スティンガーミサイル
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FIM-92スティンガーは、米国が1970年代に開発に着手し1980年代後期に採用された携行式地対空ミサイルである。「スティンガー」とは英語で「毒針」の意。
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[編集] 概要
FIM-92スティンガーはFIM-43レッドアイ携行空対空ミサイルの後継として1972年に開発が始まったもので、開発においては、どのような状況下でも使用できる全面性と、整備性の向上、敵味方識別装置(IFF)の搭載に主眼が置かれた。 主とする目標は低空を比較的低速で飛行するヘリコプター、対地攻撃機、COIN機などであるが、低空飛行中の輸送機や巡航ミサイルなどにも対応できるよう設計されている。このため、誘導方式には高性能な赤外線・紫外線シーカーが採用され、これによって撃ちっ放し能力(発射後の操作が不要な能力)を得ている。
[編集] システム構成
システムは、発射機本体と箱型のIFF装置、ミサイル本体から構成されている。ミサイル本体は円形の使い捨ての樹脂製コンテナーに収められており、このため発射準備は迅速かつ容易におこなうことが出来る。発射時には目視で目標を確認(レーダーなどがない場合)し、その後本体のスイッチを入れ、目標を捕捉する。発射引き金を引くと、シーカーが冷却され、ミサイル後部のブースターによりコンテナーから打ち出され、本体から9~10m離れたところでロケットモーターが点火、超音速まで加速する。
また発射後の操作は不要で、再装填はミサイルのコンテナーの交換とBCUと呼ばれるシーカー冷却用のガスとバッテリーのユニットを交換するだけで完了する。
[編集] 誘導方式
誘導には開発当初、赤外線/パッシブ・レーダーの複合モードシーカーが開発されたが、実際には既存のパッシブ式赤外線・紫外線シーカーが用いられている。また、このシーカーは赤外線画像をデジタル画像として処理するため、フレアなどに対しての耐性が極めて高い。誘導は全部の4枚のフィンのうち2枚が作動することによって行われ、これらのフィンは後方の4枚とあわせて発射後展張する。
[編集] 運用について
現在、実用化されているミサイルの中では最も命中率が良い(2003年現在)ミサイルとされ、ギネスブックにも掲載されている。欠点としては目標を目視で発見しなければいけない点やバッテリーの持続時間などが挙げられる。
採用国はアメリカ合衆国、日本などである。またソビエト連邦のアフガニスタン侵攻ではソ連に敵対するムジャーヒディーンに対して非公式であるが供与され、一躍その性能を世間に顕したが、皮肉にも米軍によるアフガンのアルカイダ掃討作戦の際にはこれの存在(実際はほとんど残っていなかったようである)が脅威となってしまった。
[編集] 派生型
- FIM-92A:初期型。1978年配備開始。
- FIM-92B:シーカーを改良。
- FIM-92C:電子装置の更新。プログラムの再書き込みが可能になる。
- FIM-92D:C型の改良。
- FIM-92E:シーカーの改良など。
- FIM-92F:開発中。レーザー測距儀など、射手向けの照準システムの大幅な改良。
スティンガーは肩撃ち式のほか、次のようなものがある。
[編集] 車載型
[編集] 航空機搭載型
- スティンガーATAS(Air to Air Stinger)
- ヘリコプターに搭載する近距離自衛用空対空ミサイルとして開発されたもので、基本的には同じ構造であるが、コックピットからの遠隔発射に伴うプログラムの書き換えの都合上、再プログラム可能なマイクロプロセッサーを内蔵したFIM-92Cか、その改良型のFIM-92D BlockIが使用されている。
- スティンガーの弱点であるバッテリーの持続時間、目標捕捉などを克服したため非常に有能な兵器である。
[編集] 諸元
すべて地対空型スティンガーのもの
- 用途:近距離低空地対空野戦防空
- 開発・製造:
- システム本体:ヒューズ・ミサイル・システム
- ミサイル:ジェネラル・ダイナミクス / レイセオン
- ミサイル全長: 1.5 m (5 ft)
- ミサイル翼幅: 9.14 cm (3.6 in)
- ミサイル直径: 7.0 cm (2.75 in)
- ミサイル重量: 5.68 kg (12.5 lbs)
- システム全体重量: 15.66 kg (34.5 lbs)(ミサイル含む)
- システム全幅: 13.96 cm (5.5 in)
- 有効最大射程: 1~8 km (0.5~4.5 nm)
- 有効最大高度: 3,000 m (10,000 ft)
- 最高速度:超音速
- 最大捕捉可能距離: 15 km (10 miles)
- 誘導方式:パッシブ式赤外線アクティブシーカー・紫外線シーカー
- 必要人員:2名
- 信管:貫通衝撃信管
- 価格:38,000 USドル/1ユニット
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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