バンジョー
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バンジョーは、アフリカで生まれ、アメリカで完成された撥弦楽器。 (ちなみにシルクロードを東方へ伝わり、日本で完成されたものが三味線といわれる)
原始バンジョーは、ゴード・バンジョー(gourd banjo)と呼ばれる("gourd"は、"ひょうたん"の意)。原始バンジョーはネックの部分が竹製である。語源学者によれば、セネガル・ガンビア地方で竹のスティックを表す言葉"bandore"が"bambo"の語源である。
現代のバンジョーは、アメリカで完成され、様々な形態に分化しているが、ディキシーランド・ジャズによく使われる4弦バンジョー(プレクトラムとテナー・バンジョー)とブルーグラスやオールドタイムで使われる5弦バンジョーが主流である。(バンジョーウクレレ、バンジョーベース、ギターのように弾けるようにした6弦バンジョーもある。)
バンジョーの演奏スタイルには非常に多くの種類があるが、サスティーンのない楽器であるバンジョーの欠点?を補う奏法で、右手の早い動きでピックで弦をかき鳴らしたり、アルペジオのようにつまびらかに弾いたりする点がバンジョーのほとんどの演奏スタイルの特徴である。
バンジョーは、木製あるいは金属製のリム(rim)、リムからそそり立つネック(neck)、リムからネックと反対の方向へ突き出しているテイルピース(tailpiece)、4本か5本の弦、そしてブリッジ(bridge)と、5つの部分から成り立っている。 リムには、ドラムヘッド(drumhead)(プラスティックあるいは子牛か山羊の皮)が付けられており、テンションフープがそれを引っ張って縦横に伸ばしている。
バンジョー製作に使われる木材は様々であるが、指板(fingerboards)にはエボニー、ローズウッド、ネックはメイプル(maple)、ウォールナット、マホガニー、まれにローズウッド。ブリッジはメイプルベースでトップにはエボニーという組み合わせであることが多い。
5弦バンジョーにおいては通常、5弦のペグはネックの横に付いている。しかし、あるイギリスのバージョン(the Zither banjo)では、5弦の弦調節器をヘッドの上に置き、弦を5フレット近くからネックの中の管に通している。
初期のバンジョーには、その起源のアフリカやアジアの楽器と同様にフレットがなかったが、今日では、多くのバンジョーにはフレットが付いている。
バンジョーの弦はほとんど金属製の弦が使われていることが多いが、古典的な演奏の場合など、ナイロンやガット(gut)の弦が使われる場合もある。
最も一般的に使われている現代のバンジョーには2タイプがある。一つは、リゾネイター・バンジョー(resonator banjo)であり、もう一つはオープン・バック・バンジョー(open back banjo)である。 resonator banjoは、取り外し可能な共鳴箱(chamber)つまり共鳴装置をリムの裏に持っているタイプのものである。 open back banjoは、共鳴装置をもっていないタイプのものである。
ソリッド・ボディのエレクトリック・バンジョーも存在する。Deeringによって制作されたクロスファイアー(the Crossfire)などは、その一例であり、これは磁力の強力なピックアップをドラムヘッドの下に2つもっている。金属片をブリッジの下置くことによってピックアップは確実に弦とヘッド両方のからサウンドを集め、バンジョーらしい音を再現している。
ブルーグラス・バンジョーの奏法はアール・スクラッグスによるところが大きい。ビル・モンローのブルーグラスボーイズに21歳で参加したアール・スクラッグスは右手の親指・人差し指・中指に金属製のピックをはめ、非常に速くこの3本の指で弦をはじきながら、メロディを奏でた。その奏法は多くのリスナーに感銘を与え、ブルーグラスが大衆に広く伝わることに貢献すると共に、たくさんのスクラッグス奏法のフォロワーを生み出した。彼の作曲したFoggy Mountain Breakdownはバンジョーの代表曲として世界中のブルーグラス・バンジョー・プレイヤーが演奏を楽しんでいる。