柔術
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柔術(じゅうじゅつ)は、日本古来の徒手武術「古流柔術」である。戦国時代の合戦用に工夫された「甲冑武術(鎧組討ち)」と江戸時代になってから発展した「素肌武術」に大別される。相手を負傷させずに捕らえることを重視する流儀の多さは、他国の武術に類を見ない大きな特徴である。
広く研究され流派が多数存在したことを証すように、柔・和・和術(やわら)・体術・胎術(たいじゅつ)・拳法・腰廻・小具足術・挫術・座術・?術・坐術・体座術・体挫術・体坐術・体?術・白打・組討・組打・組討術・組打術(くみうち)・鎧組討術・鎧組打術・取捨術・捕手・捕縛など、その異称は数多い。
「柔術」は広義では徒手武術全般を指す。この記事では主に狭義の柔術「古流柔術」を「柔術」として説明する。また「柔術」も「古流柔術」も日本古来の柔術全体をしめす正式名称ではない。
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[編集] 概要
柔術は(少なくとも鎧組み討ちは)その初発的形態としては、戦場の武器戦闘の補足技術として発生したと考えられている。そのため、小刀の帯刀を前提としており、中には拳足を武器になぞらえた技術体系を持っている流派も多い。そうした中で、たとえば柔術の源流の竹内流などを代表として、柔の技を郎党に覚えさせた集団が周囲から恐れられるようになっていった。
一時期の間、柔道、合気道は名が広まるにつれ、これらの名称に「柔術」が含まれていない事から、これらが柔術と言う観念が希薄になり「柔術」というと伝統的な柔術を指す場合が多くなった。
しかし、最近ではメディアへの露出の機会が多いことから、「柔術」というとブラジリアン柔術のことを指す場合が増えている。柔術=ブラジリアン柔術=寝技という認識になっていることも多い。また、国際的には柔術というとこのブラジリアン柔術と共にJJIF柔術を指す場合も多い。
特別にあつらえた肉厚の防具を使用する流派もある。投げ・固め技の習得が困難であるためにより修行に時間を取る例が多いことや、相手を取り押さえることにおいて「小刀などの武器をもって相手を殺傷せずに制する」といった思想も、日本古来の柔術の特徴となっている。
[編集] 現代武道の母体としての柔術
柔術から生みだされた武道として、柔道・合気道などがある。
柔道は起倒流・天神真楊流などを元に嘉納治五郎が創始した。柔術の技法から、当身技や武器術も含む技法を網羅した武道を目指したものが柔道であった (前期柔道として現代柔道と区別する者もいる) が、乱取りが競技化したことにより (組み付いた状態での) 投げ技と寝技に専門化したものとなる。更に、柔道から寝技をより専門化したのが高専柔道である。更に、柔道で廃れていった当身技の稽古のために生まれたのが日本拳法である。澤山宗海は柔道と空手をもとに、当身と当身から投げ技への変化の技法を専門化した武道として編み出した。
合気道は大東流合気柔術・起倒流柔術・柳生流柔術 ・新陰流剣術などを修めた植芝盛平が、大東流合気柔術を骨子に創始した武術「武産合気 (植芝流) 」が一般に広く普及(植芝は普及には否定的だったともいわれるが)された現代武道である。柔道とは異なり、対武器の技法と腕に対する関節技に専門化した武道である。更に、富木謙治が合気道に起倒流の要素を加え、乱取りを導入した独自の合気道(富木流合気道とも呼ばれる)を編み出した。
また、大塚博紀(和道流空手道開祖)は、自身が学んだ神道揚心流と為我流をもとに和道流柔術拳法を編み出した。(ただし、和道流柔術拳法は日本古武道協会に柔術流派として加盟していることから、現代武道ではなく古武道である)
近年のCQCを重視する各国の軍用格闘技に柔術の技が採り入れられていることもある。ただし、柔術に限らず伝統武術に共通する欠点である、習熟に時間がかかる割りに現代では非実戦的な技も多い点により、あくまでも一部の関節技の採用にとどまっている。
- 武徳会柔術形(講道館柔道形の一部、極の形となった)
[編集] 分類
古流柔術はおおむね、江戸時代までに興された徒手武術をさす。柔道、合気道、ブラジリアン柔術等は含まれない。
[編集] 「柔術」が意味するところの変遷
本来、「柔術」は徒手武術全般の総称であり、柔道、合気道、ブラジルで発展したブラジリアン柔術、ヨーロッパで発展した「Ju-Jitsu」 [1](以下「JJIF柔術」)等も「柔術」に含まれる。柔道 (特に現代柔道) 、合気道が世に出てきた時、これらと区別するため、日本古来の柔術を「古流柔術」という表現を用いて区別するようになり、一部では正式名称であるかのごとく、そこまではいかないが多くの人の間でも数十年以上にわたり定着している。古流柔術の実践者、関係者の間でもよく使われる。
[編集] 組み技、組み討ち技という意の「柔術」
武術界において、「柔術」を組み技・組み討ち技の意として使うことがある。例えば新体道である。柔術が組み技、組み討ち技が主な武術・格闘技と考えている人も多い。古流柔術に対してでさえそうである。そのためか群馬県の柔術尚武館は当身技を主としていたことから「空手」に名称を変えた。なぜ、このような傾向になったか原因を挙げてみる。
- 新興の柔術である柔道の試合に当身技が無いこと。
- 江戸時代は捕縛術としてそのような技術が中心に据えているような印象を与える流派も多く、かつそれは古流柔術全体の特徴でもある。
- ブラジリアン柔術の影響は選手が総合格闘技の試合で当身技も使うこととブラジリアン柔術競技に当身技が禁じられてること両面があり、抑止要因になったか原因になったか、どちらかは確認されていない。
しかし、柔術には徒手という要素しか必要なく共通理念はない。したがって、当身技を排除する要素はない。実際、当身技法も深く修練する体系になっている流派、隠し武器術を伝える流派も多いのである。同様に「古流柔術でなければ柔術にあらず」という考えも誤りである。
[編集] 主な流派
- 浅山一伝流
- 浅山一伝古流
- 浅山大成流
- 浅山一伝新流
- 応変流
- 浅山一伝古流
- 荒木流
- 荒木新流
- 為我流
- 為我流派勝新流
- 一条不二流
- 北窓流
- 神道北窓流
- 北窓流
- 小栗流
- 鞠身流
- 水野流
- 水野新当流
- 起倒流
- 外部リンク起倒流柔術研究
- 今真流
- 諸賞流
- 制剛流
- 霞新流
- 心照流
- 関口新心流(関口流)
- 専当一心流
- 大東流
- 高橋大雲坊流
- 立身流
- 竹内流
- 天真正伝香取神道流
- 天然理心流
- 当理流
- 戸田流
- 気楽流
- 四天流
- 誠源流
- 戸田一平流
- 長尾流
- 柳生心眼流
- 楊心流
- 無相流
[編集] 関連項目
[編集] 関連書
- 小佐野淳 『図説 柔術』 新紀元社 ISBN 4883173550