ファルコ (北斗の拳)
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ファルコは、漫画『北斗の拳』の登場人物。アニメでの声優は田中秀幸。
[編集] 人物
北斗南斗の両者を統べ、天帝に仕える「元斗皇拳」最強の使い手にして伝承者。金色の光輝を纏う帝都の若き猛将軍。別名:金色のファルコ。
かつて、拳王(ラオウ)が軍を率いて、元斗の村へ侵攻した際、ラオウとの相打ちを予見し、ラオウの死によって統制を失う拳王軍によってもたらされる最悪の事態を避けるべく、みずから右足を切断して差し出し、拳王軍を転進させ、ラオウより「その片足は一国に値する」と評させた男(その日以来、切断した右足には義足が取り付けられている)。
ラオウは転進する前に、邪心に満ちた目を持つジャコウを発見、彼がファルコにとって将来最大の災いとなることを見抜き、直ちに殺すよう進言するが、当時の甘かったファルコでは屠ることができなかった(こうしてファルコも、北斗ワールドで過去の行動が裏目にでた人物の仲間入りに)。
ケンシロウが覇王ラオウを倒し、確かに乱世は一時(ひととき)の平定を見た。しかしそれも長くは続かず、やがて平安は貧富の階層差を生み、世が再び混迷の時代を迎えると、富と権力を得た中央帝都の圧政が始まった。ラオウの眼力の通り、ジャコウが天帝・ルイを幽閉し、総督として帝都の実権を握ったためである。ファルコは人質に取られた天帝の命を護る上、やむなくジャコウの命のまま、帝都に反旗を翻す北斗の軍と交戦することに。ついにはケンシロウとの決戦を迎えるが、光輝と高熱、或いは冷気を発し細胞を滅殺する元斗皇拳の技と奥義を駆使してケンシロウと激闘を繰り広げた。戦いのさなか、胸の中央部の秘孔「戈穴」を突かれたが、そこは元斗皇拳二千年、北斗封じの奥義は伝授されており、秘孔の周り細胞を焼き尽くし、死滅させる方法でその効力を防いでみせた。
アインらの活躍によって天帝が救出されるとケンシロウと共闘し、元凶であるジャコウを倒すが、生き残った息子のジャスク(アニメ版での緑光のタイガ)は、天帝・ルイの双子の妹であるリンを連れ去り、ファルコをさらなる過酷な戦いに巻き込むかのように、ただ一つ残った海を渡り修羅の国へ逃亡する。ファルコは天帝を護る元斗の拳士の務めが故、“もう一人の天帝”であるリンを追って、ケンシロウとの闘いで負った深い傷が癒えぬ中、単身、修羅の国へ。しかし、闘気を刃とする元斗皇拳にとって深手の状況とは、力の源である体内の闘気が弱っていることを意味しており、半ば死を覚悟した渡航だった。
果たして修羅の国に上陸後は、無名修羅との闘いで義足をもぎ取られ瀕死の状態に。後からやってきたケンシロウに一瞬のみ生を得る「刹活孔」を突いてもらって再戦し、誇りある勝利を得るも、もはやファルコの命の灯火は消えようとしていた。それでもリンを救えなかった事を心に懸けるが、ミュウから届けられた『元斗の伝書鳩』の手紙を読み、彼女の胎内にて自身の子が宿っている事を知り、ケンシロウに看取られながら静かに逝った。
モデルは『ロッキー4/炎の友情』のドラゴ役で有名になったドルフ・ラングレンと思われる。
なお、GIカットのように側面を刈りあげつつ上はやや若干長めに残し、上面を平らに切り揃えるという独特の角刈り、それに金髪という、この独特の風貌は、観る者に強い印象を与えた。ツッパリブームでもあった当時、このヘアスタイルはリーゼント、パーマに次いでツッパリ少年に人気があった。
名前の「ファルコ」は、大日本帝国陸軍航空隊の先鋒として、南方侵攻作戦で活躍した旧日本陸軍一式戦闘機「隼(はやぶさ)」(=ファルコン)に由来する。
彼ら元斗の拳士が仕える「天帝」とは一般的には道教の言葉であるが、この作品中では「帝都東京」に住む「天皇」のもじりになっている。同様に、「元斗皇拳」の「皇拳」は「皇軍」のもじり。