バブル経済
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バブル経済(バブルけいざい、bubble economy)とは不動産や株式をはじめとした資産の価格が、投機によって説明可能な価格以上に上昇し、その上昇が魅力となってさらなる投機を呼ぶという循環が起こっている状態の経済のこと。語源は18世紀イギリスでの南海泡沫事件から。
[編集] 概要
バブル経済は、実体経済の経済成長以上に資産価格が上昇した状態であり、本来は維持できるものではない。呼び込まれた投機によって支えられた経済活動であると言える。
通常、バブル経済においては、資産価格の上昇を背景にして、活発な投資・消費が行われ実体経済も活性化する。しかし、この活性化は資産価格上昇を合理化するほどの水準にはならない。
実体経済の成長で維持できない資産価格であるからして、「中身がない」資産上昇分はいずれ実体経済との齟齬を解消しなければならない。多くの場合、それまで投機を支えていた何らかの期待・神話の崩壊、政策対応(金利引き上げ)による合理的資産価格の低下などを引き金にして、投機集中が終息し資産価格が下落することで解消される。
もともと価格上昇を前提に形成された資産価格であるため、価格下落が始まると急速にバブル経済は収縮する。これが、バブルの崩壊である。バブル経済が実体経済へ好影響を与えていたのと同じく、バブル崩壊は実体経済に大きな打撃を与えることになる。米国発の世界恐慌や、1990年代日本の失われた10年などはその典型である。
バブル経済は、経済だけの影響にとどまらず、その進歩的かつ期待先行の時代状況は文化的側面にも大きな影響を与える。
[編集] 歴史
日本では1980年代後半からのバブル景気が代表的であるが、世界的には金融資産が増えた近代から頻繁に見られている現象である。
- 1637年 対象資産:球根 オランダでのチューリップ・バブル。
- 1719年 対象資産:株式 フランスでのミシシッピ計画。
- 1720年 対象資産:株式 イギリスでの南海会社バブル事件(南海泡沫事件)。「バブル」の語源となった。
- 1920年代後半 対象資産:株式 アメリカで、第一次世界大戦のためヨーロッパから流入した資金により株投資ブームとなる。暗黒の木曜日の株価大暴落でバブルは崩壊し、世界恐慌の引き金となった。
- 1980年代後半 対象資産:株式・土地 日本の株と土地の異常な上昇(バブル景気を参照)。
- 1994年まで メキシコをはじめとする中南米バブル
- 1997年まで 東南アジアバブル。アジア通貨危機で崩壊。
- 1999年 - 2000年 対象資産:株式 アメリカのインターネット・バブル
- 2003年 - 対象資産:不動産 アメリカをはじめ世界中の住宅・不動産バブル
- 2000年代 中国の過熱した住宅建設、株式バブル
20世紀のバブル崩壊は主に、中央銀行による金利引き上げがきっかけとなっている。
また、1971年のニクソンショック以後に発生したユーロダラーと呼ばれる過剰流動性(マネー)が世界各地を移動してバブルを引き起こしており、発生と崩壊の頻度が高まっている。
[編集] 関連用語
- 株主資本利益率(自己資本利益率、ROE)
- 仕手
- 桃太郎電鉄
- ゲームを盛り上げる要素の一つとして取り入れられている。本項目の説明のような複雑な概念ではなく、収入が促進され支出が抑制されると言った単純なものである。