シッパル
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シッパル(Sippar、シュメール語:ジンビル(Zimbir))は古代メソポタミアの都市、およびそこに興った国家。都市神はシャマシュ(シュメール語:ウトゥ)。
[編集] 遺跡
現代のイラク南部にあるアブ・ハッバ遺跡がシッパルに同定されている。19世紀半ばに発見され、数度にわたる調査が行われた後しばらくの間手が付けられていなかったが、1970年代から再び調査対象となり、イラクやベルギーの調査隊によって発掘がなされた。
[編集] 歴史
シッパルへの最初の居住は紀元前4千年紀に始まった。シュメール王名表によれば、伝説的な大洪水以前に王権が降り立った5つの都市のうちの1つがシッパルとなっている。ララク市から王権が離れた後、シッパルに王権が降り、エンメンドゥルアンナが21000年間統治したという説話が残されている。
実際のシッパルは太陽神信仰の拠点として宗教的な重要性を帯びていたが、同時代史料が見つかる時代には覇権を握るようなことはなかった。
古バビロニア時代には修道院に類似した施設が作られナディートゥと呼ばれる女性祭司が居住しており、何らかの宗教活動に従事していた。この女性祭司たちの中には王族の娘もいたことがわかっている。
都市は古代メソポタミア時代を通じて存続したが、アルサケス朝時代に放棄された。