おいちょかぶ
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おいちょかぶとは、花札を用いて行われるゲームの一つである。単に「かぶ」、「株」と呼ばれることもある。またトランプを用いて行われることもあり、花札のサイズで造られたおいちょかぶ専用の株札も存在する。
基本的にはカジノゲームのバカラに似ている点が多い。
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[編集] 使用する道具
- 株札
- 一から十までの数が書かれた札をそれぞれ4枚ずつ、計40枚のカード。トランプや花札で行う地方やグループもある。このとき、11以上のカードを省く場合と省かない場合とがある。
- チップ
- 碁石や点棒、マッチ棒に、それぞれ何点と点数を決めて使用する。
- 座布団
- 株札や花札を競技に用いるときは、座布団を使用する。親と子が座布団をはさんで向かい合って勝負する。
[編集] 数字と呼称
おいちょかぶでは、0~9の数字をそれぞれ下記のように呼称する。
- 0 - ブタ
- 1 - ピン(またはインケツ、チンケ)
- 2 - ニゾウ(またはニタコ)
- 3 - サンタ
- 4 - ヨツヤ(またはシスケ、シホウ、ヨンタ)
- 5 - ゴケ
- 6 - ロッポウ
- 7 - ナキ(またはシチケン)
- 8 - オイチョ(またはハッポウ、チョウベ)
- 9 - カブ
おいちょかぶという名称の語源もここから来ている。
[編集] 競技のスタイル
ブラックジャックのように、親(胴元)と子(張子)で争う博戯。配られた2枚ないし3枚の札の合計値の1の位が、よりカブ(9)に近ければ勝ちとして、掛けていた点数を、勝った方が負けた方からもらえる。点数のやり取りは親対子で行われ、親は何人もの子を相手に戦わなくてはならない。子のみが張り点を決める事が出来る。
[編集] 胴前の決定
実際の競技に入る前に、「胴前」を協議して決める。胴前とは子が張る(掛ける)点数の最高限度の事で、例えば胴前が50点と決まれば、一回の勝負で子が掛ける点数は50点以下でなければならない。 ここで注意が必要なのは、「胴前」とは「子全員」の掛け点の最高限度であり、「子一人一人」の掛け点の最高限度ではないということである。例えば胴前が50点のとき、Aが25点、Bが15点、Cが10点、それぞれ掛けてしまえば、Dは掛けに参加する事が出来なくなるという事である。
[編集] 競技の流れ
- (親決め)山札をめくり、一番若い数が出たものを親とする。親と子は向かい合うようにして場に座る。
- 子の一人が代表して札を切り、親が配る。
- (場札の配布)親は場に右から左に数を見せた札を4枚配り、自分用に伏せた札を一枚置いておく。
- (掛け)子は場の札から、任意の札を好きな枚数だけ選択し、胴前にしたがって点数を張る。
- (決め札の配布)親は「場札」に、右から左に「決め札」を配る。
- 子が点数を掛けている場札には、一旦子に決め札の数を見せてから裏にして配る。子は2枚の合計が6以下の場合に限り、札をもう1枚要求できる。この際に配られる決め札は数を見せて配られる。
- 子が点数を掛けていない場札には、全て表にして、必ず1枚は決め札を配る。このとき、1枚配るか二枚配るかの選択は、次に決め札を配られる場札に点数を掛けている子が行う。
- (親の決め札)決め札の配布を場の札4枚すべてに行ったあと、親は最初に配られた親用の場札を表にし、決め札を1枚加える。子と同様、さらにもう1枚加える事もできる。
- 場札と決め札の合計結果によって勝敗を決める。
[編集] ローカルルール
以下のローカルルールを組み合わせて競技を行う。
[編集] 通常のローカルルール
- 特殊な数の組み合わせ。
- 親のクッピン(9と1との組み合わせ)
- 親が9と1の2枚の組み合わせとなった場合、子はアラシ以外すべて負けとなる(賭け点は親の総取り)。子の場合はただの0(ブタ)。
- 親のシッピン(4と1の2枚の組み合わせの場合)
- 親は4と1の2枚の組み合わせとなった場合、子はアラシ以外すべて負けとなる(賭け点は親の総取り)。子の場合はただの5(ゴケ)。
- アラシ(3枚の数字がすべて同じ場合)
- 3枚の数字がすべて同じ場合、無条件で勝ちとなる。子の場合は親のクッピン・シッピンにも勝つ。ただし親・子ともにアラシとなった場合は札の合計数の一の位の数が大きい方の勝ちとなる。つまり3が3枚そろった場合が最強の組み合わせとなる。親のアラシは子全てに3倍返し(親の無条件負け)、子のアラシは3倍付け(子の無条件勝ち)というルールもある。
- ピンばさみ(場札が1、決め札1枚目がX、決め札二枚目が1)
- 1枚目の決め札が、場札と二枚目の決め札の1に挟まれたとき、ピンばさみを宣言し、1枚目の決め札の数字×掛け点を親から無条件でもらえる(親の無条件負け)。
[編集] 大阪(関西)のローカルルール
大阪を中心とした関西地方ではローカルルールが上記のものと若干ないしかなり違う場合があるので注意が必要である。
[編集] 比較的メジャーなもの
- 2枚目での合計数に関わらず3枚目の要求が出来る。よって4や9のアラシも存在する。
- 子のシッピンが存在する。親のシッピンはない(ゴケになる)。
- 強さの順は「アラシ(3倍点)>親のクッピン(2倍点)>子のシッピン(2倍点)>普通役」
- 子は場札の1か4に掛けるのがセオリーとされる。
- 親と子が同時にアラシのとき、以下のいずれかを採用(上から順にメジャー)。
- 親の勝ち。
- 「3>2>1>10>9>8>7>6>5>4」の順に強い。
- 「4=9>3=8>2=7>1=6>5=10」の順に強く、イコールの場合は親の勝ち。
- 3.の順は2枚目時点での強さを元にしている。4や9なら2枚目で8となるので、よく3枚目を引いた、ということであろう。
- 4と6の2枚ブタの時は無条件で勝負を降りる事が出来る(ただし勝負前。そのまま勝負した時は通常のブタとして扱われる)。これを「シロクの逃げ」と呼ぶ。
- 子のみのルールと、親も逃げられるルールと両方ある。
ちなみに「子のシッピン」「シロクの逃げ」というルールは、大阪が舞台となった「はるき悦巳」の漫画「じゃりン子チエ」が原作のファミコンソフト「じゃりン子チエ ばくだん娘の幸せさがし」の中のミニゲーム中でも確認できる(ソフトの説明書には記載されていないが、ゲーム中でしっかり採用されている)。
[編集] マイナーなもの
- 親のクッピンは親の無条件勝ち。
- 3枚ブタは、子が出せば親との勝負は無条件で引き分け、親が出せば勝負自体が無効となる。2枚の場合は「シロクの逃げ」が適用された場合を除きただのブタ。
- 0は勝負する気なしとみなされる、の意か。「『インケツ』に負ける」という状況を無くすためのルールと思われる。
- 親が自分の配られた札に不満があるときに、無条件で全員の札を配りなおす事が出来る。「ミンソ」と呼ばれる。
- 子の持ち札を開ける前に宣言しなくてはならない。
- 関西のみならず中国・四国地方にかけて存在する。
- このルールは子にとってかなり不利なルールなので、まず使用される事は無い。戦前生まれの人が勝負する時に稀に見かけられるので、時代と共になくなりつつあるルールなのかもしれない。
[編集] ブラックジャックとの違い
ブラックジャックと似た面もあるが以下の違いがある。
- ブラックジャックは参加者の数だけ場に配るが、おいちょかぶは場に4枚が原則である。
- ブラックジャックはバーストするまで何枚もカードを引けるが、おいちょかぶは2枚(場を含め合計3枚)までである。
- ブラックジャックは自分に配られた札に対しての駆け引きであるが、おいちょかぶは場の4枚のどれで勝負してもよい。
[編集] 格言
- 「思案ロッポウ」:2枚目の時点でロッポウの時、もう1一枚要求するか、このまま勝負するか迷う事から名づけられた格言。(関西地方)
- 「ゴケ勝負」:2枚目の時点でゴケの時、セオリーならもう1枚引くところだが、あえてここでストップして勝負すればたまに勝つ場合もあるので有効な作戦であるという格言。2枚勝負なので、親の2枚目でロッポウやナキのような微妙な数だった場合親は警戒する。親が勝負できずに3枚目を引くと裏目に出てゴケより弱くなり自滅負けすることがある。上記の格言と合わせて「思案ロッポウ、ゴケ勝負」とも言われる。(関西地方)