サンダーショット
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サンダーショット(Thunder Shot)は、田宮模型(現・タミヤ)から発売された電動ラジオコントロールカー(RCカー)。1987年11月19日発売。キット価格は13,800円。
ホットショット系を改良した四輪駆動のオフロードバギーであり、コストパフォーマンスに優れた製品として当時人気を博した。
目次 |
[編集] メカニズム
- シャーシ構造:強化樹脂製バスタブ構造
- フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン、オイル封入式ダンパー(モノショック)およびアンチロールバー装備
- フロントタイヤ:中空ラバー、ピンスパイクパターン
- リヤサスペンション:ダブルウィッシュボーン、オイル封入式ダンバー装備
- リアサタイヤ:中空ラバー、ピンスパイクパターン
- 駆動方式:シャフト駆動式4WD
- モーター:マブチRS540SHをミッドシップ、後部ギアボックスに装備
- デファレンシャルギア:フロントおよびリア…べベルギア式、センター…なし
- 搭載バッテリー(別売り):7.2Vストレートパックを横置きで搭載
- ボディ:ポリカーボネート製(レキサン)
[編集] 長所
[編集] 劇的な低価格化
本製品の登場当時、マニアたちに最も衝撃を与えたのはその低廉な価格である。直前に発売されたスーパーセイバー(ホットショット系最後の製品)よりも2000円安く、2輪駆動バギーと変わらぬキット価格は、後述する点を含めて考えるとまさしく「価格破壊」と呼ぶにふさわしいものだった。
[編集] ホットショットを上回る駆動効率
駆動系統の基本的な構造はホットショット系と同じだが、スラストベアリングを廃止したほか、プロペラシャフトの配置を見直し、カウンターギアを1個少なくできたため、その分効率向上につながった。ただし、各歯車のピッチ等はホットショット系とほぼ同じだったため、動力性能の劇的な向上には至らなかった。
[編集] ステアリング機構の刷新
駆動効率の向上よりも影響が大きかったのは、むしろステアリング機構の刷新である。ホットショット系ではラック式ステアリングだったが、この方式は摩擦抵抗が大きいうえ、少しでも土砂が流入すると動作が著しく妨げられることから、ホットショット系の泣き所であった。本製品では、ステアリング機構を3分割タイロッド式に改めたことで、操舵性能の向上や故障減少を図ることができた。この方式は改良を経て、後発製品でも踏襲されている。
[編集] サスペンション構造の見直し
外見上すぐに判る改良点は、サスペンション構造の見直しであろう。ギャップ走破性能の向上を図るため、ロングスパン化に加えアッパーアームの簡素化などによるばね下重量軽減も施され、ホットショット系とは比較にならぬほど性能が向上している。前側のサスペンションはモノショック構造だが、オプションで簡単にデュアルショック化できるようになっており、派生車のスコーチャーとファイヤードラゴンでは最初からデュアルショック化している。
[編集] 多彩なボディー選択肢
サンダーショット系の隠れた長所として、後にクローズアップされたのが、多彩なボディー選択肢である。ボディーマウントの寸法等は有名なホーネットと互換性があり、雑誌コロコロコミックで人気を博した「ドラゴン三兄弟」ボディーにも対応していたが、とりわけ「サンダードラゴン」の人気が高かったことから、1988年3月に同ボディー搭載のサンダードラゴンが、翌1989年にはファイヤードラゴンがそれぞれ派生車として発売された。
[編集] 短所
[編集] 整備性の改良が進まなかった駆動系統
サンダーショット系最大の泣き所は、ホットショットほどではないにせよ、整備しにくいギアボックス構造にあった。左右嵌め合い式の前後ギアボックスは、多少形状が異なるものの基本的にホットショットと変わらないため、点検するだけでも多数のねじを外してからでないと無理だった。
[編集] サスペンション素材の不適合
改良され長足の進歩を遂げたサスペンションにも、「サスアームが硬すぎてすぐ折れる」という欠点が潜んでいた。ホットショット系でも見られたこの問題は、材質そのものに由来するものであるが、アバンテでもすぐには解決できず、バンキッシュ発売まで待たなければならなかった。
[編集] 製造終了
アバンテ系登場後の本製品および派生車は、初心者から中級向けとして位置づけられ、スコーチャーでは既存オプションの完全装備に加え、ユニバーサルスイングシャフトや後部アンチロールバーの追加が行われたが、開発は事実上そこでストップし、その役目をマンタレイに譲って製造終了となった。ただし、ユニバーサルスイングシャフトだけは、その後もマンタレイ系用としてアフターサービスながら調達できるとのことである。