ソプラニーノクラリネット
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ソプラニーノクラリネット (Sopranino Clarinet) は、標準型のクラリネットであるソプラノクラリネットのおおむね4分の3の大きさを持つクラリネット属の楽器である。次にあげる語の訳語として小クラリネットとも呼ばれる。
- 英語:Small Clarinet
- フランス語:Petite Clarinette
- ドイツ語:Kleine Klarinette
- イタリア語:Clarinetto piccolo
この楽器には4つの大きさがあり、大きさによって出る音が異なる。いずれも移調楽器として扱われる。もっとも使われるのは変ロ (B♭) 調のソプラノクラリネットの4分の3の大きさを持ち、同じ指使いで完全4度高い音の出る変ホ (E♭) 調の楽器である。また、まれにそれより半音低いニ (D) 調の楽器が用いられる。この2種の楽器はソプラノクラリネットにおける変ロ (B♭) 調の楽器とイ (A) 調の楽器と同じ関係であるが、イ (A) 調の楽器が少なくとも伝統的には変ロ (B♭) 調の楽器と同等かそれ以上に扱われるのに対し、ニ (D) 調の楽器はほとんど使われない。残りの2つはより小さく高い音の出るヘ (F) 調と変イ (A♭) 調であるが、これらも吹奏楽で地域により使用する楽団があるという程度である。変ホ (E♭) 調の楽器では出る音(実音)は楽譜上の音(記音)より短3度高い。ニ (D) 調は長2度、ヘ (F) 調は完全4度、変イ (A♭) 調は短6度それぞれ高い音が出る。なお、変ホ (E♭) 調の楽器はイタリア語でQuartinoとも呼ぶ。
変ホ (E♭) 調の楽器とニ (D) 調の楽器については、楽譜ではSopranino、Smallなどの語を省略するのが普通である。これはE♭、Dといった調を書き添えれば、ソプラニーノであることが自明だからである(同じE♭調でもたとえばアルトクラリネットは楽譜にアルトであることを明示する)。
これらの表記は英語ではClarinet in E♭、ドイツ語ではKlarinette in Esとなるが、どちらの語でも音名を前に付けてE♭ Clarinet、Es Klarinetteとも呼ばれる。日本でも変ホ (E♭) 調の楽器をエス・クラリネット、略して「エスクラ」と呼ぶことが多いが、これはこの2つの言い方を混ぜ合わせたものであろう。
音色はクラリネットというよりはオーボエやソプラノサクソフォンにも似た明るく鋭い音である。
オーケストラでは、多く大編成の楽曲で用いられ、クラリネットの奏者が持ち替えで演奏することが多い。
一方、吹奏楽やマーチングバンド、ウィンドアンサンブル、クラリネットアンサンブルでは、必ず用いられると言うほどではないが、大多数の楽譜でこの楽器が用いられる。吹奏楽にあっては、複数の奏者がパートごとに分かれて演奏する(ソプラノクラリネット)に対し、ひとりがこの楽器を受け持つのが一般的である。
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[編集] 使用楽曲
[編集] 変ホ (E♭) 調
- エクトル・ベルリオーズ:幻想交響曲
- モーリス・ラヴェル:『ボレロ』
- このほか、変ホ (E♭) 調の楽器のための協奏曲がある
[編集] ニ (D) 調
- リヒャルト・ワーグナー:ワルキューレ
- フランツ・リスト:マゼッパ
- リヒャルト・シュトラウス:家庭交響曲
- リヒャルト・シュトラウス:ティルオイレンシュピーゲルの愉快ないたずら