キリマンジャロ (コーヒー)
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キリマンジャロ(英:Kilimanjaro)は、キリマンジャロ山域、タンザニア北部、ケニア国境近くのモシ地方で栽培されたコーヒーのブランド。現在では、タンザニア産のコーヒーの全てを差すブランドとなっている。
[編集] 概要
タンザニアのキリマンジャロ山の麓の町、アルーシャやモシ近くの、標高1,500mから2,500m付近のプランテーションで栽培されている。コーヒーの品種としてはアラビカ種。緑灰色で大粒という特徴を有している。焙煎後は、強い酸味と甘い香りを持つ。 農産物の輸出が全体の7割(2000年現在)を占めるタンザニアにあって、貴重な外貨獲得源となっている。ただ、大部分の農園でプランテーションとなっており、農園主と使用人の貧富の格差の原因になっている。現在は、タンザニアコーヒー協会(Coffee Authority of Tanzania、CAT)が生産・販売等の全てを取り仕切っている。
ブランド名として、キリマンジャロの認知度は高い。しかし、タンザニア全域を含めても全世界の生産量の1%程度である。
日本でキリマンジャロがブランドとして認識されるようになったのは、缶コーヒーの影響が大きいといわれている。また喫茶店や、コーヒーの愛好家の間では、キリマンと略して呼ばれる事が多い。
[編集] 歴史
1890年代、東アフリカを植民地としていたドイツがコーヒーの栽培を目論んでいた。最初は、東ウサンバアにレユニオン島から苗木を持ち込み栽培を目的とするプランテーション経営を始めた。しかし、雨が多い地域で栽培は難航。さらに労働者不足が深刻であり、生育したコーヒー豆を採取することができなかったほどと伝わっている。原因としては、奴隷貿易の影響(当時はすでに廃止されていた)、すでに他の農産物の生産が順調に推移していたことが挙げられる。
キリマンジャロに最初にコーヒーを持ち込んだのは、ギリシャ人と言われている。東ウサンバアでのコーヒー栽培に失敗すると、ドイツ人やイギリス人がこぞってキリマンジャロ山域にプランテーションを開拓した。1914年ごろには、100のプランテーションで200万本のコーヒーの木が栽培されるまでになった。