オーケストラル・ヒット
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オーケストラル・ヒット (Orchestral hit)、またはオーケストラ・ヒットとは、サンプリング音源の種類の1つ。オケ・ヒット、オケヒと略されることも多い。
[編集] 概論
サンプリング・マシンがポピュラー音楽の分野で使われるようになりはじめた1983年頃、トレバー・ホーン主催の音楽集団であった"アート・オブ・ノイズ"が、三管編成のオーケストラのTutti(全体合奏)のフォルティッシモ (ff) をフェアライトCMIに記憶させ、鍵盤で音階状に用いることを発案したとされる。Tuttiの ff の衝撃音は通常なら当然トランジェント(瞬間的な音量の変化)と沈黙を伴うが、連続して使うことにより考えられない未聴感を誘発する。
[編集] 受容
- このサウンドが世間に最初に発表されたのは、1983年9月にリリースされたアート・オブ・ノイズのミニアルバム"Into Battle"で、その数ヶ月後、同時期にトレバー・ホーンが製作に関わっていたイエスのシングル「ロンリー・ハート」(1983年、『ロンリー・ハート』収録)のヒットにより、世間に広く知られることとなる。使用が容易なことやそのサウンドのインパクトから、瞬く間にポピュラー音楽の分野で広く用いられるようになった。
- トレバー・ホーンの関わるものでは、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドのトゥートライブス(1984年)でも使用されている。また有名な使用例はマイケル・ジャクソンの楽曲「BAD」の冒頭だろう。
- 日本では1983年のアニメ映画『うる星やつら オンリー・ユー』で使用され、ビーイング系アーティストの楽曲に一時期多用された。その後流行が終わったころにもシンセサイザーや電子楽器、パソコンのMIDI音源のプリセット音にしばらく入れられていた。
- 近年はギャグに活用される音源の一つであり、その例として前述のBADでの冒頭4音が日本のテレビバラエティ『志村けんのだいじょうぶだぁ』の「人間ルーレット」のコーナー冒頭で使われていたことが挙げられる。
- 2000年代に入ると、1980年代への懐古的なイメージや、「素人くささ」を意図的に演出するための用法が見られる。具体例は以下の通り。