サムライ・レンズマン
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『サムライ・レンズマン』は、徳間デュアル文庫から刊行された古橋秀之著のSF小説。スペースオペラの名作「レンズマン」シリーズの外伝。
レンズマンシリーズ本編のうち、『第二段階レンズマン』と『レンズの子供たち』の間のエピソードであり、レンズマンシリーズ本編に登場する重要人物が勢揃いする娯楽作品である。 また、著作権者の遺族とライセンス契約を交わしており、単なる二次創作やパロディ小説ではなく、正式のシェアード・ワールド作品である。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] あらすじ
舞台はクロヴィアの戦いから5年後。
若きレンズマンのビル・モーガンと銀河パトロールは、ズウィルニク(麻薬業者)たちを本拠地のビルに追いつめたていた。しかし要塞化されたビルに装備されていた戦艦並みの防御スクリーンに阻まれて突入できず、いらだちを募らせていた。
そこにレンズ通信が入る。装甲宇宙服に身を包んだそのレンズマンは衛星軌道上から要塞ビルに急降下突入し、単身で全ズウィルニクを殲滅してあっという間に事件を解決してしまう。 彼こそが「サムライ・レンズマン」、シン・クザクであった。
ちょうどそのころ、銀河系内に激安のシオナイトが流通しはじめ、滅ぼされたはずのボスコーンが復活したという噂が広まり出していた。任務解除により独立レンズマンとなったクザクは、ボスコーンを追いはじめる。
シオナイト流通ルートの端緒をつかんだビルは、狡猾な敵である「青いガンマン」デイルズの罠に落ち、瀕死の重傷を負わされる。わずかに残った最後の生命力を燃焼させてビルが放った全方位レンズ通信にクザクが応える!
[編集] 主な登場人物
[編集] 本作オリジナルの登場人物
- シン・クザク:レンズマン。日系アルタイル人。本作の主人公。初登場時は軍事情報局(MIS)所属のレンズマンであったが、任務解除を受け独立レンズマンとなる。単分子デュレウムを鋳込んだ日本刀を振るう盲目のサムライ。アルタイル柔術の達人でもある。責任を取るのにやたら腹を切りたがる。
- ウィリアム(ビル)・モーガン:トランジア麻薬局所属の新人レンズマン。地球系アルデバラン人。
- キャサリン(キャット)・モーガン:ビルの姉。地球系アルデバラン人。男勝りの小惑星鉱夫。あだ名は山猫(ワイルドキャット)。小惑星をベースにした探鉱ステーション“エルバ”在住で、様々な人種の子供たちを引き取り、親代わりとして養育している。本作の時点で養育しているのはマナルカ人のドロシー、ヴェギア人のリッキー、チクラドリア人の双子レイとマギー、トミンガ人のデューンの五人(彼らはキャットやビルの「弟」「妹」と表現され、「義理」という言葉は一切使われていない)。愛機は小型探鉱艇“ラッキーストライク”。
- ジョナサン:レンズマン。マッコウクジラ。フリッパーとスキッパーという二頭のイルカをアシスタントとして、内部に熱帯の海を再現した球形宇宙船“フィッシュボウル(金魚鉢)”を駆る。エコロケーションの精神科学的応用であるサイコロケーション能力を持ち、長距離あるいは広範囲の思考波探査に長けている。
- デイルズ:ボスコーン。青い肌の半カロニア人。銃器や火砲を偏愛する。冷酷にして激情家。
[編集] レンズマンシリーズからの登場人物
- キムボール(キム)・キニスン:第二段階レンズマンにして銀河調整官。クロヴィア在住の地球人。オフィスワークが大嫌い。
- クラリッサ(クリス)・キニスン:旧姓はマクドゥガル。キムの妻。レッド・レンズマン。
- クリストファー(キット)・キニスン:キムとクリスの息子。未来の第三段階レンズマン。
- トレゴンシー:第二段階レンズマン。リゲル人。軍事情報局(MIS)の長。キットに対しては“トリッグおじさん”を自称する。クザクからアルタイル柔術の手ほどきを受けている。
- ウォーゼル:第二段階レンズマン。ヴェランシア人。
- ナドレック:第二段階レンズマン。パレイン人。
- ユーコニドール:アリシア人。テレパシーでキットと接触し、その成長を見守っている。
- ピーター・ヴァンバスカーク:銀河パトロール隊白兵隊所属。ヴァレリア人。キムの親友。
- デルゴン上帝族:かつてヴェランシア人を支配していた種族。
[編集] サムライ・レンズマンの特殊能力
本作中でシン・クザクは、通常のレンズマンが持つ精神感応(テレパシー)や、視覚に頼らない知覚能力以外に、ユニークな能力を発揮している。
- アルタイル柔術
- 明鏡止水(ミズカガミ)
- 武者走り(ムシャバシリ)
- アルタイル柔術と「明鏡止水(ミズカガミ)」を統合した一対多戦闘の奥義。高速回転する独楽が、見かけは静止しているのに触れるものすべてをはじき返す様に例えられる。
なお、クザクの行動パターンやその背景にある日系アルタイル人の文化は「外国人の目から見た侍や日本文化のカリカチュア」として描かれている。
[編集] 関連事項
- ダイソン球
- 自己複製機械