アフタヌーン・ティー
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アフタヌーン・ティー(Afternoon tea)はイギリスの喫茶習慣。
単に紅茶を飲むだけでのものではなく、社交の場として使われていた。そのため作法、室内装飾、食器、花、会話などの高度な知識が要求され、日本の茶道に通じるものがある。
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[編集] 由来
19世紀にベッドフォード公爵夫人によって始められたとされる。 英国おいてこのような慣習が始まったのは女性向けの社交の場としてと、もうひとつ、日本においては一般的に夕食時間とされる時間帯(19~21時)は観劇やオペラ鑑賞、夜の社交などにあてられ、夕食は21時以降になる為、事前の腹ごしらえとしての意味がある。
[編集] 食事に準ずる、または食事を兼ねた喫茶習慣
アフタヌーンティーは食事に準ずる喫茶習慣でもある。紅茶のほかに、キューカンバーサンドイッチ(キュウリのサンドイッチ)などのサンドイッチ、スコーン、ケーキ類といった、軽食や菓子が供される。ホテルなどでは皿に盛った軽食・菓子が2~3段重ねのティースタンド(トレイの一種)に載せられ、供される。
アフタヌーンティーに類する習慣にはさらに遅い時間のハイティー(High tea)があるが、アフタヌーンティーが上流階級から始まったものであるのに対し、ハイティーは労働者階級・農民から始まったものである。ハイティーは夕方のお茶であると同時に、事実上の夕食でもある。紅茶や、サンドイッチなど簡素な軽食や菓子類のみならず、肉料理や魚料理も供され、むしろ肉料理・魚料理の方が供される献立では主である。このため、ミートティーの別名もある。
過去にイギリスの統治を受け広東系華人の多いシンガポールでは、ホテルで供されるハイティーは、イギリス式に紅茶、スコーン、サンドイッチが供されるほか、シュウマイ・餃子など中華料理の点心も供され、英国式にアレンジされた飲茶(ヤムチャ)とも、中華風にアレンジされたハイティーかアフタヌーンティーともいえる。
なお、イングランド北部など一部地域では夕食のことをティーを呼ぶ。
[編集] 簡略化
正式なアフタヌーンティーをするのは大変なので通常は簡略化して行われる。
[編集] その他の英国の喫茶習慣
- アーリーモーニングティー - 朝食前の寝覚めのお茶。
- イレブンシス(モーニングティー) - 日本で言えば「10時のおやつ」に相当する。午前11時ごろのお茶。
- アフターディナーティ - 文字通り、ディナーの後のお茶。
喫茶習慣は、イギリス人にとってこれほどまでに重要なのである。
[編集] 近年の動向
メイドカフェなどの中でも、本格的なアフタヌーン・ティーセットを供する店舗が見受けられる。ティー、スコーン/サンドイッチ、ケーキなどで、食器もティースタンドを用い、セットで 2,000 円程度が相場となっている。