機種も存在する)。
- スクロールボタンの左右には3つ以上のアプリケーションボタン。
- 下部にはUSBケーブルでのPCとの通信や、充電に用いる端子がある。
- 他には赤外線通信ポート(IrDA)やイヤホンジャック、マイク、アプリケーションボタン等がある。
- 近年は、無線LANやBluetooth等の無線通信機能があるものが多い。
[編集] ソフトウェア
Pocket PCには以下のマイクロソフト社製ソフトウェアが標準でインストールされている。他にもデバイスのメーカーが様々なソフトウェアを付属させることが多い。
- Pocket Outlook
- 連絡先
- 予定表
- 受信トレイ
- 手書きメモ
- 仕事
- Pocket Internet Explorer (WM5.0以降はInternet Explorer Mobile)
- Pocket Word (WM5.0以降はWord Mobile)
- Pocket Excel (WM5.0以降はExcel Mobile)
- Windows Media Player
- MSN Messenger
- ボイスレコーダー
- ファイルエクスプローラ
- 電卓
- ソリティア
- Pictures (PPC2003以降)
- Bubble Breaker (PPC2003以降)
- PowerPoint Mobile (WM5.0以降)
[編集] 製品シリーズの一覧
- ヒューレット・パッカード
- カシオ計算機
- カシオペアシリーズ
- 東芝
- GENIO eシリーズ
- NEC
- ポケットギア
- 富士通
- Pocket LOOXシリーズ
- NTTドコモ
- GFORT(カシオ製・通話機能なし)
- muséa(カシオ製・通話機能なし)
- hTc Z(HTC製スマートフォン)
- デル
- Aximシリーズ
- ミオ・テクノロジー・リミテッド
- Mio DigiWalkerシリーズ
- ウィルコム
- ソフトバンクモバイル
- SoftBank X01HT(HTC製スマートフォン)
- イー・モバイル
- Dメディア・システムズ
- inViewシリーズ
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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