ゲーム・フィールド大賞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ゲーム・フィールド大賞(ゲーム・フィールドたいしょう)とは、ファーイースト・アミューズメント・リサーチ社 (F.E.A.R) が主催するアナログゲームのデザイナーを志すもののための新人賞。特にテーブルトークRPG (TRPG) の新人賞として知られている。2000年に第一回ゲーム・フィールド大賞が始まり、それから年に一度のペースで発表が行われている。
目次 |
[編集] 概要
ゲーム・フィールド大賞は、TRPG部門、イラスト部門、カード & ボードゲーム部門、スタンダードRPGシステム部門(第九回より)の4部門から成る新人賞である。発表年度の一年前の2月末から発表年度の1月までの期間に募集を行い、第一次審査結果発表が6月、受賞の正式発表が8月に行われる。「大賞」「入選」「準入選」「佳作」の4つの賞がある。
ゲーム部門で「大賞」を受賞した作品は商品化が確約される。また、「入選」や「準入選」でもF.E.A.R.が投稿者を指導してディベロップを行うことで商品化されることがある。「佳作」は商品化まで後一歩というレベルを意味するのでF.E.A.R.が商品化のためにディベロップを行うことはないのが原則のようだが、第一回ゲーム・フィールド大賞のカード & ボードゲーム部門で佳作だった「ピラミッドピラミッド」が商品化されているので、一概に佳作には商品化の可能性がないとは言えない。
イラスト部門の場合は商品化のような特典はないが、結果的にファーイースト・アミューズメント・リサーチ社とのコネが出来るのでプロデビューの足がけになる部分もある。現在のテーブルトークRPGで活躍しているイラストレイターの中にはこのイラスト部門の出身者もいる(しのとうこ、ツジヤスノリ、すがのたすく、安達洋介、いろは楓、笹本ユーリなど)。なお、全ての賞において大賞受賞者には副賞10万円が送られる。
[編集] 評価
ゲーム・フィールド大賞のゲーム部門は「即戦力」のデザイナーの発掘が目的なため非常に審査が厳しい。「大賞」はディベロップがほとんど不要ですぐに商品化が約束されるレベルの作品にしか与えられないのだが、まずこの大賞を受賞したゲームは第七回まで一度もない。準入選および入選の作品にしても選出されることはほとんどなく、佳作のみしか選出されない年度の方が多い。
ゲーム部門で募集する作品は完成品であることが前提になっている。ただルールを送るのではなく、送られたものだけで遊べる形で作らないといけない。つまり、テーブルトークRPGならばルールブックという書籍そのものを、ボードゲームならばコンポーネントをそろえた形で投稿するのが前提である。電子データの投稿も受け付けているのだが、その場合でも「プリントアウトされた紙」は最低限同封する必要がある(つまり、印刷された紙だけ見てゲームができるかどうかが問われている)。
どれだけ面白いアイデアを持つゲームであっても「読みやすくわかりやすい」編集やコンポーネントが工夫されてないと一時審査の時点で落選する。ゲーム・フィールド大賞のゲーム部門はライターを募集する賞ではなくあくまでデザイナーを募集する賞なため、「面白いゲームを作ることかできるか」や「面白い文章をかけるか」ということと同様に、製品のトータルデザインができるかということが求められている。
大賞以外でも受賞を受けた作品は商品化されることがあるものの、その基準は一定ではない。佳作で商品化されるものもあれば入選しても商品化されないものもある。最終的には投稿者の意思というものも優先される。また、商品化が決まっても実際に出るまでに数年がかかることもある。時間がかかるのはこれは募集作品を募集時の形のままで商品化するのでなく、ファーイースト・アミューズメント・リサーチ社の監修により商業作品として受賞者に作り直させるためである。受賞後すぐにプロデビューが出来る者ならばともかく、学生や他の仕事を持っている受賞者は余暇を使って製作せざるを得ない。そのため時間がかかるのである。また、受賞者が東京近郊に住んでいない場合はファーイースト・アミューズメント・リサーチ社との密な連携が取れなくなるために商品化まで時間がかかるという事情もある。
商品化に伴う監修作業の際に作品が本来持っていたオリジナリティが失われるのではという批判の声もある。「異能使い」などは入選前から同人出版で知られていたゲームでもあったので、商品化における改変に旧来からのファンの不満の声もあった。
[編集] 受賞リスト
[編集] 第一回(2000年)
- TRPG部門
- イラスト部門
- 大賞 : 青いかりんとう
- 入選 : 該当作なし
- 準入選 : 該当作なし
- 佳作 : 内藤はづき
- カード&ボードゲーム部門
- 大賞 : 該当作なし
- 入選 : 該当作なし
- 準入選 : 該当作なし
- 佳作 : 沙漠のピラミッド (荒井由行)
- 2004年に『ピラミッドピラミッド』としてホビーベースより商品化
[編集] 第二回(2001年)
- TRPG部門
- イラスト部門
- 大賞 : touko
- 現在はしのとうこ名義で活躍中。
- 入選 : (stub)
- 準入選 : (stub)
- 佳作 : (stub)
- 大賞 : touko
- カード&ボードゲーム部門
- 大賞 : (stub)
- 入選 : (stub)
- 準入選 : (stub)
- 佳作 : (stub)
[編集] 第三回(2002年)
- TRPG部門
- 大賞 : 該当作なし
- 入選 : 該当作なし)
- 準入選 : DEFORMATION STRANGER (伊藤和幸)
- 佳作 : 闘神幻魔~幻ノ獣タチ~ (伊藤克己)
- イラスト部門
- 大賞 : 該当作なし
- 入選 : ツジヤスノリ
- 準入選 : 該当作なし
- 佳作 : 内藤はづき、UME、真琴、新庄優樹
- カード&ボードゲーム部門
- 大賞 : 該当作なし
- 入選 : 該当作なし
- 準入選 : 該当作なし
- 佳作 : げっちゅ[5] (みはえる)
[編集] 第四回(2003年)
- TRPG部門
- 大賞 : 該当作なし
- 入選 : 該当作なし
- 準入選 : 該当作なし
- 佳作 : OCEANUS・GEODIO (信川進司)
- イラスト部門
- 大賞 : 該当作なし
- 入選 : いろは楓
- 準入選 : 該当作なし
- 佳作 : 土門圭麻、安達洋介、すがのたすく、岩佐やより
- カード&ボードゲーム部門
- 大賞 : 該当作なし
- 入選 : 該当作なし
- 準入選 : 該当作なし
- 佳作 : ディザスティック・プロフェシー (長谷川基)
[編集] 第五回(2004年)
- TRPG部門
- 大賞 : 該当作なし
- 入選 : ファー・フロム・エデン (聖春太/Project Eden)
- 準入選 : 異界戦記カオス・フレア (小太刀右京/[三輪清宗])
- 2005年に『異界戦記カオスフレア』として新紀元社より商品化
- 佳作 : レッドガーデン (信川進司)
- イラスト部門
- 大賞 : 該当作なし
- 入選 : 菊池亨
- 準入選 : 該当作なし
- 佳作 : むし、すがのたすく、雄、吉田トオル
- カード&ボードゲーム部門
[編集] 第六回(2005年)
- TRPG部門
- 大賞 : 該当作なし
- 入選 : 該当作なし
- 準入選 : 該当作なし
- 佳作 : 刑事魂弐~Soul Agein~[8] (しんやすなおき)
- 佳作 : レッドガーデン (信川進司)
- イラスト部門
- 大賞 : 該当作なし
- 入選 : 該当作なし
- 準入選 : 該当作なし
- 佳作 : 吉田トオル、森祭、笹本悠里、一撃丸、UME、的場つかさ
- カード&ボードゲーム部門
- 大賞 : 該当作なし
- 入選 : 該当作なし
- 準入選 : 該当作なし
- 佳作 : 該当作なし
[編集] 第七回(2006年)
- TRPG部門
- イラスト部門
- 大賞 : 該当作なし
- 入選 : 望月有紀子、Tomoe
- 準入選 : 該当作なし
- 佳作 : 吉田トオル、有栖川神衣、笹本ユーリ、林啓太、猫猫猫、荒巻勝麻、夢未さくら、森依子
- カード&ボードゲーム部門
- 大賞 : 該当作なし
- 入選 : 該当作なし
- 準入選 : 該当作なし
- 佳作 : 該当作なし
[編集] 外部リンク
- FEAROmline > インフォメーション > ゲーム大賞について