コールドスリープ
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コールドスリープとは、宇宙船での惑星間移動などにおいて、人間を低温状態に保ち、目的地に着くまでの時間経過による搭乗員の老化を防ぐ装置、もしくは同装置による睡眠状態。移動以外にも、肉体の状態を保ったまま未来に行く手段としても用いられる。
SF作品にはよく出てくる手法である。
現実問題として、映画や小説でも指摘されているとおり、惑星間の移動が可能になったとしても、一瞬で目的地へ着くワープ航法でもなければ、当然のごとく移動にはすさまじい時間がかかる。その間の搭乗員の食料、酸素等、生活にかかるものを、搭乗員を眠らせることによって、抑えることができれば、それだけのスペースが別のことに利用できる、またはそれだけの重量を減らすことができる。このような利点から、コールドスリープが選択される。
SF作品上、低温化での睡眠として描かれたものが多いが、実際には冷凍した場合、水分が凍結した時におこる体積膨張により細胞を破壊してしまうため、生命を保ったまま人間を冷凍できるかどうかなどの問題がある。なお冷凍保存では精子の冷凍保存は実用化されている。また長期間、無重力状態に肉体がさらされると、筋肉の衰え、骨が脆くなるなどの弊害が考えられるが、逆に重力がある状態で長期間同じ姿勢で睡眠すると、いわゆる「床ずれ」をおこし、皮膚が壊死することが考えられる。
また、関連した内容として海外においてはクライオニクス(cryonics、人体冷凍保存)と呼ばれるサービスがある。これは、死んだ直後の人体を冷凍保存し、医療技術の発展した未来に復活の望みを求めるものである。しかし、先述したように冷凍・解凍時の人体の細胞破壊を克服する技術的ブレイクスルーが必要とされること、また既に破壊されてしまった細胞の復元は非常に困難であることから、実際に彼らが復活するかどうかについては悲観的な意見が多い。
またコールドスリープと同様な趣旨のものにハイバネーション(人工冬眠?)と呼ばれる技術もある。これは、リスなどの小動物にみられる冬眠(肉体の生命活動を極端に低下させ、食事等を全く行わず、眠りつづける)状態を人工的に作り出そうとするものである。
[編集] コールドスリープを扱ったSF作品
- 映画・小説『2001年宇宙の旅』 アーサー・C・クラーク
- 小説『夏への扉』 ロバート・A・ハインライン
- 小説『コールドスリープ』 飯田譲治 - 2002年に映画化
- 映画『エイリアン』シリーズ(惑星間の移動時に使用)
- 映画『フォーエヴァー・ヤング 時を越えた告白』
- 映画『猿の惑星』
- 映画『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』
- 映画『スリーパー』
- 映画『オースティン・パワーズ』
- 漫画『トライガン』
- アニメ『かってにシロクマ』
- ゲーム『ポリスノーツ』
- ゲーム『Ever17 -the out of infinity-』
- ゲーム『パワードール』(解凍する施設を強襲するミッションがある)