ノビル
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ノビル(野蒜)とはユリ科ネギ属の多年草。学名 :Allium grayi。
地下に球根を持ち、地上に細い葉を伸ばす。葉は線形で20-30cmのものを数本出すが、あまり目立たず、花茎が伸びてきてはじめて気がつくことが多い。まっすぐ立ち上がる花茎は60cmに達し、先端に一個だけ花序をつける。花序は散形花序であるが、その花の一部、あるいは全部が小さな球根のような珠芽(むかご)になってしまう例が多い。
花は長さ数mmの楕円形の花弁が六枚、小さいチューリップのように集まったもので、白または薄紫を帯びる。花柄はやや長い。珠芽は紫褐色で固く、たくさん集まると表面に突起の出たボールのようになる。この状態で花茎の途中から折り取り、これで人の頭を殴ると実にいい音がして、結構痛いがまず怪我はしない。
春になると地下に小指の先ほどの大きさの鱗茎ができ、これは食用となる。むかごが散布されることでも繁殖する。
東アジアに広く分布し、日本では北海道から琉球まで分布する。畦道や堤防上など、丈の低い草が生えているところによく自生する。主として人里に分布し、畑地周辺や土手で見かけることが多い。一説によれば、古い時代に作物と共に入ってきた、いわゆる史前帰化植物ではないかとも言われるが、はっきりしたことはわからない。
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