ダブルクロス
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ダブルクロス (en:double-cross) は英語で裏切者のこと。
- 現代アクション型テーブルトークRPGの1つ。ここではこれを記す。
- 1969年4月1日から1973年3月31日まで、名古屋テレビと中京テレビが、それぞれ日本テレビ系列とNETテレビ(後のテレビ朝日)系列の両方をクロスネットしていた変則的な状態のこと。名古屋テレビがネット優先権を持っていた。中京テレビが日本テレビ系列の、名古屋テレビが NET テレビ系列のフルネット局になることで解消した。
- プロレス・格闘技の専門雑誌kamiproを制作する編集プロダクション。
- 旭凛太郎によるノワール・ファンタジー・コミック『Double Cross ~裏切りの十字架~』。
ダブルクロスは、2001年にゲーム・フィールドから出版された現代アクション物のテーブルトークRPG。 2003年には富士見書房から改訂新版「ダブルクロス The 2nd Edition」がリリースされた。 著者は矢野俊策、 2nd Edition からはファーイースト・アミューズメント・リサーチ (F.E.A.R.) もクレジットに加わった。
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[編集] 概要
ゲーム・フィールド(F.E.A.R.の出版部門の会社)主催のゲーム大賞の準入選作品であるが(「ユニバーサル・ガーディアン」というタイトルで受賞)、同時に大賞を受賞した異能使いよりも先に商品化され、後に矢野はF.E.A.R.社に入社している。
レネゲイドと呼ばれる未知のウィルスの影響で、超常能力者となった主として少年少女たちが、彼らの平凡な日常を守るために非日常の力を駆使して戦うというテーマは、ティーンエイジャー向けのライトノベル作品などと相性がよく、現代物のテーブルトークRPGの良作として支持を受けている。
システム的には、守るべき日常の象徴として他者との絆を表す「ロイス」(『スーパーマン』クラーク・ケントの恋人の名前から取られている)とそれが喪失、昇華された際に強い力の源となる「タイタス」(シェイクスピアの復讐劇『タイタス・アンドロニカス』から取られている)という2つのコネクション概念によって作品テーマが表現される。 強い力を使えば使うほど、他者との絆を失えば失うほど、日常には戻り難くなる(=ゲーム的な死=キャラロスト)構造になっている。
また、ステージ制という概念を導入し、舞台設定を変化させることで、様々な物語への対応が可能である。 特殊なステージとしては、以下のようなものがある。
- デモンズシティ(サプリメント「デモンズシティ」「アルターライン」に掲載)
- レネゲイド能力者が多数を占める閉ざされた街。スクライド風のステージ。
- 平安京物怪録(サプリメント「アルターライン」に掲載)
- 陰陽師や妖怪が跋扈する平安時代を舞台としたステージ。
- ロストエデン(サプリメント「アルターライン」に掲載)
- MMORPGの世界に閉じ込められた人々が日常への帰還を目指す。.hack風のステージ。
- アキハバラ(ファンブック「ライブボックス」、サプリメント「アウトランド」に掲載)
- メイドカフェなどの風俗を盛り込んだ秋葉原を舞台とするステージ。
- 烙印よ、ダブルクロスに遊べ。(ファンブック「ライブボックス」に掲載)
- 三田誠のライトノベル『SCAR/EDGE』シリーズを再現するステージ。
- ウィアードエイジ(サプリメント「アウトランド」に掲載)
- 第二次世界大戦前夜である1938年を舞台にしたステージ。リプレイ・トワイライトシリーズの舞台。
- 陽炎の戦場(サプリメント「アウトランド」に掲載)
- 内乱の発生した小国に生きる特殊傭兵部隊を演じるステージ。
- The Two Faces of Tomorrow(サプリメント「アウトランド」に掲載)
- 宇宙コロニーを襲う謎の怪物と戦っていく。エイリアン風のステージ。
- マスクドヒーローズ(サプリメント「アウトランド」に掲載)
- アメコミや特撮などのヒーローを演じるステージ。
- エンドライン(サプリメント「アウトランド」に掲載)
- 通常のステージでは敵役である組織「ファルスハーツ」が世界を支配したという設定。いわゆるパラレルワールド。
- カオスガーデン(サプリメント「アウトランド」に掲載)
- レネゲイドウィルスに感染した動物たちが生息する島を舞台とするステージ。
[編集] 特色
[編集] レネゲイドウィルスとシンドローム
レネゲイドウィルスとは、生物に感染してその遺伝子自体を書き換え、超常的な能力を発揮させるレトロウィルスの一種である。 感染者自体は遥か以前より存在していた(サプリメント「ブレイクアップ」におけるDロイス「古代種」及びサプリメント「アルターライン」における平安時代ステージや「アウトランド」における第2次世界大戦前のステージであるウィアード・エイジの存在による)が、現世界において大量の感染者が発生したのは、(2nd Edition の時点より)18年前に発生した輸送機撃墜事件により、中東某国の遺跡で発見されてアメリカ合衆国に運ばれようとしていたレネゲイドウィルスが成層圏より全世界にばら撒かれた事が原因である。
感染すると、シンドロームと呼ばれる特殊能力を身につける。シンドロームは現在下記の 12種類が確認されており、感染者はその内1~2種類を有する。
- エンジェルハィロゥ
- 光を操る能力。遠近、攻守に多彩な万能戦闘型。
- ブラックドッグ
- 電気を操る能力。攻撃力や攻撃判定に使用するダイス数の増加による威力強化に長け、また機械操作も得意とする。
- ブラム=ストーカー
- 血液を操る能力。ダメージの軽減や自己回復など防御に長ける。また、血液から従者と呼ばれるキャラクターを作成して操作する事ができる。
- キュマイラ
- 肉体の一部または全部を獣化させる能力。近接戦闘に優れ、全シンドローム屈指の攻撃力を誇る。
- エグザイル
- 肉体を自在に変化させる能力。主に近接戦闘を得意とするが、肉体変化により遠距離目標に近接攻撃を行う事もできる。
- ハヌマーン
- 反射神経を強化する能力。その速度を利用した近接による特殊攻撃、または高速で肉体を振動させる事により発生する高周波による遠距離攻撃を得意とする。
- モルフェウス
- 物質の原子レベルでの変換、いわゆる錬金術を行う能力。武器や防具の生成や強化、もしくは砂を使用した戦闘を行う。
- ノイマン
- 脳を強化する能力。汎用性に長け、戦闘のみならず支援や情報収集にも威力を発揮する万能型。
- オルクス
- 自らの周囲に「領域」と呼ばれる空間を発生させる能力。自らに優位な領域を発生する事により戦闘もしくは交渉の能力を強化する事を得意とする。
- サラマンダー
- 熱を操る能力。高熱または氷を利用した強力な攻撃を得意とする。
- ソラリス
- 体内における化学変化によって薬品を生成する能力。後方支援や交渉能力を得意とする。
- バロール(サプリメント「アルターライン」にて追加)
- 重力を操る能力。超重力による押し潰しなどの遠距離戦闘や敵の行動制限などを得意とする。
[編集] 侵蝕率とロイス・タイタス
レネゲイドウィルスは様々な要因(シーンへの登場、ウィルスにより発揮されるエフェクトと呼ばれる特殊能力の使用等)により活性化される。これを表す数値は侵蝕値(%表記)と呼ばれる。
侵蝕値は上昇すればするほどキャラクターの能力を強化(使用ダイス数、エフェクトのレベル及び目標値の低下)するが、メインプレイ終了時に100%を超えていると暴走化し、それ以降はNPCとなってしまう(日常からの離別)。 そこで、ウィルスの活性化を押さえる要素として存在するのがロイスである。
ロイスは具体的に言うと、そのキャラクターの日常生活における他者に対する感情(愛情や友情に限らず、敵意や恐怖などのネガティブなものも含まれる)である。そして、通常の人間でなくなってしまったキャラクターを日常に引き止める絆でもある。
具体的には、クライマックスの終了後に自律判定という判定行為が行われる。 その際に、その時点で結ばれているロイスの数分の(もしくは終了後に与えられる経験点の一部を放棄する事によりその倍の)10面ダイスを振ってその出目の合計を侵蝕値から差し引く事ができ、その差し引いた侵蝕値により暴走化の判定が行われる。
そのためにプレイヤーは積極的に他者との関係を結ぶ事を求められるため、戦闘だけでない多彩な物語が産み出される事が多いのが本作品の魅力の一つとなっている。
また、ロイスはその対象が失われる(死亡等の離別や記憶の喪失、または自らその感情を断ち切る)事によりタイタスに変化する。 そしてキャラクターはタイタスを使用(昇華)することにより爆発的な攻撃の強化や自らの甦生を行うことが可能となる。 ただしロイスとタイタスは合計7つしか所有する事ができず、タイタスは使用してもセッション中は消滅しない。 これにより、現在の侵蝕値を確認しながらの緻密な計算が必要となり、安易なパワーゲームへの移行を抑止している事も本作品の評価の高さの一因になっている。
[編集] Dロイス
サプリメント「ブレイクアップ」から追加された要素。
これを取得する事により、通常の感染者とは異なる特殊なキャラクター設定と能力を得ることができる。ただし恒常的にロイスの1つとして扱われる上に自律判定のダイス数に含められないため、通常の感染者よりも日常への帰還が困難になるという欠点も併せ持つ。
[編集] 製品一覧
[編集] 1st Edition
- ダブルクロス
- デモンズシティ(サプリメント)
[編集] 2nd Edition
- ダブルクロス The 2nd Edition
- ブレイクアップ(サプリメント)
- アルターライン(サプリメント)
- コントラストサイド(サプリメント)
- アウトランド(サプリメント)
- ダブルクロス・リプレイ 闇に降る雪 -Queen of Blue-
- ダブルクロス・リプレイ 聖夜に鳴る鐘 -Dynast-
- ダブルクロス・リプレイ・オリジン 偽りの仮面
- ダブルクロス・リプレイ・オリジン 残酷な人形
- ダブルクロス・リプレイ・オリジン 破滅の剣
- ダブルクロス・リプレイ・オリジン 未来の絆
- ダブルクロス・リプレイ・ヴァリアント 消え去りし楽園
- ダブルクロス・リプレイ・トワイライト 東邦の快男児
- ダブルクロス・リプレイ・トワイライト 熱き夕陽の快男児
- ダブルクロス・リプレイ・アライブ 覚悟の扉
- 公式ファンブック ライブボックス