チャペル
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チャペル (Chapel) は、私邸、ホテル、学校、兵舎、客船、空港、病院などに設けられる、教会の所有ではない礼拝堂。日本語の慣行としてはもっぱらプロテスタントによって用いられる。
チャペルは自教会を離れて滞在する寄留者のための礼拝施設(=ハコモノ)であり、教会(=会員制組織)ではない。日本では、ミッションスクールの学生礼拝施設として、或いはホテル併設の結婚式用会堂として建てられる例が多い。
チャペル専属の教職者をチャプレンという。チャペルは教会ではないので、プロテスタントのチャプレンは、その資格があっても職務は牧師ではない。米軍基地のチャペルのような、複数の教派の教職者が常駐するチャペルもある。
チャペルは教会ではないので、教会の機能全てを満たさない。具体的には、チャペルは結婚式、葬儀、ミサや礼拝を行い聖餐も執行されることがあるが、普通は洗礼が行われず、属する教会員を持たない。学校の内部にある会堂を用いて、教会員を持つ完全な教会とすることもあるが、その場合、その建物はチャペルではなく教会堂、専属教師はチャプレンではなく牧師である。
近年、命名者の浅学により、教会の名称として「~チャペル」を名乗る例が現れはじめ、語法混乱の兆しはあるものの、識者には明らかな誤謬と見なされており、用語「チャペル」の語意が変化するまでには未だ至っていない。
[編集] 教会風結婚式場
キリスト教の信徒ではない者が気軽に「キリスト教式の結婚式の雰囲気」で結婚する為の施設として、キリスト教の聖堂に似せた建造物が建設されることがある。これらの建造物を指し示す名詞はまだ定まっていない。
こうした施設の多くは「チャペル」を名乗っているが、中には司教座聖堂を意味する「大聖堂」を僭称するものも存在する(「セントグレース大聖堂」)。なお、これらの施設は日本国に限らずグアムやハワイにも多数建設されているが、当然のことながらいずれも宗教法人ではなく、信徒も存在しない。聖職者も居ないことが多いが、多くの場合「ブライダル宣教団」などの伝道団体による派遣や、地域の教会の牧師がアルバイトとして招かれることが多く、場合によっては金髪の若い白人男性が「牧師」として雇われていることもあると言われる。
こうした施設を運営する業者は、自社の施設を「ブライダル・ゲストハウス」などと呼んでいる。いかがわしさを緩和するための名詞として「ウェディング・チャペル」という言葉も提案されている。