ジパング (大阪府)
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ジパング株式会社(じぱんぐ・ZIPANG)は、大阪府に拠点を置く貸切バス専業のバス事業者である。
かつては「中央観光バス」という社名で、バスを「旅の主役」として位置付け、豪華な貸切車を多く保有していたことで有名。また、「ZIPANG」ブランドは、以後同社の代名詞ともなっており、現在の社名にも使用されている。
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[編集] 概説
豪華貸切車ばかりがラインアップされ、観光バス業界の風雲児と言われた。
また、同じ大阪府に本拠を持つ貸切専業バス事業者の中央交通に対抗して、輸入商社として「バウルC.S.B商事」を設立、ネオプランをはじめとしてマンやボーバなどの輸入代理店となっていた(ただしボーバは中央観光バス以外には導入事業者は無かった)。特にネオプランは中央交通との間で激しい商戦が繰り広げられたという。
しかし、団体旅行の激減、会員募集旅行の増加という観光バス市場の変化についていくことは出来ず、2001年8月8日、事業停止により従業員全員が解雇されることになった。
中央観光バス労働組合では『ジェイ・ジェイ交通株式会社』を設立、退職金債権として保全措置を講じていた車両28台とZIPANGの商標を代物弁済として譲り受け、事業を引き継いだ。2002年には『ZIPANG JJ(ジパング・ジェイ・ジェイ)』へ、その後2005年頃に現社名へ変更している。
[編集] 歴史
[編集] 沿革
- 1965年9月 - 中央観光株式会社として設立。
- 1974年5月 - 中央観光バス株式会社に社名変更。
- 2001年7月30日 - 労働組合により、ジェイ・ジェイ交通株式会社が設立。
- 2001年8月8日 - 中央観光バス株式会社が倒産。
- 2002年9月 - 中央観光バス株式会社から、ジェイ・ジェイ交通株式会社へ事業譲渡手続きが完了。
- 2002年11月1日 - ジェイ・ジェイ交通株式会社、ジパング・ジェイ・ジェイ株式会社に社名変更。
[編集] 事業所
- 大阪府門真市三ツ島2288
- 大阪府泉南郡岬町淡輪1530-1
[編集] 車両
当初からバスを旅の主役として位置付け、豪華な貸切車を多く保有していた。屋根上の装飾として、ロケット型の風洞を設けた車両もあった。内装についても、スタンダード車であってもシャンデリアを装備するなど、豪華さを強調する仕様となっていた。同社のバスは星5つがスタンダード、星7つがハイグレード車として区別されていた。
1979年には中央交通に少し遅れてネオプラン車を導入。N116/3シティライナーやN122/3スカイライナーが豪華サロンバス「エンパイアステートサルーン」として、1982年までに合計26台導入された。1982年後期導入の6台はモデルチェンジによりデザインが一新され、ベースカラーが白に変更されたが、これが後に同社の代名詞的存在となるジパングカラーの始まりである。
これ以外にも、マン車やボーバ車など、多くの輸入車を導入した。現在は、これらの豪華貸切車は大半が売却されており、残った車両も通常のスタンダード仕様に改装されている。
以下に主な車両の概要を記す。
[編集] 現在稼動中の仕様
- オリエントエクスプレス(当初はハイグレード車)
- VIPと同様、車内は総絨毯仕立てで、土足禁止。日野ブルーリボン、ネオプラン・スカイライナー等がこの仕様で導入された他、いすゞBXD30型ボンネットバスも2台がこの仕様に改装されていた。定員は32人・38人・53人・56人のものがあったが、現在は53人乗りが稼動中で、土足禁止ではなくなっている。近年は、スタンダード化された「ジパング・ダイムラー」を塗装変更の上この仕様としている車両が存在している。
- ジパング・ルグラン(スタンダード車)
- 1991年に3台が導入された。三菱エアロキングで、1階がサロンになっていた。2階は通常の4列シートで、便所付53人乗り。現在も1台が稼動中。
- ジパング・ダイムラー(当初はハイグレード車)
- 1991年に26台が導入された。いすゞスーパークルーザーUFCに富士重工製の特注車体を架装。ほぼ全座席がボックスシート仕様となっており、しかも1ボックスごとに窓が1つと、観光バスの特徴である「景色が見やすい広い視界の窓」にあえて逆らうかのような構造で、業界を驚かせた。現在でも一部の車両が車内をスタンダード仕様に改装の上稼動しており、小窓の並ぶ外観が異彩を放っている。一部車両は前述の「オリエントエクスプレス」へ改装されている。
[編集] 過去に存在した仕様
- オリエントエクスプレスVIP(ハイグレード車)
- 同社観光バスの最高級車で、定員は僅か23~24名。車内は総絨毯仕立てで、土足禁止。日野ブルーリボン、ボルボ・アステローペがこの仕様で導入された。アステローペでは便所が設置された。
- 和風特別車(ハイグレード車)
- 後部サロン付34人乗り。後部サロンを和風に仕立てたもので、法規上お座敷には出来なかったものの、カーテンの代わりに障子があり、最後部は床の間であった。
- ジパング・ハーレーエクスプレス(スタンダード車)
- 1986年に25台導入された。ネオプランN117/2スペースライナーで、後部サロンシート・便所付41人乗り。導入直後は白1色にZIPANGロゴが記されていたが、間もなく白地に裾周りを黒とグレーのジパングカラーに塗り替えられた。バウルCSB商事独自の仕様で乗降口は中央のみで、本来なら乗降口に相当する前部ドアはドライバー用ドアで、左右両側に装備されてドライバーの乗降を行っていた。1階運転席と客席とは前部に非常口として連絡口が用意されていた。こちらは1997年より売却が始まり、2004年に最後の1台が売却された。
- ジパング・ヘリコン(スタンダード車)
- 1986年に導入された、マン製車両としては最後期の輸入車で、UFC仕様のスーパーハイデッカー。4列シート便所付、42人乗りと44人乗りが各1台ずつの導入。
- ジパング・ボーバー(スタンダード車)
- 1986年に導入された、日本ではわずか2台のボーバ・フートゥラで、4列シート便所付45人乗り。1994年に売却された。
- ジパング・インテグラ(スタンダード車)
- 1988年に8台導入された。三菱エアロクィーンKで、便所付51人乗りの汎用車。
- ジパング・マグナム(スタンダード車)
- 1989年に8台導入された。やはり三菱エアロクィーンKで、こちらは乗降口は中扉を使用し、運転席部分と客室は仕切られていた。便所付50人乗りの汎用車。
- ジパング・プレステージ(スタンダード車)
- 1989年から1990年にかけて合計20台が導入された。いすゞスーパークルーザーのUFC(アンダーフロアコックピット)仕様としては初の富士重工車体架装車で、便所付45人乗り。
- ジパング・プライオリティ(スタンダード車)
- 1995年に4台が導入された日野セレガで、同社としては久々に導入となった日野車。スキーツアー用の特別車として導入され、独立3列シート便所付30人乗りと、夜行高速バスの車両に近い仕様であった。
- ジパング・トルネード(スタンダード車)
- 1995年に4台が導入された日野セレガで、4列シート49人乗り。
[編集] 関連会社
- バウルC.S.B商事…外国製車両の輸入代理店。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 野間直彦著「倒産から奇跡の復活劇~従業員による会社の買収・建て直し~」(2003年・新風書房)
[編集] 外部リンク
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