ティトゥス・リウィウス
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ティトゥス・リウィウス(Titus Livius 紀元前59年頃 - 17年)は、共和政末期、帝政初期の古代ローマの歴史家。単にリウィウスと呼ばれることが多い。北イタリアのパドヴァ生まれ。アウグストゥスの庇護の下に著した『ローマ建国史』は文学的にも評価が高い。
リウィウスの記した『ローマ建国史』はローマの通史でありその資料的価値は高い。しかしながら、その記述には共和政の支持者であり、愛国的ローマ人であったリウィウスの影響を受け史実に忠実とはいえない部分も含まれている。また歴史記述でありながらリウィウスの文学的評価は高いが、文学的表現のため歴史への忠実性を犠牲にしている部分もあるといわれている。このようにリウィウスの資料としての取り扱いには一定の注意が必要とされるものの、リウィウス以外が資料として現存しない部分もあり、古代ローマの政務官職の仕組みなどを現在に伝えている。
『ローマ建国史』に取材した作品にはシェイクスピアの史劇『コリオレイナス』『ジュリアス・シーザー』などがある。
[編集] 参考文献
ピエール・グリマル『アウグストゥスの世紀』北野徹訳、白水社<文庫クセジュ>、2004年、170頁。