ボックスカー
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ボックスカー(Bockscar)は、第二次世界大戦時のアメリカ軍第509混成部隊に所属したB-29爆撃機の機名。(機体番号44-27297) 1945年8月9日に長崎にプルトニウム型原子爆弾ファットマンを投下したことで知られる。
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[編集] 爆撃投下作戦
攻撃当日ボックスカーは「グレート・アーティスト」の機長チャールズ・スウィーニー少佐と副操縦士チャールズ・ドナルド・オルバリー大尉、フレッド・オリビ中尉によって操縦された。
作戦では第一目標は小倉市であり、爆撃当日も原爆投下機であるボックスカーより先に離陸していた天候観測機のB-29エノラ・ゲイ[1]からの報告でも天候に問題はなく爆撃可能との報告を受けていたことからボックスカーも小倉爆撃を目的として作戦を行っていた。しかし小倉市到着後爆撃経路進入に3回失敗、その間に天候も悪くなり迎撃機も確認されたことから目標を小倉市から第二目標である長崎市に変更した。
ボックスカーはテニアンを離陸するときから、爆弾倉に装備した予備タンクの燃料ポンプが故障しており、残燃料に余裕がなかったことから爆撃航程をやり直す余裕はなく、1回目の爆撃航程の際に雲の切れ間から目視できた地点(本来の投下予定地点より西寄りの地点)に原爆を投下した。
長崎への原爆投下についての詳細は長崎市への原子爆弾投下を参照
[編集] 機体
機体番号はB-29-36-MO 44-27297。ビクターナンバー77。この歴史的な航空機は「ボックス・カー"Bocks Car"」あるいは「ボックズ・カー"Bock's Car"」としばしば呼ばれる。しかし、機体に描かれた実際の名前は「ボックスカー"Bockscar"」だった。名前の由来は、本来のパイロットFrederick C. Bockに因んだ "Bock's car"「ボックの車」と、"boxcar"(有蓋貨車)の駄洒落からなる。
15機製造された原爆投下作戦用の機体(シルバープレート)の1機でネブラスカ州オマハのグレン・L・マーティンエアクラフトで製造された。1945年3月10日に陸軍航空隊に引き渡され、ユタ州ウェンドーバーにあった第509混成部隊に配備された。6月17日にテニアンに到着、8月1日に防諜の理由からビクターナンバー7から77に変更された。
第二次世界大戦終結後、11月に第509混成部隊がニューメキシコ州ロズウェルに帰還。1946年8月まで同部隊に配備された後、アリゾナ州デービス・モンサン基地に保管された。その後、1961年9月26日にオハイオ州デートンのアメリカ空軍博物館に運ばれ2007年現在も、原子爆弾ファットマンの複製とともに展示されている。
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[編集] 乗組員 (通常時)
- Capt. Frederick C. Bock, aircraft commander
- Lt. Hugh C. Ferguson, co-pilot
- Lt. Leonard A. Godfrey, navigator
- Lt. Charles Levy, bombardier
- Master Sgt. Roderick F. Arnold, flight engineer
- Sgt. Ralph D. Belanger, assistant flight engineer
- Sgt. Ralph D. Curry, radio operator
- Sgt. William C. Barney, radar operator
- Sgt. Robert J. Stock, tail gunner
[編集] 乗組員 (原爆投下時)
- 原爆投下時はグレート・アーティスト乗員が乗り組んだ。
- Maj. Charles W. Sweeney, pilot(チャールズ・スウィーニー少佐)
- Capt. James Van Pelt, navigator
- Capt. Raymond "Kermit" Beahan, bombardier (カーミット・ビーハン大尉)
- 1st. Lt. Charles Donald Albury, co-pilot
- 2nd Lt. Fred Olivi, co-pilot
- Cpl Abe Spitzer, radio operator
- Master Sgt. John D. Kuharek, flight engineer
- Staff Sgt Ray Gallagher, gunner, assistant flight engineer
- Staff Sgt Edward Buckley, radar operator
- Sgt. Albert Dehart, tail gunner
- 以下は同乗した海軍軍人
- Cmdr. Frederick L. Ashworth, weaponeer; (フレデリック・アッシュワース中佐)
- Lt. Philip Barnes, assistant weaponeer;
- Lt. Jacob Beser, radio counter measures;