シージャック
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シージャックとは、ハイジャックから転じた和製英語であり、運行中の船を乗っ取る行為を指す。また海賊行為と混同されがちであるが、そちらは積荷等の略奪が目的であるため全く異なるので注意のこと。
英語では、航空機・鉄道・バスなどの別を問わず、交通機関を暴力等で奪取する行為はすべてハイジャック(Hijack)と呼ぶ。
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[編集] シージャックの目的
シージャックの目的はハイジャック同様、亡命や政治的目的によるテロリズムなど目的意識の明確なもの、あるいは精神的錯乱、心理状態の異常といったものなど、様々である。日本では亡命目的もしくは政治目的で船を乗っ取った例はなく、またハイジャック事件もしくはバスジャックに比べ、現実的に船の乗っ取り自体が困難であるため、実例がすくなく、またその実例も動機も心理状態の異常による事件である。
[編集] 「シージャック」の由来
1970年によど号ハイジャック事件が発生し、「ハイジャック」という言葉が日本で使われるようになった際に、「ハイ」は飛行機を指し、「ジャック」は乗っ取り行為を指すという誤解が広まり、バスを奪取する行為は「バスジャック」、船舶の場合は「シージャック」、列車の場合は「トレインジャック」、自動車の場合は「カージャック」という和製英語が生まれた。そのため1970年に発生した定期旅客船を乗っ取った瀬戸内シージャック事件(別名ぷりんす号シージャック事件)において、海の船に対する同様の行為として「シージャック」と命名されたが、本来なら「ボート・ハイジャック」もしくは「シップ・ハイジャック」とすべきところであったといえる。また海賊の英語と誤解される恐れがある単語ともいえる。
[編集] 日本での主なシージャック事件
- 1970年5月12日:広島発今治行きの定期旅客船「ぷりんす号」が警察から追跡されていた男性(当時20歳)にハイジャックされたが、一時愛媛県の松山観光港に逃走したのち翌日に広島に戻り、そこで犯人は射殺された(瀬戸内シージャック事件)。動機は犯人が射殺されたため不明であるが、おそらくはどこまでも逃亡したいという心理からであったとされている。
[編集] 対策
現実的に定期旅客船ないし貨物船が日本でシージャックされることは皆無といえるが、もし政治的目的のために多数の乗客を人質にしたり、タンカーの爆破を脅迫するなどの、アクション映画もどきのテロが行われる可能性も否定できないため、関係官庁と民間業者で、そういった想定の訓練が行われることがある。