スコーチャー
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スコーチャー(Terra Scocher)は、田宮模型(現・タミヤ)から発売された電動ラジオコントロールカー(RCカー)。キット価格は22,000円。
サンダーショット系の四輪駆動のオフロードバギーにオプション装備を追加したもので、1988年クリスマス商戦にバンキッシュとともに投入された。
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[編集] メカニズム
- シャーシ構造:強化樹脂製バスタブ構造
- フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン、オイル封入式ダンパーおよびアンチロールバー装備
- フロントタイヤ:中空ラバー、ピンスパイクパターン
- リヤサスペンション:ダブルウィッシュボーン、オイル封入式ダンバーおよびアンチロールバー装備
- リアサタイヤ:中空ラバー、ピンスパイクパターン
- 駆動方式:シャフト駆動式4WD
- モーター:マブチRS540SHをミッドシップ、後部ギアボックスに装備
- デファレンシャルギア:フロントおよびリア…べベルギア式、センター…なし
- 搭載バッテリー(別売り):7.2Vストレートパックを横置きで搭載
- ボディ:ポリカーボネート製(レキサン)
[編集] 特徴
[編集] 念願のデュアルショック標準化
低廉なキット価格で話題を呼んだサンダーショット系だが、上級向けのアバンテと比較すると、フロントサスペンションがモノショックであり、ロングスパンのサスアームの性能を十分に生かしきれていなかった。本製品では樹脂製ながらもフロントのデュアルショック化を図り、またアンチロールバーも前後標準装備とすることで、サスアーム本来の性能を発揮できるよう工夫されている。
[編集] 追加されたキャンバー角調整機構
サンダーショットからの改良点としては、前後サスペンションのアッパーアームを、キャンバー角調整可能な物へと換装したことも指摘せねばならない。ボールエンドと両ねじシャフトを組み合わせたこのアッパーアームは、アバンテのコンバージョンキットに同梱されたものと基本的に同じで、本製品と同時期に発売されたバンキッシュの標準装備より軽量かつ実戦的だった。後にこの部品は単品でも発売され、サンダーショット系の必須チューニングアイテムともなった。
[編集] 駆動系統のオプション標準化
ホットショット系より一歩進んだ駆動系統を備えるサンダーショット系に欠けていたのは、ボールベアリングとユニバーサルスイングシャフトであった。本製品では、既に発売されていたそれらのオプション装備が標準化され、本来の設計性能を遺憾なく発揮できるようになった。
[編集] 多彩なボディー選択肢
専用の小型ウイングを装備しているものの、多彩なボディー選択肢を失ったわけではない。サンダードラゴンや、翌1989年発売のファイヤードラゴンはもちろんのこと、雑誌コロコロコミックで人気を博した「ドラゴン三兄弟」の他のボディーにも対応していた。本製品標準のボディーも決して駄作ではなく、マンタレイ系のダートスラッシャーに、本製品のボディーが転用されたことは、マニアの間では公然の秘密となっている。
[編集] 整備性の問題
整備性で難ありとされた左右嵌め合い式の前後ギアボックスは、本製品でも基本的にそのまま使われた。ボールベアリングの標準化により多少面倒が減ったものの、内部の点検や補修は必然的に「重整備」も同然で、本製品を含めサンダーショット系の限界を示す欠点のひとつだった。
[編集] バンキッシュとの競合
本来ならばサンダーショット系の最高峰モデルとして、華々しく宣伝されたはずの本製品だが、販売上最大の障害は他社製品ではなく、同時期に同社から発売されたバンキッシュだった。両者は装備内容に著しい違いがあったにもかかわらず、発売時期と価格帯がほぼ同じだったため、1988年のクリスマス商戦で競合することとなった。幸い、当時の日本国内はバブル景気が上り基調にあり、結果として共倒れには至らなかったものの、販売戦略として両者の同時発売が適切だったかについては、議論が分かれるところだろう。