テレビ
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テレビとは、フランス語のTelevision(テレヴィジョン)、TVに由来し、一般には次のような文脈で用いられる。なお、teleは「遠く離れた」visionが「視界」の意味である。
- テレビジョン技術:放送あるいは通信や遠隔監視に使用される、遠方へ映像を送る技術(映像機器を含む。本稿で詳述)。
- テレビジョン放送:主として動画を電波を使って、不特定多数のために放送する仕組み。通常は動画に加えて音声、あるいはデータ等の付加情報を送ることができる。電波を使用せず有線で送出するケーブルテレビ(CATV)もある(本稿で詳述)。
- テレビジョン放送で送られる番組(プログラム)。⇒テレビ番組を参照。
- テレビジョン放送を視聴するための受信機。⇒テレビ受像機を参照。
また、3.のタイトルとしても使われたことがある。⇒アッコとマチャミのテレビ(のち新型テレビ)を参照。
目次 |
[編集] テレビの歴史
- 1877年 - イギリスのソーヤー、機械走査概念の提案。
- 1884年 - ドイツのニプコー、「ニプコー円板」の発明。
- 1897年 - ドイツのフェルディナント・ブラウン、「ブラウン管」の発明。
- 1908年 - イギリスのスウィントン、電子式走査法の概念を科学雑誌Natureに発表。陰極線管テレビジョンを示唆。
- 1911年 - ロシアのロージング、ブラウン管を用いたテレビの送信実験を初めて公開。簡単な輪郭の受像に成功。
- 1925年 - イギリスのベアード、機械式テレビの開発。
- 1926年(昭和元年)12月25日 - 浜松高等工業学校の高柳健次郎、機械・電子折衷式テレビの開発。「イ」の字を表示させる。
- この時期、テレビの本放送へ向けて各国で改良が活発となる。
- ちなみにこの日、大正天皇崩御の為、日本のテレビの歴史は昭和から進歩したことになる。
- 1927年 - アメリカのファンズワーズ、世界初の電子映像撮影成功。世界初の全電子式テレビ発明。
- 1929年 - イギリスのBBCがTV実験放送開始。
- 1933年 - アメリカのツヴォルキンがアイコノスコープを発明。
- 1935年 - ドイツで世界初の定期試験放送開始。ベルリンオリンピックの中継が行われる。
- 1939年(昭和14年)5月13日 - NHK技研による公開実験。
- 1940年4月13日 - 日本初のテレビドラマ「夕餉前」の実験放送。
- 同年予定されていた東京オリンピックの中継が予定されていたが、オリンピックは中止となる。以後戦時下で民生用研究は中断したが、兵器への応用研究は継続される。
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- 1953年(昭和28年)2月1日 - NHKのテレビ放送開始(日本での地上波テレビ放送の開始)。
- 1953年(昭和28年)8月28日 - NTV 日本テレビ放送網、テレビ放送開始(民放での初のテレビ放送の開始)。また、テレビ画面が裏側に映る放送事故が発生した。
- 1954年(昭和29年)1月23日 - アメリカNBCが、NTSC方式によるカラー本放送開始。
- 1955年(昭和30年)4月1日 - ラジオ東京(KRT・KRテレビ、現:東京放送=TBSテレビジョン)がテレビ放送開始。
- 1956年(昭和31年)12月 - NHKのカラーテレビ実験放送開始(UHF帯を使用)
- 1957年(昭和32年)11月1日 - 日本教育テレビ(NET、現:テレビ朝日)設立
- 日本では教育分野へのテレビ利用が検討され始め、教育局、準教育局として開設される局が多くなる。
- 1957年(昭和32年)11月18日 - 富士テレビジョン(開局前の1958年12月にフジテレビジョンに改称)設立。
- 1957年(昭和32年)12月28日 - NHK東京、日本テレビがカラー試験放送開始(通常テレビのVHF帯)
- 1958年12月23日 - 東京タワーから放送開始。
- 1959年(昭和34年)2月1日 - 日本教育テレビ(NET、現:テレビ朝日)開局
- 日本では教育分野へのテレビ利用が検討され始め、教育局、準教育局として開設される局が多くなる。
- 1959年(昭和34年)3月1日 - フジテレビジョン(略称:CX)開局
- 1960年(昭和35年)9月10日 -カラー本放送開始(NHK=東京、大阪の総合、教育両テレビ、日本テレビ、TBS、読売テレビ、朝日放送)。日立製作所、国産カラーテレビを発売。キャッチコピーは「色は日立のお家芸」
- 1964年(昭和39年)4月12日 - 財団法人日本科学技術振興財団テレビ局開局。(通称:東京12チャンネル、別名:科学テレビ、略称:TX、後に東京12チャンネルを経てテレビ東京)
- 1968年(昭和43年)2月20日 - 日本初のUHF局としてNHK徳島教育テレビジョン運用開始。
- 1968年(昭和43年)5月5日 - 琉球放送・沖縄テレビがカラー放送開始。
- 1968年(昭和43年)8月12日 - 日本初の独立UHF局としてGBS 岐阜放送がテレビ放送開始。
- 1968年(昭和43年)10月1日 - 福島テレビのカラー放送開始により民放テレビ先発局のカラー化が完了。それ以降に開局する民放テレビ局は開局当初からカラー放送を開始することになる。
- 1970年(昭和45年) - NHK、東京と大阪でNHK UHFテレビ実験局(UHFテレビ放送の試験運用)を開始。(1975年(昭和50年)4月まで)
- 1973年(昭和48年)11月1日 - NETテレビ(日本教育テレビ。後のテレビ朝日。)と東京12チャンネル(後のテレビ東京)が総合テレビ局化。
- 1978年(昭和53年)9月28日 - 日本テレビが世界初の音声多重実用化試験放送を開始(その後、NHK、読売テレビ、他の在京民放等が続き、後にNHKは1986年までに全国へ 民放は北海道の一部地域を除いて全国へ拡大 なお、民放各局でもこれまで行われていなかった北海道の一部地域(札幌圏以外の残りの地域)でも2007年10月1日以降の地上デジタル放送の中継局開設によりNHKだけでなく、民放各局でも音声多重放送が受信可能になる)。
- 1984年(昭和59年)5月12日 - NHKが衛星放送(BS)の試験放送を開始。1989年(平成元年)6月1日から本放送を開始。
- 1990年(平成2年)11月30日 - 日本初の民間衛星放送局・日本衛星放送(JSB・WOWOW)が試験放送を開始。翌年4月1日より有料の本放送を開始。
- 1991年(平成3年)11月25日 - ハイビジョン試験放送開始。
- 2000年(平成12年)12月1日 - 午前11:00 - BSデジタル放送が放送を開始。
- 2003年(平成15年)12月1日 - 午前11:00 - 東京、名古屋、大阪を中心に地上デジタル放送を開始。
- 2006年(平成18年)4月1日 - 午前11:00 - 東京、名古屋、大阪を中心に移動体受信機向けの地上デジタル放送、通称「ワンセグ」開始。
[編集] テレビの技術
[編集] 媒体
- 地上放送:地上の送信所から放送する放送方式。
- 地上アナログテレビジョン放送:1953年(昭和28年)から放送されている現在の方式。2011年(平成23年)7月24日に停波される予定となっている。
- 地上デジタルテレビジョン放送:2003年(平成15年)12月1日より本放送を開始した。
- 衛星放送:人工衛星(直接放送衛星 (DBS) 、通信衛星 (CS))から放送する放送方式。
- ケーブルテレビ(CATV)
[編集] 伝送方式
- アナログ放送:映像をアナログ変調方式(振幅変調 (VSB) 、周波数変調 (FM))で伝送する放送方式。
- 世界の放送方式
- デジタル放送:全ての映像・音声・付加情報をデジタル変調方式(OFDM、QPSK、QAMなど)で伝送する放送方式。日本ではISDB(統合デジタル放送)とも呼ばれる。
[編集] 画質
- 高精細度テレビジョン放送
- 標準テレビ放送
- 従来のアナログテレビ放送(NTSC、PAL、SECAM)
- クリアビジョン:画質改良版NTSC放送。暗部画質の改善、重畳されたゴーストクリア基準信号を元に演算を行いゴーストを低減させる。
- ワイドクリアビジョン:画質改良版クリアビジョン放送。水平、垂直、時間軸の情報量を増やすことで画質を改善。16:9放送、NTSCと順次走査を両立。
[編集] 付加情報
- 音声多重放送:ステレオ音声、あるいは2言語(例・日本語と英語)の音声を流す。コールサインはJOAX-TAM(日テレの場合)のように"-TAM"がつく。
- 文字多重放送:画面上部の見えない部分(垂直帰線期間内)に文字情報や簡易図形情報を重畳。コールサインはJOCX-TCM(フジの場合)のように"-TCM"がつく。
- クローズドキャプション:広義には文字多重放送全般。狭義には米国の文字放送のことで、中大型テレビには法律でデコーダの内蔵を義務づけられている。
- 緊急警報放送システム:災害時に専用の受信機を起動、停止させる特殊信号。
[編集] 視聴時間
2005年度のフランス・カンヌで開催中のテレビ番組の国際見本市「MIPTV」で発表された統計によると、世界で最もテレビを見る時間が長いのは日本人で、1日のテレビ視聴時間は平均5時間1分だった。2位は米国で4時間46分。世界平均は米国より90分少ない。最下位は中国とスウェーデンの2時間30分だった。
[編集] テレビ離れ
[編集] 日本
NHKの行った「国民生活時間調査」によると、日本人のテレビ視聴時間は平均4時間、日曜日は5時間以上。70代以上は平日でも男女共に5時間以上テレビを見ている。一方、20代男性だけはテレビを見る割合が5年前と比べてはじめて8割を下回り、「全く見ない」という人も20%存在した。
日経ビジネス2006年1月30日号の中で大橋巨泉は「金持ちや勝ち組、インテリはテレビなんか見なくなった。テレビは「貧困層の王様」になるはずだ」と指摘している。
実際に金持ちや勝ち組は、衛星放送と趣味番組をメインとしており、更にテレビ離れを加速させている
[編集] 米国
米国調査会社MediaPostの調査によると、米国の大学生で1週間に10時間以上テレビを見る割合は17%。一方で1週間にインターネットを10時間以上利用する人の割合は43%だった。
[編集] テレビの影響・問題点
テレビの、人間の言動に対する影響は非常に大きい。それは情報量だけでなく、善悪に対する感覚や倫理観、死生観に及ぶ。
年齢や世代に関わらず、簡単にテレビの番組のタレントの言動、CMの言動に影響されて、そのテレビから得た知識の範囲だけで後から言うようになってしまう人が存在する。それは流行の生まれかたの一つでもある。
テレビは受け身のメディアと言われる。テレビは五感のうち視覚と聴覚を使う。テレビが見える場所にいなければメディアが提供する情報を十分に享受することはできない。ラジオのように何かをしながら情報を得る、ということがしにくい。テレビのメディアとしての本質は視覚での情報にこそあるので、視聴者は「何かをしながら見る」ことをしない傾向にある。例え必要がなくてもテレビ番組の演出がその個人の興味を引きつければテレビの前に行き、興味を満たす情報、その情報の獲得への満足を得ようとメディアが提供する情報に意識が集中する。興味がある範囲での情報は、その末節で多少の誇張があっても、根幹がねつ造であっても興味がある情報な以上、善悪の問題や倫理を越えてその個人の言動に影響を及ぼす。
例え思考しない状態でテレビを見ていても(ボーッとテレビの画面をながめてるなど)、脳は二感を駆使してるので脳がエネルギーを消費する。テレビを見た後で疲れることがあるのはそのためである。情報というストレスは、他のストレスと同様に一定レベルを超えると心や身体に影響を及ぼす。情報に対するリテラシー能力が奪われていき、テレビの中での様々な事象の善悪、必要性を自らの思考で判断することをしなくなる。
もちろんテレビを見た全ての人がリテラシー能力が奪われている訳ではない。どのメディアでも最終的には、個人がメディアに接する時間と、個人が持つ情報リテラシー能力の問題なのだが、テレビはその接触時間を使ってリテラシー能力を効果的に奪っていく可能性がある、ということである。
[編集] テレビ番組の制作
テレビ番組の制作に関連する項目には次のようなものがある。詳しくは制作スタッフを参照。
[編集] テレビ受像機
- テレビ受像機:いわゆる「テレビ」。受信機の一種。
- ビデオ信号記録装置(ビデオテープレコーダ、DVDレコーダーなど):テレビの映像を記録
[編集] テレビ放送機器
- 送信所設備
- 演奏所設備
演奏所設備をスタジオ機器と言うこともある。この場合撮影スタジオに置かれる機器だけを指すのではなく局舎内の放送関連機器全般を指す。主な物を以下に示す。
- 主調整室(マスター)
- マトリクススイッチャー(ルーティングスッチャー)
- 多重化装置(MUX)
- 限定受信システム
- データ放送システム
- CMバンクシステム
- 自動番組制御装置 (APS, APC)
- 番組バンクシステム
- ビデオサーバー
- ビデオテープレコーダ
- 緊急警報放送システム
- 回線システム
- 副調整室(サブ)
- プロダクションスイッチャー
- テレビカメラ(ビデオカメラ)
- テロップ挿入装置
- 照明装置
- 営業放送システム
- FPU(Field Pickup Unit/マイクロ波中継装置)
[編集] 関連項目
- 薄型テレビ(液晶テレビ、プラズマテレビ等)
- B-CAS
- 放送 - 放送法
- ラジオ - 有線放送 - インターネットラジオ
- インターネットテレビ
- 公共放送
- 民間放送
- テレビ局
- テレビ番組
- 番組表
- 視聴率
- 視聴質
- ニュースネットワーク
- テレビ離れ
- ケーブルテレビ
- ニュース時事能力検定
[編集] 団体
[編集] 団体(外部リンク)
[編集] 参考文献リンク
- テレビは進化する -日本放送技術発達小史-
- Ed Reitan's Color Television History アメリカのカラーテレビの歴史(英文)
- カラーテレビ革命(英文、カラーテレビの初期の事柄が中心)