フランク・ドビアス
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Frank Dobias(ふらんく どびあす、1902年 - 没年不詳 )は、オーストリア出身の画家・イラストレーター。祖父は建築家、父や叔父も副業で絵を描いていたという。ウィーンのKunstgewerbe SchuleとKunst Akademieでデザインや舞台芸術を学んだ後、1924年頃にアメリカ合衆国に移住し、アメリカ国籍を取得している。
岩波書店刊の絵本『ちびくろ・さんぼ』(1953年初版)の挿絵画家として知られる。ただし、これらの挿絵は、ニューヨークのマクミラン社(Macmillan)から1927年にThe Happy Hour Booksシリーズの中の1冊として刊行されたものに使われたものを、翻訳者の光吉夏弥がレイアウトなどを改変して用いたものである。
大ヒットとなったこの絵本により、日本では著名であるが、世界的にはあまり知られておらず、そのため没年も不詳である。
作品のほとんどは1940年代までに発表されており、岩波版『ちびくろ・さんぼ』が出版された1953年には故人であった可能性が高い。その傍証として、同絵本には、第2話として「さんぼとふたごたち(Sambo and the Twins)」が収録されているが、その挿絵には日本の漫画家岡部冬彦がドビアスの画風をそっくりマネて描いたものが使われているという事実がある。1953年当時は国際的な著作権に対する意識が薄かった時代とはいえ、こうした盗作まがいの作品をドビアスが見逃していたのも、すでに故人となっていたからであろう。
[編集] 作品リスト
- 『ちびくろ・さんぼ』(岩波書店, 1953年)
- 『ちびくろ・さんぼ』(瑞雲舎, 2005年)
- Bannerman, Helen. Little Black Sambo. The Happy Hour Books. Macmillan, 1927.
(アメリカン・アーティスト・ブルーブック社の AskART のページに表紙の画像が掲載されている。)
- Siebe, Josephine. Kasperle’s Adventures. Translated by Florence Geiser. Macmillan, 1929.
- Morris, William. Sons of the Volsungs. Adapted by Dorothy Hosford from Sigurd the Volsung by William Morris. Macmillan, 1932.
- Junior Bible. Macmillan 1936.
- Kelsey, Alice (Geer). Once the Hodja. Longman’s 1943.
(Jeremy Schiff's Hodja homepage にOnce the Hodjaの話がフランク・ドビアスのイラスト付きで掲載されている。)
[編集] 関連項目
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