ちきゅう
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2005年 横須賀新港にて撮影 |
ちきゅうは、日本・米国・欧州が主導する統合国際深海掘削計画(IODP)で運用される予定の掘削船の一つである。海洋石油掘削に利用されるライザー掘削システムを採用しており、水深2,500メートルの深海域で、地底下7,000メートルまで掘削する能力を備えている。掘削7,000メートルというのは、既存の学術用掘削船の3倍以上の能力であり、マントル物質や巨大地震発生域の試料を採取することができる。また、石油・ガスなどが噴出するおそれのある海域でも安全な掘削を行うことができる。
船体ほぼ中央に船底からの高さが130メートルある掘削用やぐらがそびえ立っているほか、掘削中は半年以上にわたって移動できないため、乗船研究者・乗組員の交代のためにヘリポートが備え付けられていることが特徴である。
船上では単に深海底掘削を行うだけではなく、掘削試料を用いた分析を行うための研究区画も備えられている。研究区画は上階から順に、試料の分割を行う「ラボ・ルーフデッキ」、一次的な分析を行う「コア・プロセッシングデッキ」、さらに高度な分析を行う「ラボ・ストリートデッキ」、それらを管理する「ラボ・マネージメントデッキ」の全4デッキに分かれており、総床面積は約2,300平方メートル。
この船は、地震の発生メカニズムや地球環境の変化の解明等に役立つよう期待されており、2005年秋から日本近海で試験航海を行ったあと、2007年秋から統合国際深海掘削計画の一環として、まず東南海地震発生域の掘削を行う予定である。
建造・運用には独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の一部門である地球深部探査センター(CDEX)があたっている。
映画「日本沈没」でも、実名で登場している。
[編集] 諸元
- 船級:NK(日本海事協会)
- 全長:210m
- 全幅:38m
- 喫水:9.2m
- 深さ:16.2m
- やぐらの高さ:121m
- 満載排水量:59,500トン
- 機関:バウスラスタ(2,550kW)×1基/アジマススラスタ(4,200kW)×6基
- 最大速力:12ノット
- 乗員:150名
- 耐氷構造:IA
- 掘削能力最大稼働水深
- ライザーレス掘削時:2,500m
- ライザー掘削時:7,000m
- ドリルストリング長:12,000m
- 防噴装置(BOP)装備
- 建造(掘削装置):三菱重工業長崎造船所香焼(こうやぎ)工場
- 建造(船体):三井造船玉野事業所
[編集] 外部リンク
- 国内の大学・研究機関を構成員とする掘削推進組織。IODP の国内取りまとめ窓口となっている。
- 「ちきゅう」の運行機関である独立行政法人海洋研究開発機構による紹介サイト。「ちきゅう」のマルチメディア資料も閲覧できる。