シェアウェア
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シェアウェア(Shareware) とは、ソフトウェアを試用させ、継続して使用するときに対価を要求する販売方法のこと。主にネットワーク上で配布される。
無料で利用できるフリーソフト、および店頭で販売される市販ソフトウェアと区別するために用いられる。パッケージとして流通しない有償ソフトウェア全般を含んでシェアウェアと呼ぶこともある。
シェアウェアはBob Wallaceが1983年にワープロソフトPC-WRITEを、"Shareware" と命名して販売したことに始まる。Bob Wallaceはユーザに自身のソフトをフロッピーにコピーして友人に配布(share)して欲しい、そして気に入ったら対価を払って欲しいと訴えた。それからこうした販売方法をシェアウェアと呼ぶようになった。shareを共にと解釈するのは間違いである。
著名なシェアウェアには、「秀丸エディタ」「WinRAR」「Becky!」「Metasequoia」などがある。初期のNetscape Navigatorもシェアウェアであった。
シェアウェアとして公開するにあたってのスタンスはさまざまである。
- フリーソフトとして利用してかまわないが、寄付は歓迎する
- 気に入って長く利用するのなら、対価を払うことを望む
- 利用者にも制作費を分担する事を求める
- パッケージ化や流通コストをかけずに配布する
フリーソフトとして公開し、改定によって仕様確定とバグフィックスを行い、ある程度のユーザを獲得した後、シェアウェアに移行するケースや、シェアウェアをパッケージソフトとして販売するケース、逆にシェアウェアであったものをフリーソフトにして配布するケースなどもある。
また、サポートに対する考え方も、いっさいの義務を負わないとするものから、市販ソフトウェアと同程度の水準でサポートされるものまで、製作者によってまちまちである。
一般的には、機能制限を設定した試用プログラムを、ネットワーク等の手段を通じてユーザに無償で配信し、制限解除のためにユーザが対価を支払う(レジスト)ことで機能制限の方法を知る、という方式が多く取られる。
しかし、ソフトウェアによっては動作制限を実質的にかけていなかったり、あるいは制限を解除しなくても通常の使用に関しては十分に用が足りるものや、解除方法がユーザに見破られてしまうものもある。
機能制限の仕方も複数存在しており、主なものでは次の通りである。これはシェアウェアのみに限らず、市販されているソフトウェアの体験版でも同じことが言える。
- 一部機能制限によるもの(保存機能が利用できない、など)
- 使用期間・あるいは起動回数によるもの(数週間から2・3ヶ月程度はすべての機能を自由に使えるが、それ以降は登録コードを入力する画面から先に進めない)
- 印刷など、出力したデータに透かし文字などが強制的に上書きされるもの
また、これらを組み合わされたソフトウェアも存在する。
中には安易にシェアウェアとして公開するケースも存在するが、多額の代価を得られるものはごくわずかであり、バグ対応、OS対応といったサポートの負担に耐えかねて公開を停止するものや、改めてフリーソフトとして公開しなおすものも少なくない。
また、対価の支払方法が豊富なのも、シェアウェアの大きな特徴と言える。通常、市販されているソフトウェアは現金やクレジットカード、ネットショップであればクレジットカードもしくは振込でしか支払うことができない所が多いが、シェアウェアの場合、これらに加えて図書券やビール券などといった、金券での支払いができるものも存在する。また、ベクターやiREGiといった、料金支払いのためのの仲介業者も存在しており、こちらは安全に取引をしたい利用者を中心に使われている。