フォグランプ
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フォグランプ (Fog lamp)とは、ヘッドライトとは別に黄色い光を発生する補助ライトで、主にフロントバンパーの左右両脇などに取り付けられる。フォグライトあるいは霧灯ともいう。
通常、このライトはその名の通り霧(フォグ)が出た時や悪天候時に点灯させるもので、白色のヘッドライトよりも視界を確保しやすく、対向車にも自車の存在を知らせることが出来る。
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[編集] 概要
フォグランプは保安基準上の設置義務がないため、車種やグレードによって装備されている車両と、装備されていない車両がある。多くのRVやSUVでは装備されている。また、同じ車種でも、グレードによってライトの形や光源に使用されている素材が違ったりすることもあり、機能よりも外観上の一つのデザインとして装備されることもある。1980年代には、フォグランプをヘッドライトの内側に組み込んだデザインが高級車を中心に流行した。
最近では白色のフォグランプも登場しているが、これは天候に関わらず、主にヘッドランプの配光ムラを緩和し車両近くを明るくして見やすくするためのものである。ヘッドランプの位置が高く、車両近くに照明があまり当たらない車種では安全確保の上で有効である。しかしながら、濃霧時の視界確保の効果はあまり期待できない。また、昨今の規制緩和により非常に明るいHID式のフォグランプも登場してきており、濃霧・悪天候時に使うランプというよりは、前方路面をより明るく照らし出すランプと、その意味合いも変わりつつある。
[編集] リアフォグランプ
濃霧時に後続車への注意を促す目的で設置される、赤色のリアフォグランプがあり、通常のテールランプよりも非常に明るく点灯する。霧の出ない平野部では点灯させることはないが、豪雨や高地における濃霧発生時に点灯させるのは追突防止に大きく寄与している。濃霧が頻繁に発生するヨーロッパでは1975年からヨーロッパ車には装着が義務化されていたが、日本では当初許可されておらず、日本の輸入障壁との批判を受けて規制撤廃された。日本車で初めてリアフォグランプがオプション設定されたのは1989年に日産自動車から発売された180SXとされ、これ以降日本車でもオプション設定や寒冷地仕様車でリアフォグランプが装着できるようになっていった。(現在では一部車種に標準装備)
[編集] 保安基準
フォグランプは保安基準上では前部霧灯と呼ばれ規制を受ける(過去には補助前照灯と呼ばれていた)。政府の規制緩和方針により法令改正され、2005年11月22日以降生産される車より、新しい規定が適用される。概略次のとおり。
- 射光線は他の交通を妨げないものであること
- 灯光の色は白色または淡黄色であり、その全てが同一であること
- 照明部の上縁の高さが地上0.8m以下であって、すれ違い用前照灯の照明部の上縁を含む水平面以下、下縁の高さが地上0.25m以上となるように取り付けられていること
- 照明部の最外縁は、自動車の最外側から400mm以内となるように取り付けられていること
- 主光軸が前方40m以上照射するものは、前照灯を減光、又は下向きに変換した場合点灯しないこと
- 左右同数であり、車両中心面に対して対称の位置に取り付けられたものであること
なお、2005年11月22日以前に生産された車では「光束は1万cd以下であること」の規制があったが、現在ではさらに明るいランプを搭載することが可能になっている。
[編集] 正しい使用方法
路面照明が行き届いた市街地で、晴れの夜間、霧でもないのにフォグランプを点灯させている車がいるが、これはフォグランプが標準装備されてなかった1980年代初頭に、いわゆる走り屋達が社外品のフォグランプを装着し、威圧感を出すために霧でもない夜間に点灯していたのが起源とされ、これが一般ドライバーにも広まったものと思われる。 また、一部の車種ではフォグランプのON/OFFスイッチが非常にわかりづらい位置にあり、スイッチの存在自体を知らないドライバーが無意識に点灯しっぱなし状態であることもある。 いずれにせよ、フォグランプはその設計上、晴天時に使用すると対向車や先行車の運転者を眩惑する可能性があるのはいうまでもない。
なおこれは、リアフォグランプに対しても同様のことが言える。非常に明るいリアフォグを悪天候以外の状況や市街地で点灯させたまま走行した場合、後続の車両がブレーキランプを認識しづらくなって追突されたり、誤認や眩しさが原因による事故の誘発が危惧される。すなわち、ヘッドランプを点灯させた状態で、フォグランプはフロント・リア共に霧や豪雨のときのみ点灯させるのが正しい使い方である。
※特に高齢者の眼は眩しさに弱く認識能力が極端に低下してしまうため注意が必要である。