ネギ属
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![]() Allium ursinum |
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ネギ属(ねぎぞく、学名:Allium )は従来ユリ科に分類されてきた植物群である(分類についての詳細は後述)。多くは多年生の球根植物で北半球の温暖な地域に分布するが、南米(チリのA. juncifolium、ブラジルのA. sellovianum など)や熱帯アフリカ(A. spathaceum )に自生する例外もある。Alliumは元来ラテン語の「ニンニク」であり、臭いの程度に差はあるものの全体に強い「ネギ臭さ」を特徴とする。ネギやタマネギのような野菜、ニンニクのような香辛料が多数あり、人類にとってなじみが深い。
目次 |
[編集] ネギ属の分類
中央アジアを中心に、世界に約300種がある。 APG植物分類体系より前の体系では、ネギ属はユリ目ユリ科(新エングラー体系のLiliiflorae Liliaceae、クロンキスト体系のLiliales Liliaceae)に分類されてきた。しかしAPGではネギ属は、単子葉植物(MONOCOTS)の中でユリ目の次に分枝したアスパラガス目(Asparagales、クサスギカズラ目とも訳される)のネギ科(Alliaceae)ネギ属(Allium )とされる。アスパラガス目内の分類は2003年に発表された改訂版、APG IIで大きな変更があったが、ネギ属の位置づけについてはほぼ確定的である。ネギ属の種については[[1]]に一覧がある。
[編集] 形態と繁殖
ネギ属は草丈5cmから150cmにおよぶものまでさまざまであるが、葉が細長くまた花が葉のない花茎の先端に散形花序をなして傘状もしくは球状に密集する点で共通している。花期は通常、初夏から秋である。球根の大きさも種類によって異なり、直径2-3mmの大変小さなものから直径8-10cmになるものまである。ネギ(A. fistulosum )のように球根を形成せず、葉の基部を肥大化させる種類もある。いずれも種子で繁殖する。
球根性のネギ属の多くは種子で増えるほか、古い球根の周りに小さな球根をつけるか側枝を延ばして子株を作る。中には花序に直接小さな鱗片(珠芽=むかご、英語ではbulb=球根に対してbulblis=小さな球根)をつけて発芽するものもある。ノビルや、ピクルスに使われるツリーオニオン(A. cepa var. proliferum )がこれにあたり、花序が重みで倒れるなどして球根がばらまかれ増殖する。
[編集] 栽培品種
大きく分けて食用に栽培されるものと園芸品種がある。ともに、ヨトウガ(M. brassicae )をはじめとする ヤガ科(Noctuidae、夜蛾)の幼虫の食害が知られている。ニラの花は愛らしいが、種を飛ばしてはびこると庭中がニラくさくなりやっかいな雑草となりうる。
[編集] 食用品種
代表的な栽培種に以下のようなものがある。
- タマネギ A. cepa L.
- ネギ A. fustulosum L.
- ワケギ var. caespitosum Makino
- リーキ A. porrum L.
- ニンニク A. sativum L.
- ラッキョウ A. chinensis G. Don
食用にする部位によって分類すると次のようになる。
- 地中にできる球根(鱗茎)を食用にするもの:タマネギ、エシャロット、ニンニク、ラッキョウなど
- 花序にできた鱗片を食用にするもの:ツリーオニオン、ニンニク
- ニンニクも本来は花序に鱗片をつける種であったが、花を摘むなどして球根だけ大量栽培されている。
- 筒状の葉を食用にするもの:アサツキ、青ネギ(葉ネギ)、ワケギ、チャイブなど
- かつて日本で栽培されていたヤグラネギ(Allium fistulosum var. viviparum )は花序に鱗片をつけて増えるが、種としてはネギの仲間である。現在ではほとんど栽培されていない。
- 肥大化した茎を食用にするもの:白ネギ、リーキなど
またこのほかにノビル、ギョウジャニンニクは山野に自生するものを採取し食用とする。
[編集] 園芸品種
ギガンチウム(A. giganteum )、クリストフィ(A. cristophii )などの大型の品種は立体的な花壇を設計するのに重要である。豪華な紫色の花を咲かせる交配種がいくつか作出されているが、中でも「パープルセンセーション(A. hollandicum )」は人気があり、英国王立園芸協会(RHS)よりAward of Garden Meritを授与された。
また、チャイブも花壇によく植えられる。薄紫色の花が普通だが白花種もある。
日本ではアリウムといえば、ネギ属の大型園芸品種を指す。長く切花として流通していたが、近年では園芸愛好家の間で栽培が増えており、ネット販売などで球根が手に入る。栽培には水はけのよい土壌が適している。
[編集] 自生種
日本に自生しているものには以下のようなものがある。ただし、ノビルとニラについては、自生状態で見られるものの、古い時代に渡来したものとの見方もある。
- ギョウジャニンニク A. victorialis L. subsp. plafyphyllum Hulten
- ヒメニラ A. monanthum Maxim.
- ニラ A. tuberosum Rottl.
- カンケイニラ A. togashii Hara
- イトラッキョウ A. virgunculae F. Maek. et Kitam.
- キイイトラッキョウ var. kiiense Murata
- ミヤマラッキョウ A. splendens Willden.
- ノビル A. gayi Regel
- ヤマラッキョウ A. thunbergii G. Don
- アサツキ A. schoenoprasum L. var. folisum Regel
- エゾネギ var. schoenoprasum
- ヒメエゾネギ var. yezomonticola Hara
- シブツアサツキ var. shibutuense Kitam.
- シロウマアサツキ var. orientale Regel
- イズアサツキ var. idzuense (Hara) Hara