マシニングセンタ
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マシニングセンタ(machining center, CNC milling machine)は、複合的な加工を行なう工作機械の一種。おもに切削加工を目的としてる。多数の切削工具を有し、コンピュータ数値制御(CNC)により加工工具の交換、機械加工を自動で行う。いわゆるフライス盤の進化系といわれるもので、CNCを搭載したフライス盤とも言える。
マシニングセンタには、大きく分けて立型と横型があり、ワークを削る主軸が鉛直方向のものを「立型」、水平方向のものを「横型」と言う。マシニングセンタと、工作機械の顔とも言われる旋盤との大きな違いは、マシニングセンタ(フライス盤)は刃物を回転させてテーブルに固定してある被削物を削る物で、旋盤の様に被削物を回転させて削るものとは逆の削り方をするものである。
また、マシニングセンタとフライス盤との違いは、ATC(工具の自動交換機能)の有無である。
JISの定義によると、「主として回転工具を使用し、工具の自動交換機能(タレット形を含む。)を備え,工作物の取付け替えなしに,多種類の加工を行う数値制御工作機械。(『JIS B 0105 工作機械―名称に関する用語』一部引用)」とある。
近年は、刃物を回転させる主軸の高回転化により、シャンクと呼ばれる刃物を固定して主軸に差し込む部分の形状も多様になってきており、NTシャンク、BTシャンク、DINシャンク(ヨーロッパの旋盤メーカーの特許に抵触しているともいわれる)、ダイレクトチャッキング(主軸が直接工具を掴む方式)等、様々な方式がとられている。
また、本体部分を動かすための主要部分は、廉価版の機械においては、台湾製のボールねじ、直動ガイドなどを使用してコスト削減を行っている。また近年では、Xステージ、Yステージがリニア駆動もしくは、X.Y.Z全軸リニア駆動のマシニングがある。従来のボールねじ形式の場合は、停止してもバックラッシュがあるために寸法精度は若干でにくかったが、リニア駆動形式では高精度精密加工が出来るようになった。
現在、工作機械メーカーは長期の景気低迷により、体力が弱ってきており、業界内での買収、撤退などが比較的盛んに行なわれるようになってきている。さらに、他業界と同じように、売上高至上主義を目的とした経営が跋扈する中、日本の技術的伝承(小規模メーカーにもある独特の技術)がどの程度まで続くのか、疑問の声も上がってきている。
[編集] 製造メーカー
主たるマシニングセンタメーカ(順不同)
- オークマ
- 浜井産業
- 牧野フライス製作所
- 森精機製作所
- ソディック
- 滝澤鉄工所
- 大阪機工(OKK)
- ジェイテクト
- 倉敷機械
- 大隈豊和機械
- 安田工業
- ヤマザキマザック
- 碌々産業
- エンシュウ
- 静岡鉄工
- 松浦機械製作所
- 日平トヤマ
- 不二越
- 豊和工業
- 碌々産業
- 日新工機株式会社
マシニングセンタの、2004年における日本国内生産額は約2675億とされている(経済産業省調査)。内、ヤマザキマザック約23%、牧野フライス製作所約22%、森精機製作所 約19%、オークマ 約19%と推定されている。