キャンピングトレーラー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
キャンピングトレーラーとは、箱型の居室にドア、窓、ベッド、ダイニングテーブル、キッチン、トイレ、シャワー等生活に必要な装備を一通り整えたトレーラーを言う。トラベルトレーラー (Travel trailer) とも言う。牽引する車両をトラクターと呼ぶ。
目次 |
[編集] 普通免許で牽引できるトレーラー
連結時全長12m以下、車軸1軸(2軸でも近接軸距が1m以下のものは1軸とみなす)、車両重量750kg以下のライトトレーラーは普通免許で牽引できる。牽引時にトラクター側に取り付ける牽引装置(ヒッチ)は、市販品が数多く取り揃えられ、ドリル等でトラクターの車体に穴を開け簡単に取り付けられ、車検時も問題が無い。車軸が2軸、或いは車重が750kgを越えるものは牽引免許が必要となる。中には軽自動車で牽引可能な軽量なキャンピングトレーラーもある。
[編集] 制動装置
牽引時短距離で停止するためにはトレーラーの制動も必要となるが、トレーラーの制動方式には大きく分けて3つの方式がある。主制動装置のほかに、駐車用の制動装置も備える。
- ブレーキ無し
- トラクターの主制動装置だけに頼る制動方式で、ボートトレーラーやバイク用のトレーラーなど比較的軽量なトレーラの場合、トレーラーに主制動装置が付いていない。総重量750kg以下のライトトレーラーのみ許可される方式。
- 慣性ブレーキ式
- ヨーロッパ製トレーラーの主流の制動方式で、トラクターが制動をかけ、減速するときトレーラーにトラクターを押す力が発生するが、その減速時の押す力によりトレーラーの車輪にブレーキをかける。駐車制動装置と主制動装置は同じ制動装置であることが多い。
- 電磁ブレーキ式
- トレーラーの電磁ブレーキをトラクター側よりコントロールする。運転席でトレーラーのブレーキの利き具合を容易に調整できる。
[編集] ヨーロッパスタイル&アメリカスタイル
制動方式のほかに、ヨーロッパ製トレーラーとアメリカ製トレーラーでは以下の相違がある。
- カプラーボール径
- アメリカ式のボール径は2インチ(50.8mm)であるが、ヨーロッパ式のボール径は50mmである。カプラー側が2インチのものであれば締め込み調整で50mmのボールに対応できるが極力専用品を使用するほうが良い。
- 電装コネクター
- アメリカ式とヨーロッパ式ではトレーラーとトラクターを電気的に接続するコネクターの形状が異なる。トラクター側に両方式のコネクターを備えたものもある。
- 窓
- ヨーロッパ式はアクリル製の断熱2重構造の窓を採用するものが多いが、アメリカ式はガラス1枚の窓で冬季暖房時には結露することがある。
など
[編集] 装備
- トイレ
- 薬剤を使用して消臭衛生処理を行う簡易式トイレを備える。
- 暖房設備
- FF式暖房であるが、バッテリーでファンをまわす強制循環方式と電気を使用しない自然対流方式がある。
- 冷房設備
- 商用電源完備のキャンプサイト、または発電機を装備して使用する場合ある。
- シンク
- 水栓
- ガスコンロ
- 冷蔵庫
- ガス、バッテリー、AC100Vの3ソース対応のものが主流である。ガス方式はアンモニアの気化熱を利用したもので電源を必要としないためキャンピングトレーラーに最適な装備となっている。
- シャワー
- 洗面台(トイレと兼用が殆ど)
- 電動ポンプによりシャワーが使用可能。ボイラーにより温水を供給できるものもあるが、給湯量は少ない。
- ダイニングテーブル
- 小型のトレーラーではダイニングテーブルとベッドを兼用するものがほとんどである。
- テレビ、ビデオ
- 電源装置
- 50Ahから100Ah程度のディープサイクルバッテリーを電源として積載する。2-3日の滞在であれば補充電することなく過ごすことが可能。また、100Vの電源がある場所では接続して車内へ電気を供給することも可能。
- 走行充電システム
- 自動車走行中に充電する走行充電システムや、ソーラーバッテリーから補充電するシステムがついていることもある。
- サイドオーニング(外部の雨よけ日よけテント)
- サイクルラック(前部や後部に自転車を積む設備)
[編集] 自動車保険
車検時に責任保険はトレーラー自体で加入する必要があるが、任意保険についてはトラクターの任意保険でカバーされる場合がある。トラクターの任意保険がトレーラーに有効かどうかは個々の任意保険会社へ問い合わせ確認が必要である。自損事故に備える場合は車両保険に加入する必要があるが、トレーラーの保険金は割高である。
[編集] 牽引車登録
キャンピングトレーラーを牽引する際には、最寄の陸運支局でトラクターの牽引能力の書類審査と車検証への記載、またはトレーラーの車検証に牽引可能なトラクターの車種を記載する必要がある。近年規制緩和の一環として、ライトトレーラー(総重量750kg以下(慣性ブレーキ付きは1990kg))まではトラクター側の車検証備考欄の記載変更で不特定のライトトレーラを牽引できることになった。
[編集] 注意事項
車体の登録時において総重量2t以下、若しくは2t以上であっても乗員設定が行われていないトレーラーは、走行中に乗車することは禁じられている。キャンピングトレーラーは通達により2t以上であっても乗車定員の設定ができない。
[編集] その他のライトトレーラー
キャンピングトレーラーに類似した軽量なトレーラーとして、モーターボートやヨット、オートバイやグライダーなどを運ぶトレーラーがある。