ヒューマンエラー
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ヒューマンエラー (Human error) とは、人為的ミスのこと。日本国内においてこの語がマスコミで大々的に使われるようになったのは、2001年1月31日に発生した日本航空機ニアミス事故がきっかけであった(言葉そのものはそれ以前もあったが、一般的ではなかった)。
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[編集] 業務によっては、より厳しいチェック体制を設けている場合がある。
そもそも、人間の注意力には限界があり、どんなに注意深い慎重な人であっても、疲労や錯覚などでヒューマンエラーを起こす場合がある。
絶対にミスが許されない重要な業務については、1人の人間に任せるのではなく、必ず、2人以上の人間を配置し、二次チェックあるいは三次チェックといった厳重なチェック体制を設けている場合がある。
[編集] 過去にあったヒューマンエラーの例
[編集] 日本航空機ニアミス事故
当事故は、航空局の管制官が2機の航空機を同時に管制しようとした際、誤って互いの便名を逆に読み上げたことから混乱が発生した。安全距離が保たれるべき2機の当該機が約10メートルの距離まで異常接近し、あわや衝突という事態に陥ったものである。
この事故を起こした管制官は、レーダー画面上に表示された「907」および「958」という便番号をずっと目で追っていたにも関わらず、ある瞬間、突然この2つの番号を逆に読み始め、事故が起こるまでの数分間、言い間違いにまったく気づかなかった。
当該機のコンピューターは、他機の異常接近を知らせる警報装置が正常に働いていたが、当時の航空運用マニュアルは「コンピューターと人間の指示に矛盾がある場合、後者に従う」と規定されていたこともあり、機長はそのマニュアルに正しく従うことで、結果として航空機を危険な状態へと導いてしまった。
[編集] 原因
事故の原因は、管制職という仕事がただでさえ激務であるのに加え、その日はたまたまOJT中の職員を従えていたことから疲労が蓄積したためとされた。そしてそれは、安全運行上許されないものであるにも関わらず、ある程度以上の社会経験を積んでいれば誰もが経験する、あまりにも人間臭いミスであったため、のちに「事故の原因はヒューマンエラーであった」との説明が補足されるようになった。
この事件は、「コンピューターは日常的に故障するものであり、人間の判断こそが正しい」という社会通念がもはや過去のものであることを明示した。その後、各航空会社は、運用マニュアルを「コンピューターと人間の指示に矛盾がある場合、前者に従う」と書き換えた。
[編集] JR九州管内での信号無視
2007年(平成19年)3月26日(月)にJR九州指宿枕崎線の下り普通列車2両編成ワンマン車枕崎行き(「鹿児島中央」駅16:55発~「枕崎」駅19:26着)において起こった。 18時52分頃、指宿枕崎線の 「西頴娃」(にしえい)駅構内で下り普通列車が停止信号であるにもかかわらず、運転士のミスでそのまま進入してしまった。幸い、ATS(自動列車停止装置)が作動し、列車が緊急停止したが、もし、ATSが設置されていなければ大事故に至る恐れがあったという。