カワサキ・ニンジャZX-12R
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カワサキ・ニンジャZX-12R(Ninja ZX-12R)とは、2000年に川崎重工業が開発・発表した、海外輸出用の大型自動二輪車。
[編集] 概要
開発当時、ノーマルの状態で300km/hオーバーを達成する世界最速の市販車として知られていた、スズキのGSX1300Rハヤブサから世界最速の座を取り戻すべく開発された1台。新開発の水冷4ストローク並列4気筒1199cc、最高出力178ps(ラムエア作動状態では190ps)、最大トルク13.7kgmを発揮するエンジンを、メインパイプ内にエアクリーナーをレイアウトするバックボーンフレームに搭載。またリアタイヤには市販車初となる200/50R17の極太サイズが採用された。「ZX-12R」・「ハヤブサ」と、300km/hのパイオニアとも言えるホンダの「CBR1100XX スーパーブラックバード」の3機種は、「メガスポーツ」という新たなジャンルを切り開いていった。
外見上はZX-9R(2000年~2003年モデル)やZX-6R(2000年~2002年モデル)と似ているが、特徴として、アンダーカウル下部に装備された航空機の尾翼のような整流ウィングが特徴である。
最高速は300km/hオーバーを余裕で記録し、ハヤブサとの更なる最高速競争が勃発するものと思われた。しかし2001年に欧州市場で始まった300km/h自主規制の為、スピードリミッターが装備されることとなった。
初期型はやや扱いが難しいエンジンや神経質なハンドリングなど、扱い易いと評されたライバルのハヤブサと対照的にライダーに高度なテクニックが要求された当車ではあったが、2002年モデルよりエンジンや外装、足回り、ギア比などを中心に大幅なモディファイを実施。ニュートラルとなったエンジン特性やハンドリングへ改善し、峠道などでのワインディング走行も存分に楽しめるようなセッティングになっている。更に2004年モデルから、同社のスーパースポーツモデルであるZX-10R譲りのラジアルマウントブレーキキャリパーが採用されている。
ZX-12Rに搭載されたエンジンは、日本円にして60万円程度で単体購入する事ができる。その為エンジン全体に重大な損傷を被った場合でも修理することができる。旧来のNinjaシリーズと異なるエンジンマウント方式を採用しているため他のNinjaシリーズに搭載する事はできない。なお海外ではZX-12R用エンジンを搭載したスポーツカーが販売されている。川崎重工からも同エンジンを採用したPWCが発売されている。
カワサキのフラッグシップを担ってきた当車であったが、事実上の後継車種であるZZR1400に、フラッグシップの座を譲り、2006年をもって生産終了となった。