アマチュア
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アマチュア(略して「アマ」)には以下のような意味が含まれている。
- ある分野について、一定以上関わってはいるが、専門的知識・技術を持っているとは言えないことや、そのような状態の人のこと。専門的知識・技術を有していても、当人の自称によって、アマチュアに分類される場合もある。
- 何かの専門分野か、広範囲の人々によって行われる分野において、趣味としてそれを行っている側のことを、職業として行っている側と対比して、アマまたはアマチュアと呼ぶ場合がある。
- 「素人さん」と呼ばれ、パチンコやパチスロでプロに対する対語として用いられる。(この業界では、正業に就いているか否かにかかわらず、攻略法に精通して立ち回る人種をプロと呼んでいる。)
[編集] スポーツにおけるアマチュア
- スポーツの場ではスポーツを職業としないで、なおかつ報酬を受け取っていない人の事を指す。
- この場合対義語としてプロフェッショナル(プロ)がある。幾つかの競技団体ではアマチュアとプロフェッショナルをはっきりと区別しようと試みている。プロフェッショナルとはスポーツを職業としてなおかつ報酬を受け取っている人の事を指す。
- 日本におけるアマチュアスポーツの代表に学校スポーツと企業スポーツがある。西ヨーロッパではアスレチッククラブなどでの社会スポーツが重要な位置を占めている。
- 学校スポーツは日本のアマチュアスポーツでは最も重要な役割をはたしている。柔道などでは形式上企業スポーツに移行した選手でも実体は学校スポーツで普段練習しているケースさえある。
- 企業スポーツは社員・職員の福利厚生と健康増進を目的とし、それにより業績の向上と社内の融和を担ってきた。その後、全国リーグの展開やマスメディアの発達などにより社名の宣伝効果も期待されるようになった。そのため一部選手はプロ契約をするようにもなり、純粋なアマチュアスポーツとはいえない例も多くなった。しかし経済不況が深刻な状態がつづく昨今では「非生産部門」として廃部・休部あるいはプロ契約解除が相次ぎ、アイスホッケーや女子サッカーのように種目によってはリーグ自体の存続が危ぶまれた例も多い。
- 日本では社会スポーツは一般では盛んだがトップレベルの選手育成はあまり行われていない。しかし、水泳、シンクロナイズドスイミング、フィギュアスケート、体操等ではトップレベルの選手育成が行われてる。サッカーのJリーグサテライトチームなど日本でもだんだん重要になってきている。また、柔道やレスリング、相撲などを除くマイナー格闘技、マイナー武道や武術の世界は社会スポーツ中心で古くから行われている。
- 日本の高校、大学の学生野球は日本のアマチュアスポーツでも長年、日本体育協会にも加盟せず、(特に高校は)異常な存在であった。最もプロとの交流を断ってきた存在である。中学野球やリトルリーグは古くからプロとの交流を行ってきた。しかし、高校野球は時代の流れとともに緩和されてきているとはいえ、このやり方は異状であった。
- 報酬を受け取らずにスポーツを行い、且つオリンピックのような大きな大会や、テニスの国際トーナメント、試合数の多いサッカーや野球のリーグ戦に参加することは非常に困難で、それが可能なのは一部の裕福な者に限られる。オリンピックは長い間アマチュアに参加を限定し続けていたが、これは彼らが貧しい階級が参加することを拒絶したためである。一方のテニスやサッカー、野球では20世紀初頭と言う早い段階から、すでにプロ化が始まった。
- 20世紀の中ごろから旧東欧圏や旧共産主義圏では実態としてアマチュアスポーツ選手でも国家から報酬を受ける形態が非常に多かった。これを「ステート・アマ」と言う。一方日本などでは国家に代わって企業が選手に実質的な報酬を支払っていた。こう言った形態を「企業アマ」と言う。現在ではオリンピックなど大きな国際大会ではその活躍に応じて褒賞金が支払われる事が一般化している。こうした形態はすでにアマチュアではないといえる。
- 現在ではアマチュアとプロの境界はとてもあいまいになっている。トップレベルのアスリートはスポーツ選手である事から、何らかの形で報酬を受け取る事が多くなっている。(競技団体に対して間接的に報酬が支払われる事も含まれる。)これにはスポーツ選手のテレビやコマーシャルなどのメディアへの出演に対して支払われる報酬、国際大会での活躍に対して支払われる報奨金等が含まれる。