ピュリスム
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ピュリスム(ピューリズム。Purisme、Purism。純粋主義)とは、ジャンヌレとオザンファンが、フランスで、その著作『キュビスム以降』(Après le Cubisme, 1918年)およびその雑誌「レスプリ・ヌーヴォー(エスプリ・ヌーヴォー。新しい精神)」(L'Esprit Nouveau, 1920年から1925年にかけて28冊を刊行)において主張した、絵画の形式。
これに属するのは、その主張をした、次の2名のみである。
- アメデエ・オザンファン(Amédée Ozenfant; 1886年-1966年)
- シャルル=エデュアール・ジャンヌレ(Charles-Édouard Jeanneret (のちの、ル・コルビュジエ; Le Corbusier); 1887年-1965年)
ピュトー・グループやオルフィスムにより、ピカソとブラックのキュビスム作品が持っていた、厳格さ、規律、秩序といったものが失われ、理論があいまいなまま、装飾性に堕落したと主張し、それらを回復するべく、明快さ、正確さ、客観性、調和、機能美等を強調する考え方である。
一方、その実作品は、静物を、水平線・垂直線や明確な輪郭線を重視した、より幾何学的な形態で描写しようとするもので、機械的なものにも親近性がある。ただ、それ以上でも、それ以下でもなく、静止・静寂を表現しており、また、作品傾向としても静止しており、それ以上に発展する気配がない。したがって、抽象絵画に向かうことも想定していなかったと考えられる。
このような作品は、1つの完成した姿を持っているものの、多様性も発展性もなく、面白みに欠けるという批判が強い。ただ、ピュリスムの考え方は、デ・ステイルや抽象絵画へも影響を与えている。