冬眠
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冬眠(とうみん、Hibernation)とは、季節的な低温に対して、動物が摂食や運動を中止して代謝活動を著しく低下させた状態で冬季を過ごすこと。
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[編集] 陸生変温動物の冬眠
ヘビ、カエル、カメ、昆虫など陸生変温動物が越冬するときに広くみられる。体温は外囲の温度に並行して低下する。
[編集] 恒温動物の冬眠
コウモリ、ヤマネ、シマリスなどの小型の恒温動物も冬眠を行う。小型の動物では、体重に対する表面積の割合が大きいため、体温を維持するために大量のエネルギーを必要とするのである。食料の乏しい冬季ではこれを維持するだけの栄養を摂ることが出来ず、小型恒温動物は冬眠せざるを得なくなる。
冬眠前には巣の中に食料を蓄えたり、体内に脂肪が蓄えられる。また、体内の脂肪の不飽和度が上がり、凍結することを防ぐ。冬眠時、体温は気温よりやや高い一定温度(コウモリでは5℃,ヤマネでは0℃くらい)を維持する。また、通常に比べ、代謝レベルが数十分の1まで低下する。
大型のクマ、アナグマなどは、冬ごもりを行うが、これは真の冬眠ではなく、むしろ睡眠に近い状態であり、体温の低下も数度以内で、わずかな刺激で目ざめる。
[編集] 「人間の冬眠」と話題に上がった事件
人間は冬眠しないが、極低温状態での生存例が報告されている。日本では2006年10月7日に兵庫県の六甲山で男性が遭難した。2日後の10月9日には意識を失い、10月31日に発見されるまで23日程の間、いわゆる冬眠に近い状態だったのではないかと医師が話している。発見時には体温が約22度という極度の低体温症で、ほとんどの臓器が機能停止状態だったが、後遺症を残さずに回復した。当初の報道では「湧き水と焼き肉のたれで生き延びた」とされていた。
[編集] その他
SF作品に登場する人工冬眠については、コールドスリープを参照。冬眠中は脈拍等が減少する。端的にいえばそれだけ寿命が長くなるとも考えられている。また、現在不治の病とされている患者に対し、冬眠に似た状態に保つことで、将来の医学に期待する方法も模索されている。
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