ブーストアップ
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ブーストアップ(ぶーすとあっぷ:Boost Up)とは過給器(主にターボチャージャー)付きのエンジンにおける改造方法の一つ。ターボエンジンをチューニングする場合のファーストステップとなっている。
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[編集] 概要
ターボエンジンではターボチャージャーを用いて過給圧(ブースト圧)をかける事によりNAエンジンに比べパワーを稼いでいる。しかし、一般にノーマル状態では、過給圧を上げることによる市街地走行での扱い難さや、燃費の悪化、耐久性の低下というデメリットを考慮して、余裕を持たせた低めの過給圧に設定されている。そこで、より大きいパワーを求めるために、タービンの持つ限界付近まで過給圧を高めることでパワーを得る手段をブーストアップと呼ぶ。
[編集] ブーストアップの方法
- マフラー、エアクリーナーを交換することで、タービンへの風量が増し、過給圧が上がる。
- ブーストコントローラーを設置し、最大過給圧を変更する。
- アクチュエーターやウエストゲートバルブなどのバイパスバルブを強化品に変更する。
- 調整式バイパスバルブの場合は、それを調整して最大過給圧を変更する。
[編集] メリット
特筆すべき点は「パワー的に失う物が無い」という事である。タービン交換の場合は、ピークパワーは向上しても、どこかしらの回転域で逆にパワーダウンしてしまう範囲が生ずることが多い。しかしブーストアップではノーマルを一回り太らせたような低回転から高回転まで淀みないパワーアップを望めるため、乗りやすさの悪化の心配が少ない。
スカイラインGT-R(R34型)はブーストアップで500ps(ノーマルでは280ps)も可能な場合もあり、タービン交換にも引けを取らないパワーを得ることが出来る。
[編集] デメリット
ブーストアップは、安全の為のリミッターを外す(もしくは変更する)事と同義であり、自動車メーカーの計算により設定されたエンジンやタービンへの保護機能を意図的に狂わされた事になるため、これを実行してエンジンやタービンを破損したとしても、通常はディーラー保証の対象外となる。またエンジンにより個体差が出るために、同じ過給圧をかけたとしても、故障を発生するエンジン、しないエンジンが存在する。
また、エンジンのパワーアップに伴い熱の発生が多くなる。そのために冷却系(ラジエター、オイルクーラー、インタークーラー)の強化品への変更が必要な場合も多い。車両によっては燃料ポンプやインジェクターの供給容量が需要に追いつかなくなるために交換しなければならないこともある。
またエンジンコントロールユニットは書き換え、もしくは交換しないと空気の流入量に対し、燃料が不足してしまい、空燃比がリーンになり致命的な故障につながる。
[編集] 現在のブーストアップの立場
第一に近年の環境保護の観点から、NAエンジンの車に比べて排ガスの浄化がし辛く、燃費も悪いためにターボ車の数が少なくなった事。またメーカー側がノーマル状態で限りなくターボチャージャーの限界値まで近づけた車も少なからず登場するようになったことで、ほとんど過給圧が上げられない場合もあった。そのために費用対して効果が薄くなった車両も多くなり、段々廃れてきている感は否めない。しかし、この手法によるパワーアップの手軽さは変わらないため、ターボエンジンチューニングのファーストステップという立場は維持している。
[編集] スーパーチャージャーにおけるブーストアップ
過給するという点ではスーパーチャージャーも同様である。スーパーチャージャーの場合はバイパスバルブに当たる存在は無いが、プーリーを変更し、スーパーチャージャーの回転数を変更する事によって過給圧を調整することが可能である。 この場合も失うパワーは無いが、燃費の悪化は避けられない。
[編集] ステップアップ
- ポン付けタービンチューン
- フルタービンチューン
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