うけ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
うけ とは日本語の単語で、様々な意味を持つ。
目次 |
[編集] 受け
- ある行動に対して受動的な立場を取ったときの行動。相手からの何らかの働きかけを受け止めることを、ウケ/ウケるという。
- (人手を介さず)物を受領するための入れ物。郵便受けなど。
- 第三者からの評価。「うける」などと使う。
- 引き取る、保証人になること。
- ゲイ用語、レズビアン用語で、性行為の受け側という意味。「ネコ」という言葉のほうがよく使われる。(対義語は「タチ」)
- やおい用語で、被挿入側という意味。ゲイ用語のそれとは微妙に意味が異なる。(対義語は「攻め」)
- 歌舞伎の用語で主人公の演技を受ける悪人役を指す。特に暫においてこの名称を用いる。
- 古語で、食物の意。ウカの転用とされる。
[編集] 人間関係における受け
他者から好意的な評価を得ることを、受けるという。良い天気のことを単に「天気だ」というように、略されているというとらえかたもできる。
この語の使用には、「大局的でない」というニュアンスを読み取ることもできる。
- 「一般受けする政治家」
- 本質ではなく表面を取り繕って人気取りをしている、という批判的文脈で用いられることもある表現。
- 「仲間に受ける」
- ある場の空気の中で、仲間内の雰囲気を盛り上げ、得た歓心。宴席などにおいて、ネタによって受けを取る、という流れを意図して起こすことも多い。否定的ニュアンスではないが、その評価の有効時間は比較的限定されており、またそれは一般社会における評価とは連動していない。
- (むしろ一般社会の評価と切り離されたものであるからこそ、そのコミュニティにおいての高評価となるとも考えられる)
[編集] 格闘における受け
(徒手・武器を問わず)戦闘技法における受けとは、対戦相手の攻撃を腕やその他の手段によって打ち止め、頭部・胴部など重要器官を含む部位にあたり損傷が及ばないように防御する方法を言う。
ある方向の攻撃に対して、この方法で受ける、といった形は、人間の手足の数が決まっている以上一定のものであり、それが確実におこなえるように反復練習が行われる。
- 素手の格闘技では腕で受ける。この瞬間、手は拳を握りしめるか、もしくは逆にしっかりと開くことによって筋肉の緊張状態をつくる。そうすることによって、直接的に防御に用いられる腕などの部位を固くして、その部位自体が損傷を被ることを防止する。
- ボクシングにおいては、拳を保護するためのグローブ自体のサイズを利用し、小さな盾のように扱って対戦相手の攻撃を受ける技術が発達している。
- 刀剣による攻撃は、基本的に素手やそれに類する手段で受けることはできない。また、刀剣によって受ける場合にも、迂闊に受けていては刀身が欠ける・折れてしまう。
- プロレスにおいては、相手の攻撃を受けること。または、相手の攻撃に対する耐久力という意味で用いる。
例)~は、蹴りや関節技の技術はあるが、受けが弱い。
[編集] 武道の型における受け
型を用いて稽古を行う武道においては、上記の格闘的「受け」以外にもこの語が用いられる。
これは「捕り(取り)」と「受け」がセットで、平易に説明すれば技を掛ける主体が捕りであり、客体が受けである。投げられて受け身をとるから受け、というのではなく、投げ技のない場合にもこの語は用いられる。役割を固定することにより、技のかたちと動作を確実に覚えるための修練方法であり、また同時にその思想性も受けと捕りの動きの中に込められている武道も見られる。剣術においては、打太刀がおおむねこれに当たる。
[編集] 請け
保証すること。身元保証人のことを請け人というように、人などを責任をもってひきうけることを、請の字をもってウケという。「芸者の身請け」などもこの中に分類される。
[編集] 有卦
陰陽道において、人生に良いことが続く7年間。 「ウケに入る」という古い言い回しは、「受け」、「請け」とは違う。これは有卦と書き、陰陽道において人生に吉事が続く7年間を言い、逆に凶事が続く5年間を無卦(むけ)と言う。
有卦に入ると、近隣や縁者を招いて有卦振る舞いと呼ばれる宴会を催す風習があった。また、有卦船と呼ばれる縁起物は、宝船になぞらえて、頭文字に「ふ」(福に通ずる)のつく菓子を7種類載せたものであり、有卦絵はやはり「ふ」のつくもの(富士山など)を描いた縁起物である。
[編集] 筌
「筌」(うけ)は、水中に沈めて魚や水底動物を捕らえるための漁具の一種。竹や木材などを使って、魚などが入りやすく、出にくい構造をしている。